いつも変える努力
テレビ東京『カンブリア宮殿:オフィスを激変させるオカムラ戦略』はとても刺激的で、本質的な学びを得ることができた番組でした。
中村雅行社長の金言は
【「差」ではなく「違い」で売れ】
「創業者にいつも言われたのは、『今を破壊して新しいものをつくれ!』『今までのやり方を変えろ』でした」
「最近つくづく思うのですが、世の中の動きがものすごく速くなっているんですね。規則とか組織とか、情報システムというのは、一度作るとそこで進歩がなくなるんです。でも世の中はすごいスピードで動いているので、いつも変えないといけない。いつも変える努力をしていかない限り、うまく時流に乗れない」
これは、コロナ下在宅リモート勤務が進む中、縮小していく企業のオフィスに新たなビジネスチャンスを見出している家具屋であるオカムラに、根底に流れている理念や哲学を紐解いてくれるお話でした。
ここから子ども家庭福祉や教育の分野に置き換えて私が連想したのは、「おせっかい講座2019、2020」で講演していただいた平田ルリ子院長(清心乳児院)と松枝智子園長(高取保育園)です。とにかくずば抜けた実践力とそれを分析して明瞭に言葉で表現できる解説力がすばらしかったです。
お2人に共通だったのは、子どもの命を守り育むためだったら、どんな療法だって保育だって教育だって活用する、ということでした。○○療法、△△保育、▢▢教育等々、使い慣れたいまあるものに固執することがないのです。すべては目の前にいる子どものためにあらゆる手、最善の方法を探すということでした。
それは容易なことではないと思います。できれば仕事は昨日までと同じで、平穏で変わらないルーティン・ワークであってほしいと思うのが人の常だと思います。しかし様々な問題を抱える幼い命を預かり育む現場では、常に小さな変化を見逃さず、非日常的な事態に備える構えと問題解決に取り組み続ける実践力が求められます。
一昨年4月、まだコロナ感染の実態が全く見えない中で、松枝智子園長は「園をあげて感染防止に全力を注ぐけれど、いずれ子どもや保護者、保育スタッフに感染者が出たとしても、決してその人を非難してはいけない」と指示を出し、周知に努めたそうです。リーダーとしての問題に向き合う鋭い分析力と腹のくくり方に感銘を受けました。
ちょうど100年前、第一次世界大戦とパンデミックであるスペイン風邪の世界的な大流行の前後から、フロイトやユング、アドラー、デューイ、シュタイナー、モンテッソーリなどの心理学、教育学が出てきます。それは20世紀の新しい時代に合った理念や哲学、方法を模索する動きだったのではないかと思います。
同様に100年後の21世紀のいま、コロナによって画期された新しい社会に合った理念や哲学、方法を創造していかなければならないのではないでしょうか。それは、現実と正面から向き合う実践の中からしか、生み出せないように思います。
古い古い、ルソー、ペスタロッチ、グルントヴィ、フレーベル、フロイト、ユング、アドラー、デューイ、シュタイナー、モンテッソーリ、デューイ、ロジャース、エリクソン、マズロー等々だって何だって、学んで使えそうなものは活用するけれど、それは道具なんだと思います。
日々の試行錯誤の実践の中から、それを丁寧に言葉に紡いで理念や哲学、方法として人々に説明することが求められる時代なのだと考えます。
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考え方の道具箱(TOOLBOX)
ヒゲリンが若い時分から、ものごとを捉えるときに使ってきた道具(TOOL)としての考え方や理屈を紹介します。中核になるのはユング心理学、シュ…
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