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ミンニの歌声は魔法。(加筆しました)

前の記事でも書いた通り、僕は歌を楽器演奏と捉える変な癖がある。
歌う人って、僕にとって要は管楽器の一種なのだ。
楽器の構造とは、単純に言うと何かを振動させて、何かで増幅し、可聴範囲の空気振動を聴く者の耳に届かせる仕組みであるなあと。
ここでは声帯を肺の中の空気を通して震わせ、頭蓋骨や胴体に共鳴させて増幅し、口や鼻から吐く息と共に出しているわけで。
吐く息の量や長さを胸筋や横隔膜でコントロールしつつ、やはり筋肉でできた声帯の伸び縮みや形態を調節して音程や声質のベースをつくり、喉の絞りや口の形、鼻からどれだけ息を出すか、音の高さ等で体のどこに共鳴させるか、etc。

つまりは「いろんな筋肉のコントロール」を同時かつ複雑に行い望む歌声を出し続けるという、大変高度な事をやっているわけだ。

この望む歌声というのも難しい。
他の楽器と共に歌う場合、その音を耳で聴いて脳で判断し、音程やリズムを合わせながら、上記の動作を行わなければならない。
しかもタイムロスゼロにしないとならないのだ。

ア・カペラの場合は、実はもっと大変で、音程やリズムを楽音というガイドなしで正確に歌わなければならない、という事は脳内で演奏を想像・再現しつつ、ないものをあるとして歌わなければならないという、かなり高級な作業なのである。

(余談だが、だから歌始まりで楽器演奏が後から追っかけていくのって、実はヤバいのだ。ア・カペラの歌をその場で答え合わせするのだから)

だからホントは、鍵盤楽器のように正しい音程が常にスっと歌える人は数少なく、多くは普通は耳で音を聴いてコンマ何秒で素早く微調整しているのだそう。
いわゆる「音痴」の人の何割かは、その耳で聴いて口から出る音を合わせる事ができてない状態で、音程やリズム、歌の速さが合わず、音を外したり早くなっていったりするのではないか。(それは絶対音感があっても同じで、耳で聴いて音程がわかるのと、望む音程を声として発するのは全然別問題)

さで、そう考えるとミンニは、かなり難しい事をやっているように思える。
彼女は歌い出しのパートを担当する事が多いが、その時に使う、ミンニと言えば、という、喉を軽く絞って、なんだかこもったように聴こえるスモーキーな声。
トランペットやトロンボーンのミュートみたいに

トランペットのミュート
トロンボーンのミュート

音を変質させる、生体エフェクトみたいなシグニチャーヴォイスはもちろん。
主に頭に反響させたと思しい、中高音のフワフワヴォーカル。
と思えば、ウギとはまた違った中低音の倍音豊かなチェストヴォイス。
迫力のパワフルヴォーカル。
「i’m the trend」の自己紹介ラップのファニーで可愛い(もう少し作りこんだらアニメ声になる)声。

音程やリズムが正しい事はむしろ最低条件で、出す声の質感と歌い方、頭と胴体のどちらに共鳴させるか、声を届かせる距離感まで、自由自在だ。
しかも歌う時に、この部分の筋肉をこう動かそうとか意識して別個にコントロールできる人は、ヨガの達人でもない限りいない訳で。
特にミンニは、歌う人を演じるようにしているようにしているようだ。それで全ての歌う時に使う部位が連動して動いていってる。一見歌う時にあまり関係なさそうな手足なども、結果その七色の歌声を発するのに関係あるようだ。

しかもライブではそれをダンスしながらやったり、ソロコーナーではピアノを弾きながらやったりしている訳だ。


そうやって分析的に聴いても、どうして出てきたか、謎な歌声があって。

どの曲かは、ここでは言いません、

もう魔法としか思えませんよ。

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