29 志村幸美 ☆ MEMORY(CATS)

【MY FAVORITE SONGS 29(私は音楽でできている)】

 学生時代の後輩の結婚式が終って、理由は思い出せないのですが一人だけ残って会場で片付けをしていたら、有線でとても心に沁みる英語の曲が流れてきました。そのときは「何だ、この曲は!」と思ったのですが、曲名が分かりませんでした。いま思えば、Elaine Paigeのものだったのではないかと思います。それから大分たって、曲名だけは分かりましたが、探す方法が分からなくて、聞くことはできませんでした。

 20代、昨年8月に亡くなられた山崎正和先生(劇作家・演劇評論家)の本が好きで読んでいたので、アンドルー・ロイド・ウェバーさんのCATSが有名だというのは、知っていたのですが、活字の情報だったので、実際のミュージカルや曲がイメージできませんでした。

 1990年、シーサイドももちにキャツシアター(仮設劇場)が立ちました。よかピア通りを通るたびに、何だろうと思っていたのですが、ミュージカルCATSだと知って、予約を取ろうとしましたが、なかなか取れませんでした。お金もなかったし、やっととれたのがマチネの格安席でした。

 実際に見て、どうしても音源が欲しくて、結構無理して2本組のカセットテープを買いました。通勤の車で、特にMEMORYをヘビーローテーションで聞きました。私にとって、ミュージカルは、やっぱり踊りよりも音楽・曲ですね。

 ずっと聞き続けたので、志村幸美さんのMEMORYが焼き付いてしまいました。志村さんが早逝されたこともあって、私の中で志村幸美さんのMEMORYがMEMORYになってしまいました。劇団四季では、ずっと上演されて、たくさんの素晴らしい女優さんが歌っていますし、当然英国や米国のもYoutubeなんかに上がっているのですが、他の方が歌うものはどうしても別物に感じてしまいます。

 ミュージカルよりも先に、歌に触れてしまったからなのかもしれませんが、MEMORYを聞いていてもCATSのストーリーやグリザベラの姿が思い浮かぶことはありません。でも、なぜかMEMORYを聞くと胸を締め付けられるような、気持ちになるのです。特に志村さんの歌声を聞くと、一瞬にしてえも言えない悲しみの感情が湧き上がってくるのです。それは、私にとっては、日常を離れる豊かな時間でもあります。

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ヒゲリン
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