希死念慮

毎日、毎日、
悲しくて、辛くて、
上原はやりきれない。
なぜやりきれないのかはわからない。

そんな時、酒を飲む。
嫌な事を忘れるためではない。
簡単には忘れられない。
なぜ酒を飲むのかはわからない。

何度も上原はビルから
飛び降りることを想像した。
想像の世界では、
割と簡単なことだった。

けれども、想像の上原は
簡単に死ねたのだが、
現実の上原はしぶとくも、
ここにまだ生きている。
まだ生きているからこそ、
考えれるのは死後の事だ。
心配事が二、三あった。

死後のことすら、
どうでも良くなるまで、
上原は生きようと思った。

人生は全てジョークだと、
上原は考えることにした。

また上原は思い出した。
ある本において、
自殺志願者の少女が
友人にこう言われた。

「そんなに死にたいなら、死ぬ前に
裸になってスクランブル交差点で踊ってよ」

もちろん、少女はできなかった。
今から死ぬというのに、
それは恥ずかしくて出来なかったのである。

自意識によって、苦しみ
自意識によって、生かされていた。

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