深夜電話相談事業
「おせっかいワーカーになろう㉒」
子育て見守り訪問は、児童相談所に寄せられる泣き声通告や虐待相談の情報をもとに家庭を訪問します。家庭にたどり着けないこともありますし、親に寄り添うために必要な具体的な情報がもっとほしいともどかしく感じることもあります。
そんな思いが通じたのか、訪問の経験を重ねたワーカーズのスタッフに電話を受ける方も任せてみようと思ったのか、平成28年度から、深夜帯(22:00~翌8:00)の電話相談事業を受託することになりました。
児童相談所は虐待だけではなく、子どもや子育てに関するあらゆる電話相談を24時間体制で受けています。夜泣き、離乳食、発育など乳幼児期の相談、イヤイヤ期やきょうだい喧嘩、しつけやなど子育て相談、けがや発熱、嘔吐、流感など病気の相談、いじめ、不登校、部活など学校生活の相談。その他、恋愛、発達や性の悩み、非行、成績、受験・進路、夫婦関係から子ども会育成会、PTAまで、多岐にわたります。
深夜、いつどんな相談が寄せられるか、全く予測もつかないままずっと待つのは、見守り訪問とはまた違った緊張感とストレスの高い業務です。幸い、見守り訪問のスタッフは様々な資格と豊富な経験を活かして、深夜電話相談事業にも多く参加してくれました。もちろん最初から、うまくいったわけではありません。まる2年経った今でも、緊張感と内容の濃い相談でくたくたになって、次の日がしんどいことも多いですが、やりがいを感じて充実感をもって取り組めていると思います。少しチャレンジに慣れてきたというのか、チャレンジし続けると知らないうちに現場での適応力がアップしていく感じがあります。
そのベースには、訪問で出会ってきた困っているお母さんを何とか応援したい、辛い思いやみじめな気持ちを抱えた子どもに少しでも手を差し伸べたいという思いに、深夜電話相談で具体的に応えられる、小さな喜びがあるからだと思います。
先日も0時を回ったころに女子中学生のしつけの相談からお母さん自身の生い立ちの話になって3時間聴いたことがありました。爪に火を灯すという言葉が浮かぶほどの平成の世と思えないほどの貧しさをサバイブした内容でした。アディクション家庭のたくさんのご苦労のお話を伺って、少々のことでへこたれてはいけないなあと、こちらが勇気をもらってしまいました。
【労協新聞2018年「おせっかいワーカーになろう㉒」】