写真を撮り続けるという事
デジタルカメラを使い始めて20年以上の時が流れた。
初めは海の風景写真を毎日撮ってはSNSに日に数枚単位で載せていた。
少しづつ地元の人を中心に観てくれる人も増え、12年前には期間限定(3ヶ月)だったが小さなギャラリーを開き販売するまでになった。自らプリントにこだわり額装しての販売はとても良い経験になり自信にも繋がった。
higehiro flickr archives
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カフェ経営から写真家に転向するきっかけは癌だった。12年前の6月この時期、6時間に及ぶ大手術の結果どうにか生還した。胃がないというハンディーがあり長時間の立ち仕事の飲食業は体力落ちてきつくなると医者にも言われやめることになる。
元々写真家になりたいと写真の学校に行っていたことも過去にあったし、好きでずっと撮り続けていたこともあり、だったら写真で食おうという流れになった。その頃の事を妻は振り返って、胃の全摘で絶望的になっている私の姿を見て暫くお金にならなくても好きなことをやってほしいと思ったそうだ。そんな妻の理解もあったのでそれい応えるべく夢中で湘南の風景を撮り続け今に至る。そして良き理解者だった妻は4年前にこの世を去った。
今でこそデジタルカメラの性能も上がり、スマホも高機能化しているので素晴らしい写真がSNSに溢れるようになったが、12年前はまだSNSも黎明期ということもあり私のように毎日何枚もアップすることをしている人は今ほど多くはなかったので、お陰様で地元を中心に知名度も上がって行った。
今振り返るとどんな悪天候でも毎欠かさず海に行って朝日夕日を撮る事を3年続けた結果今があると思っている。そして、そこから仕事に繋がり、結果口コミによる紹介という形の仕事スタイルができあがった。
石の上にも3年という諺があるが私はそれを実践してみた。そこにはかなりの覚悟がいることも判った。やるんだったら人がやらない事をやるしかない。それは飲食業を経営している時学んだ事でもあった。
人生にはラッキーにも苦労もせづ上手く行く人がいるというが、そんな事はないと私は思う。見えない所で努力しているに違いない。それを見せないだけなんだと。鴨が優雅に水面を流れるように移動している姿は表に見える部分で実は水面下では足がフル回転で動いていることもあるということだろう。
そして必ず好きで楽しくやっていると言うことがある。
今は12年前の様な写真の撮り方はしていないが、一瞬の光と影は逃さないと言う撮り方に代わりはない。変わったことと言えばカメラのシステムも軽さ重視に変え、気楽に撮っているということだろう。以前の様に獲物を狙う様な感覚で撮らなくなっということだろう。誰が見ても美しい写真はSNSを通して大量にアップされている、今、私はそこから少し距離を置いた所で写真を撮っている。
梅雨も明け、これから光輝く季節がやってくる。そして色鮮やかな秋も待っている。そろそろ、また光を追いかけて東へ西へと撮りに出かけようと思う。