(G)I-DLE 「I Trust」 「DUMDi DUMDi」 「i'M THE TREND」感想。

基本的にK-POPによくある(Japanese version)とか(English version)については、書くことがあまりないので、言及を避けることにする。
だから(G)I-DLE日本デビューミニアルバム「LATATA」は、まあ日本のK-POPファンに対する自己紹介なので、まあ良しとして、
「For You」
についてはどうしても語りたい。
この曲はこのミニアルバムのオリジナル、ミンニ作曲の2曲目であって、前作「blow your mind」はかなり個性的な曲だったのに比べ、直球ど真ん中豪速球の名曲を投げてきたわけで。
まず初めのエレキピアノとミンニのが心を込めて呟くようにいいメロディを歌う部分がこの曲の核であり、それを色々発展していって、最後にまたピアノとミンニの歌に収斂していくという、素晴らしい構成の曲。
その大事な2作目を韓国のミニアルバムではなく、日本デビューミニアルバムに入れてきて、歌詞もいったん書いて、日本語に翻訳してもらうという、その心意気が嬉しいやないか。
この曲はみんにから日本の聴き手への、真心のこもった贈り物であると言えよう。

で、3ed ミニアルバム、「I Trust」。
2020年4月リリース。

I Trust

よく分からないが、羽の顕微鏡写真を図版にしたような版画の雰囲気と、デザインされたタイトルの文字もあいまって、なにか図鑑とか学術本の装丁のようなアカデミックなイメージで、今までの(G)I-DLEのロゴを使ったポップなデザインとは全く違う、内容とどう関係あるか、どなたかの考察を待つしかない。

「Oh my god」
初めに印象に残るのは、教会の鐘の音の後に、ピアノとリズム隊の歯切れのいいパキパキとしたバックトラックと、部分的に深くなるリバーブ(エコー)。
教会をテンポよくカツカツと歩く革靴、屋内に響く声、タイトルからそんな連想が起こる。
途中でコロコロ変わるリズムパターンと気持ちいいBPM、意外とメジャーキーであることも含め、何となく「決意」「意思」「行動」を感じさせる。
(G)I-DLEの曲が変わったというのはここで、ただの耽美、憂鬱、絶望とは悪く言えばちょっと「自己陶酔」の気配があった。
だが、このミニアルバムからはそんな甘さを抜いて、「自分に対する厳しさ」「ストイックさ」を音から感じるのだ。
周りからの空気や会社からの無言の要求に応えるより、ソヨンは以降全て本音で、本気で自分がいいと思う音楽しかやらないと決意したかのように。

「Luv U」
だが残念ながら僕にはこの曲からはなにも受け取れなかった。
ウェッサイだな、と思っただけであった。
そんな事もあるさ。

「Maybe」
あれ? 前の曲から無感情路線が続いてる? ダンス要素が無いから、EDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)ではなく、クールなテクノであり、シュールな動画に嵌めるのにいい感じだが、僕の思う(G)I-DLEの良さを殺しにかかっている気がする。
わざとか?

「LION」
と油断させておいて、喉元に剣を突きつけられ、みぞおちに体重の載った強烈な拳がめり込む、そんな体験であった。
このアルバムを聴いてきて、この曲に、全てが吹き飛ばされる。
疑問の余地なく、前期(G)I-DLEの代表曲。

「DUMDi DUMDi」
2020年8月リリース。

DUMDi DUMDi

人によってはダンスホール・レゲエにも聴こえるかもだし、途中の男声のかけ声などからアフリカっぽくも感じるが、前にも言った重要な事は、何が鳴ってるかより何が鳴ってないかだ。
ここでは注意深くカリブ海色、ラテンの曲調、アフリカ音楽の特徴を「外して」いる。
そこら辺が、例えばピーター・ガブリエルやデビッド・バーンと違うところで、世界の音楽を取り入れて再現、ではなく「どこでもない南の海で、太鼓を叩いて1晩中踊り狂う」というイメージを、ただただ楽しくやってて「これでいい」という自信さえ感じられる。
その点、スペインのトランペット奏者の音を入れた「Senorita」とは変わったところで(どっちがいいということでなく)カテゴライズとか音楽的正統性とか、外部の価値観に合わせて補強する必要がなくなったと思しい。
ちなみに会社はこの曲のリリースに反対したらしい。さもあらん、しょうもないオトナはせっかく上手くいった成功パターンを手放せず、2匹目のどじょうを狙ってしまう。
でもこの曲の成功を確信していたソヨンは「売れなかったら全責任は私がとる」という男前な啖呵をきって、きちんとこの曲を当てて見せた。
ざまあみろとしか言うことはない。

「i'M THE TREND」

i'M THE TREND

この曲は2020年7月でリリースであって、本当は「DUMDi DUMDi」より前に書くべきだが、ちょっと特殊な事情からここに書く事にした。
時は新型コロナウィルスによるパンデミックが始まったばかり、予定してた世界ツアーの企画な雲散霧消して、オンラインライブ「I-LAND Who am I」のアンコールに披露されたファンソングであって、曲をうんぬんするのは野暮というものだ。

作詞作曲は主にウギとミンニで、自分たちの今までのタイトルを並べ「ウチらのソヨニの作った歌はすごいだろ」とドヤったり、ソヨンがこれまでのサバイバル番組をディスるラップを披露したり、サワディカーから始まるミンニの自己紹介ラップがあったり、これとかのちの「My bag」につながるノリだと思うが、とにかく訳詞も含めて、ネバーランドへのご褒美の曲。
「Peter Pan」「Neverland」と連なる、(G)I-DLEとネボボの絆シリーズ。
ちなみに作編曲は会社の先輩、PENTAGONのユウトも参加してるそうな。

いいなと思ったら応援しよう!