「地域の里」にほしいもの
「おせっかいワーカーになろう⑲」
子育て見守り訪問に取り組んで、やはり心配なのは、ひとり親を中心に、孤立している親子です。虐待を予防し、貧困に陥らないように親子を応援し支えていく拠点として、公民館や団地の集会所を利用して、子ども食堂から始めて地域の里を作っていきたいです。
子ども食堂は、活動する人の都合で、土日の開催が多いですが、できれば平日の水曜や木曜にも実施したいです。週の真ん中、仕事の疲れもたまってくる頃、家の近くの公民館等で、子どもが食事も宿題も終わらせて待っていてくれたら、親はどれだけ助かるでしょう。夕方の1~2時間はとても貴重です。私は時々スタッフやお母さんに「院に行ってますか?」と尋ねます。院とは(歯科)医院、整体(鍼灸)院、美容院、寺院の院です。治療したり癒やしたり、おしゃれしたりして、自分を取りもどし、少しでも元気になってほしいのです。週に一度でも夕食の心配をせずに、ちょっとした買い物や用事が済ませられたら、ずいぶん余裕が生まれると思うのです。
里(さと)の名前は、地域〇〇食堂、医療関係でよくあるみんくる(みんな来る)カフェ、寄り道カフェ等親しみやすいものにして、子どもだけでなく、親も温かく受け止められる場所にしたいです。昔の農家の縁側のような、ちょっと一息、リラックスできて、お茶を飲んだり軽く食べたり、愚痴や悩みを吐き出せる場所にしたいです。
子育て広場事業のモデルになったカナダのドロップイン(たまり場)では、食事の他にも食料・衣類、絵本・おもちゃの図書館、洗濯機を準備して、少しでも親の負担やストレスを軽くする取り組みがされています。子育ての相談だけでなく、就労や経済的な相談、離婚やDVの相談も出きるといいですね。すぐに解決に結びつかなくても、情報を提供し専門機関につないだり、病院やハローワークに付き添ってやれたら、百人力だと思います。
ミーティングや仲間づくりも大切だと思います。とにかく「一人ぼっちじゃない、仲間がいる」と感じてほしいのです。一緒に出掛けたり、お互いの家庭を訪問したり、子どもを預けあったりできる関係ができたら心強いです。福岡市では校区里親事業にも取り組んでいますが、親が急用や病気の時に、実家のように預かれる地域の里ができたら、子どもは学校にも通えて、いつも通り地域で安心して生活できるのです。
【労協新聞2018「おせっかいワーカーになろう⑲」】