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【私見】(G)I-DLE「NXDE」の裏テーマ。

一般にはおそらく、「Tomboy」以前以降という風に見られてるのだろうし、もちろん僕もよく分かる。
だけどあえて、「NXDE」以前以降と分けたい。
というのも、音楽、歌、ビジュアル、パフォーマンス、MV、全ての作り込みがほぼ完璧で、ソヨンの「作り込む」手法はこの曲で頂点に達したのではないかと思われるからだ。
音楽的には、2分58秒の間にクラシックからの引用あり、中間部の圧倒的なラップあり(僕は内容的にもテクニック的にも歴史に残るラップだと思う)わざとコードに合わない音を加えて「調子はずれな幼い感じ」を加えたり、後半の間奏で急におしゃれなコードワークで聴き手をもう一階層上に引っ張り上げたり、凝縮されてる。
加えて、歌入れのディレクション映像では細かくパートごとに、可愛く、セクシーに、怒りを込めて、卑劣に、など表現の限界を突き進むさまが実に凄かった。
あとは推して知るべし。実に素晴らしい。K-POP云々はあまり関係なく、エンターテインメント作品としてひとつの頂だと思う。

ただこれ以降は単なる個人の妄想である。

僕には何か静かな怒りというか、毒というか、誤解を恐れずに言えば「殺気」みたいなものが感じられた。それがひとつ。

ゴシップ新聞への怒りから、
見世物にされた側からの怒り、


からのこの笑顔、怖くないですか。

あと、パブリックイメージやゴシップ、偽善的な攻撃に苦しめられたマリリン・モンローへのオマージュと、愛されなくても自分自身の真の姿を晒す覚悟を選ぶというメッセージを重ねるという天才的な発想がどこから来たのか、尊敬しかないが、不思議でもあった。

某動画サイトにて6人時代の(G)I-DLEが、バラエティ番組でヒントを出して単語を当てさせるゲームをしていて、スジンに対してミヨン他メンバーがああ言えばわかるよねとのノリで、「あなたのロールモデルよ」と言われて「ああ、マリリン・モンローね」とすぐわかった時、僕の中で点と点が繋がって線になった気がした。

話は変わるが、スジンが例の件で辞めた時、ソヨンの悲しさとか危機感とか絶望しかけたとかは言及されてるが、正直怒りもあったのではと想像する。
無理もない。練習生以来寮生活を共にし、デビュー曲の「LATATA」で初めて曲を書いて、各メンバーに向けて曲を書き続け、歌割りも決め、ディレクションしたり、活動も共にしてきた戦友であり、ソヨンはメンバー全てに深い愛と理解を注いでいる人である。

それを確定もしてない事で、悪いイメージの泥だんごを投げつけてきた世間や十分にかばわなかった会社、結果的に実質辞めさせられた成り行きに「おまーら何してくれてんだ」と、はらわた煮えくり返ってたのではないかと想像する。

それを過去のゴシップや薄っぺらなパブリックイメージに生涯苦しめられ、悲劇的な死をとげたマリリン・モンローと、彼女をロールモデルにしていたスジンの身に降りかかった不条理を、重ねずにはいられなかったのではないか。

だからスジン脱退後初めてのタイトル曲「Tomboy」がものすごく攻撃的だし、ファーストアルバム、タイトルも「I Never Die」の3曲目「Villan Dies」にいたってはストレートに怒りをぶつけている。

だが「NXDE」においては作品として昇華し、一般化していると思う。
「周りから押しつけてくる偏見にはヘドが出る。そんなものに合わせるくらいなら、素の私をさらけ出して心をヌードにして生きる方がずっといい。例えあなたに愛されなくても」という覚悟の表明であった。
ウギは「ソヨンがいつも言ってる事だね。私もそう思う」と言ってた。

スジンにはそれすら機会があたえられなかった。
だからこそマリリン・モンローをモチーフにしたのはやはりスジンのことがあると思う。
だからMVに出てくるキャラクターとスジンがよく似てたり

ホクロ!
スジン

ミヨンが憂鬱な顔で記者会見に臨んでたりしてる。

で、もうひとつ重要なポイントはシュファの事だ。
皆さんご存じの通り、シュファはスジンを心から慕っていた。叱ってくれる存在でもあったし、長女の彼女にとっては「韓国のお姉ちゃん」そのものだったのではないか。
多分スジン脱退の件で最も傷ついたのはシュファではないかと思う。
だから頑なに髪染めを拒否していた(私の髪に何かしたら一発いく、とまで言っていたらしい)シュファが、スジンのために金髪にした。
メンバーの中で一番頑固と言われる彼女が、その堅い信念を曲げてまでブロンドにしたその思い、スジン姉さんの無念を少しでも代弁できるならという決意に、繊細なミンニは涙したのではないだろうか。

思うに、最後に「変態なのはあなたの方よ」とぶった斬るのは彼女でなければならなかったのではないか。
本当はもっと別の事が言いたかったのではないか。

その後のシュファの頑張りと成長は目を見張るものがある。
特にスジンの大きなアピールポイントだった「ダンス」はライブでのソロコーナーで歌わずにダンスコーナーにするぐらい、「目指せ(G)I-DLEのメインダンサー」としておそらく苦手なセクシー系の振付にも挑戦している。
他には歌もバラエティも全力で頑張っている。

この曲とMVの意味は、他の誰も気がつかなくても、当のスジンだけはその意味がわかったはずだ。

個人の感想です。

〈追記〉
未だに彼女たちは心の奥底に怒りがくすぶっている気がする。
これまでに出たミニアルバム、2枚目のフルアルバムにも何曲か怒りを感じさせる曲があるように思う。
「QUEENCARD」カムバック時、某有名歌番組でのエンディング妖精がこれだ。

こんなエンディング妖精は前代未聞では?

というか「I sway」、5人(G)I-DLEで初めて怒りを感じさせる曲がないのではないだろうか。

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