子ども食堂を広げよう
「おせっかいワーカーになろう⑯」
自立援助ホームの企画書作成のプロセスで訪問した活動に豊島子どもWAKUWAKUネットワークがあります。子どもがのびのび遊んでいる公園で、厳しい事情で引きこもりがちなお母さんが作ったという美味しい鍋を頂きました。様々な事情を抱えた子どもや大人が集い、世話したりされたり、相談にのったりしている様子がとても暖かく、包み込まれる感じがしました。その前後で、大田区の気まぐれ八百屋だんだん、新宿区のかしわヴィレッジ、富士市のゆめ・まち・ねっと、大阪西成の子どもの里にも足を伸ばしました。子ども食堂という名前を使う使わないはありますが、どこに行っても暖かい食事とたくさんの人が集って語り合い支えあう居場所の力は絶大だと肌で感じました。
そこで福岡にも子ども食堂のような居場所活動を広げたいと考えて、NPOボランティアセンターで始まった子ども食堂実行委員会に参加しました。実践している人を呼んで学習会を重ね、あちこち見学に行き、全国のフォーラムにも出席し、仲間を集めました。いくつかの実施場所の候補から、公民館とのコラボが浮かんできました。主事さんが熱心で、近くに市営団地と小学校があります。すでに公民館主催の子どもの活動が土曜午前にあって、午後から食事とレクをする形で始められそうだったのです。
館長さんもとても協力的で、小学校の校長先生に挨拶し、自治会の会合に何度も出向いて主旨を説明する手助けをしてくれました。しかしそこからが先に進みませんでした。管轄の市の許可がなかなか下りなかったのです。福岡市の公民館は小学校区全ての146館あり、前例がない活動を認めるのは他との調整が難しかったのかもしれません。もう半分諦めかけた12月の御用納めの前日に唐突に市から連絡があって、手続きを進めることができました。8月から交渉して半年後のスタートになりました。
背景には地元西日本新聞の半年にわたる子ども問題キャンペーンが、世論を動かした側面があると思います。福岡市は「子どもの食と居場所づくり支援事業」として子ども食堂を実施する団体に補助を始めました。西日本新聞は「子ども食堂支援金」として寄付を募集し、最終的に1166万円が集まりました。私は第三者委員をさせてもらい、1年間で九州に広がった子ども食堂76団体に支援を届けることができました。
【労協新聞2017年「おせっかいワーカーになろう⑯」】