10 American Graffiti
LPレコード『アメリカン・グラフィティ・サウンドトラック』は1975年頃、我が家にやってきました。1曲は2分前後の短いものばかりですが、2枚組で41曲も収録されています。
プラターズやザ・ビーチ・ボーイズ、チャック・ベリーなどすでに馴染みの曲もありましたが、このレコードのおかげで、1950~60年代の米国の主なヒット曲を知ることができました。第二次世界大戦後、米国が世界の覇者として最も元気のよい頃の明るさと華やかさが伝わってくるアルバムだと思います。
映画を見たのは少し後で、しかも封切り時に気づかずに、再映で見ました。1960年代の豊かな米国の田舎町の若者たちの青春が、当時のヒット曲と絡ませながら描かれていて、胸がキュンとなったり、ドキドキしたり、ジーンとさせられたりしました。
印象に残ったのは、エンディングで、主人公4人のその後の消息が文面でさらりと紹介されるのですが、1人が酔っ払いに殺されて、1人がベトナム戦争で行方不明になっているのです。映画がつくられた70年代の米国を象徴するもので、見た当時はドキッとしました。
このレコードと映画は、私の大好きなアイテムですが、その素晴らしさについて、語る人と出会うことはありませんでした。ところが、児相で出会って、その後児童養護施設で一緒に生活した女の子(当時中2)がこのアルバムが大好きで、意気投合して、カセットテープにダビングしてやったりしました。
その子は、出会った頃の家庭環境も逆境的過酷さでしたが、施設の中でも厳しく、また施設を出ても反社会的なところに身を置かざるを得ませんでした。
いまどこかで生きていたら、あの頃のように『アメリカン・グラフィティ』の明るさや楽しさを、心の中に少しでももっていてくれたらな、と思います。
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