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子どもに会うことの意義

「おせっかいワーカーになろう②」

 子育て見守り訪問の第一の目的は、連絡を頂いた泣き声などの情報をもとに、直接子どもに会って安全を確認することです。学齢児や保育園に通っている子どもと特定されれば、児童相談所から所属しているところに問い合わせれば、登園しているかなどの基本情報や家族のことも分かることが多いですが、乳幼児に関しては、実際に行ってみないと、子どもの様子が分かりません。

 しかしその子どもがいる家庭にたどり着くことも簡単でないことが多いです。特に夜間「うちのビルの上の方で泣いている」とか「向かいのマンションから聞こえる」といったあいまいな情報をもとに訪問するのは、骨が折れます。到着した時点で子どもが泣いていることはほとんどないですし、音が反響したり建物に跳ね返ったりして特定できないことも多いからです。

 やっと訪問しても、食事や入浴などで慌ただしかったり、やっとくつろいでいる夜の時間に訪問されて良い気持ちのする家庭はないですから、「こんな時間に非常識だ」とか「うちは関係ない」と拒否的に応対されることも少なくないです。しかし、そこでひるまずに、子どもに会わせて頂くようにお願いします。もちろん、無理にお願いすることはありません。いろいろ都合も苦言もお気持ちも伺って、あくまでも「宜しければ」という丁寧なスタンスです。それをやり抜くには、何よりも子どものいのちと生きる(成長発達する)権利を最も大切にする考えが必要です。

 子どもに会えたら、やっぱり一安心で、ほっとします。それからほんの数分という短い時間に、できるだけたくさんの情報を得られるように努めます。だいたい一人が親と話している間にもう一人がさりげなく子どもを観察します。まず顔色、栄養などの健康状況を観て、傷、あざ、病気などがないかを確認します。髪や肌、衣服などから衛生状況や入浴しているか、を観ます。日ごろ来ない人が家に来れば、子どもは興奮したり、恥ずかしがって親の後ろに隠れたりします。その様子や親子のやり取り、表情や態度や言葉を観察して、障がいや発達の遅れがないか、親子、きょうだい関係を捉えます。

 時には、子どもの様子から話題にして、夜泣きやアトピーの対応など母親の悩みをじっくり聞いたり、関係機関につなげたりすることもあります。

         【労協新聞2017年「おせっかいワーカーになろう②」】

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ヒゲリン
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