Ep15 リチャードと難民話
寿司にキムチをのっけて食べられるのを、キミは良しとできるか?冗談めかしてリチャードが問いかける。北朝鮮からの戦争難民がドッと日本に押し寄せてくるとする。そんな時、日本はどうするんだろうな?即答できない。きっと、法律が整ってないからとか、場所がないからとか様々な理由をつけて、受け入れることはないんだろうなと思う。
昨今のヨーロッパでのシリア難民受け入れ問題。ニュースを見ていて胸が痛くなる。治安、受け入れのコスト、場所、様々なリスクがあろうことは当然想像はできる。だけど、家を無くし、財産を無くし、国を棄て、どうにか生き延びようとする人々を、国籍だ、ビザだという手続きはいったん脇に置いて、しょうがないからうちに来い。大したことはできないけれど、寝る場所ぐらいは提供してあげる。これぐらいの気っぷの良さを先進国には見せてほしい。
ベトナム戦争のボートピープルがどうなったか知ってるか?ヨーロッパの色んな国が、有無を言わさず助けの手を差し伸べたんだよ。リチャードは続けた。そして、彼らをゲットーに押し込んでおしまいというわけじゃなかったんだ。例えばイギリスでは、経済的に自立できるようにと、彼らに教育を与え、そうして結果、彼らはそれぞれに商売を始めて、社会にインテグレートしていったんだ。これからの時代はますます難民、移民が増えるだろう?外の国の人をどう受け入れていくのか。そういうことは、いつでも考えておかないとな。
人の尊厳、気高さとは何なのかと考える。自分だけが幸せなら良いのか、人が幸せでなければ、それは自分にとって本当に幸せなことではないと思えるのか。それは単なる綺麗事なのか。世の中は矛盾に満ちている。自分よりも遥かにたくさんの矛盾を見てきたはずのリチャードでさえ、本当に難しい問題だと、腕組みしながら唸った。ミクルティーにガラムマサラを沈めて飲まれるのを、リチャードは良しとできるのかな?
画:久保雅子 www.masakokubo.com/