家庭の情報を集める
「おせっかいワーカーになろう⑦」
児相の訪問活動は平日昼間中心になりますが、ワーカーズの子育て見守り訪問は、平日夜間と土日祝日なので、子どもや家族と出会える可能性がグンと上がります。平成二八年度、子どもと面会できた目視確認率が45%でした。夜遅くて子どもが寝ていた等で親だけに会えたのが11%、合わせると50%を超えます。「あの路地の方から聞こえる」という曖昧な情報で訪問することもありますから、この数字はかなりの高さだと思います。やはり5年の積み重ねはダテではありません。
夜間や土日だからこそ得られる情報の一つが、親子一緒の様子です。言葉かけ一つをとっても、普通なちゃん君づけ、丁寧なさんづけ、ガミガミ厳しい指示口調、乱暴なヤンキー言葉と色々です。子どもの反応も、従順、反抗的、口ごもったり、委縮した目つきだったり、薄い反応だったりします。べたべたした親子、忙しくて構っていられない感じの親子、緊張感が漂う親子、何か不自然さを感じる親子など、そこから様々な関係性が浮かび上がってきます。ちょっとした親子のやり取りから、何か困っていないかと尋ねるきっかけを見つけます。
カップ麺の殻がいっぱいあったり、風呂場から洗髪を嫌がる声が聞こえたり、宿題のドリルが散らかっていたり、きょうだい喧嘩していたり、ゲームで叱られていたり、玄関の子ども靴に穴が空いていたり、日常生活が垣間見れます。暖かい家庭も熱心だけど息苦しそうな家庭もおしゃれな家庭も貧しい家庭もあります。そこから買い物や病院情報、年子などのきょうだいの育て方、思春期の問題、経済的な困難や夫婦関係の問題などにスポットを当てて聴きこんでいくこともあります。
親に疾病や障がいがないかもポイントです。親の表情や話し方、内容から重たい病気や気分障がい、知的な遅れがないか、気を配ります。子育ての考え方は様々でも、疾病や障がいがあると、何かのきっかけで、激しい体罰やネグレクトにつながるからです。それに気づくためには、ちょっとした違和感に敏感になる必要があります。言い淀み、表情の曇り、質問へのズレた返事、疲労感、生気のない眼差しなどを見逃さないようにします。何か厳しい様子が感じられたら、日頃助けてもらえたり相談できる人や機関があるかを確認します。そういうものがある程度あれば、少しだけ安心できるからです。
【労協新聞2017年「おせっかいワーカーになろう⑦」】