5月15日の検察庁法改正案審議(国会中継)の藤野保史(共産)と武田良太 大臣の質疑

5月15日の検察庁法改正案審議についての国会中継における藤野保史(共産)と武田良太 大臣の質疑について、砕けた表現ではありますが、自分のわかる範囲内で要約してみました。

元ネタの国会中継の動画

実際に生で見ていなくて、下記の動画で拝見しました。
【国会中継】検察庁法改正案、森雅子法務相が出席し審議 採決は先送り(2020年5月15日)

会議開始 20:20
後藤祐一(立国社)21:13 - 人事院規則について(一宮なほみ 人事院総裁、武田良太 大臣)
藤野保史(共産)28:27 - 武田良太 大臣に対する質疑
後藤祐一(立国社)58:34 - 森まさこ法務大臣に対する質疑
藤野保史(共産)1:43:09 - 森まさこ法務大臣に対する質疑
足立康史(維新)1:59:27 - 森まさこ法務大臣に対する質疑
おまけ:国会前シュプレコールと会議解散 2:46:55

※YoutubeよりChinatown SFさんのコメントを引用させてもらいました。

定年引上げが問題なのではなく、恣意的延長可能なことが問題

-藤野保史(共産)-
本法案には2つの内容があり、1つは、63歳の定年年齢を65歳に引き上げる、これはすべての検察官に適応される…これについては異論はない。(ツイッターでも定年を引き上げるだけに何の問題がある?というのが流れてきてますが、そこが問題じゃないみたい)
しかし、第2に、ある特定の検察官については定年年齢を超えて勤務延長ができるようにするという部分がある。しかもその判断基準を内閣によって決められるとなっている。
だから大騒ぎになっている。反対意見も、ツイッター、自民党、検察からも出てきている。

定年延長ができない現行法から何故変更したのか?

-藤野保史(共産)-
この部分(ある特定の検察官については定年年齢を超えて勤務延長ができるようにするという定年延長の部分)は昨年10月までは(この第2の部分は)入っていなかったのに、盛り込まれた。

現行法では、定年延長を一切認めていないが(理由があるはず)、これはなぜか?

-武田良太 大臣-
本来は法務省の方から回答してほしかったが、(野党が)通告をしてくれなかったのでやむを得ず代わりに応える。

現行の国家公務員法が導入された時点では(同制度=定年延長については、かな)検察官に適用されないと解釈していた。しかし、なぜそうなったのか?という過程については、つまびらかになっていない

ただ、現行の検察法上、「検察官については勤務延長を認めない」という特例も定められていない。ということは、検察官にも、国家公務員法の規定(定年延長の話が)に適応されると解釈できる。1月にこのように解釈を変更しただけです。

-藤野保史(共産)-
何故現行法は、年齢以外の一切の要素を出口(定年時)に認めていないのか?
については答えていない

検察は人を罪に問うことができるかどうか?を決めることができる唯一の機関。つまり、検察官というのは単なる行政機関ではなく、準司法機関。政治的中立性を担保し、政治と常に緊張状態にある。この中立性を出口(定年時)でも担保するために、年齢以外の一切の要素を考慮しないようになっている。

もう一度質問する。「年齢以外の要素を考慮しない」というのが現行法。これを「年齢以外の要素を考慮する」に変える。そこに裁量の余地が生まれてしまうのではないか?ということについてどうお考えか?

-武田良太 大臣-
先ほども申し上げた通り、現行の検察法上に「検察官については勤務延長を認めない」という特例は定められていない。ご理解ください。

前とは違う、ということをいいたいんだろうが、時代の変遷とともに犯罪の形態などいろいろ変わってきている。時代の要請にしたがって柔軟な対応をとっていくことも重要

定年の延長は任命権者(内閣)が行う…人事院の承認は?

この部分はわかりにくかったので、下記記事を参考にしました。
(こことても自信がないです…間違ってたら誰か教えてください…)
検察庁法改正法案―まとめで分かった重大な事実―(園田寿) - Y!ニュース

改正法案には、「検察もほかの国家公務員と同じ制度にする」という理由で定年延長が盛り込まれていました。(上記のお話)この改正のもととなる現行の国公法81条の3第2項(再延長に関する規定?)には、定年を再延長するには人事院の承認が必要だよ、と記載があります。

国公法81条の3第2項
 任命権者([注]この場合は〈内閣〉)は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、人事院の承認を得て、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。(太字は筆者)ちなみに人事院とは、人事に関する事項を掌握する機関だそうで、これはこれで内閣とはかなり独立しているようです。

これが、どうやら今回の改正案では定年再延長が人事院の承認がなくてもできるようになっている、ということらしいです。

-藤野保史(共産)-
定年延長の要件(その定年延長をいつするのか?という判断基準)が重要という話もあったが、そもそもその余地があることが問題

改正案は(定年延長を)人事院ではなく、内閣がすべて判断できることになっている…ということは、内閣の恣意的判断を許すのではないか?

-武田良太 大臣-
要件は明確化する。

-藤野保史(共産)-
人事院がやってるから内閣から一定程度独立している。
これを内閣に変えるということは、恣意的な余地が生まれるのではないか?

-武田良太 大臣-
任命については今までも内閣がやっている
。これは、検察権の行使に圧力を加えるものではない。定年の延長は、任命権者が行うのが普通だ。

-藤野保史(共産)-
現行法では定年の再延長について、人事院の承認が必要になる。つまり、任命権者だけではできないようにしている。今回の法案は、人事院の承認が不要になる

どんなに(定年を延長するための)要件を精密に作り上げても、内閣がすべてやってしまうのなら、恣意的運用につながってしまう

何故検察だけが特別なのか?

-藤野保史(共産)-
そもそもなぜこんなに検察が特別なのか?

戦前の治安維持法をはじめとする様々な抑圧が、刑事手続きによって行われてしまった。この教訓が憲法に反映されて、何条にもわたって検察の在り方を書かれている。

大臣はこの改正案が、憲法の基本原理である権力分立に反するという意識はあるか?

-武田良太 大臣-
本来は法務省の方から回答してほしかっ(略)

検察権は行政の一部をなすものとされている。そして同時に、準司法官的特性を持つと承知している。

-藤野保史(共産)-
おっしゃる通り。検察官は一人一官庁、他の行政機関とは全く違う。

結局黒川さんを延長したいんじゃないのか?

-藤野保史(共産)-
定年延長が必要になるケースが、今のところ黒川さんしかいないとおっしゃっていた

(黒川さんの定年延長を決定した)閣議決定の記録を出してくれと言っているのに、出てこない。資料はないが黒川さんには本当に関係ないんだと言われても信じるのは難しいじゃないか。

-武田良太 大臣-
本来は法務省の方(略)×2
検察官は検察の行使に対し、いかなる時も厳正であるようにと承知している

検察庁法の改正については、あくまでも、他の国家公務員法の定年延長と合わせるものである。

他の一般職の国家公務員と同様に任命権者(内閣)が行うものにすぎず、内閣が介入するものではなく、もともとある権利の延長に過ぎない。

-藤野保史(共産)-
任命(入口)の話ではなく、出口(退官)の話で全く違う。今までは出口については内閣に権限はなかった。

怪しい事件がいっぱいあって(申し訳ないですが詳細を把握していません)、検察ならその事件を捜査することができる。

このタイミングでこの法案をごり押しすることは、火事場泥棒的である。

感想

#国会中継 のタグを見ているときにはもっとひどいかと思っていましたが、双方ともわりと応答がしっかりしていると思いました。僕としては、どちらかというと藤野保史(共産)の答弁の方が腑に落ちましたが、バイアスもあるかもしれません。もし、偏ってるとか、間違っているところがあれば修正します。あと、武田良太 大臣は何度も「残念ながら通告をくれなった」と質疑中におっしゃっていたので、通告を出してあげればもっといい答えがあったのではないかと思います。

(このあとの森法務大臣の質疑についてもちょっと見たのですが、ちょっとそちらはまとめるの大変そうで、やらないかもです。森法務大臣せっかく出てきてくれたのに、あまり発言の範囲が認められていない様子で、見ていて胃が痛くなりました…。)

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