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#23 ひとたらし
1. 仕事だけで人は評価されない
私がサラリーマンだった時、なかなか仕事をしない営業の先輩がおりました。声をかけようとすると喫煙タイムで不在、クレームが来ても放置し、顧客にも同僚に迷惑をかけ、上司が後始末で詫びにいく。TVドラマとかの常套手段なら左遷、降格、厳重注意などいろいろな手段で本人に自覚を促すのでしょうが、不思議なことにこの先輩は憂き目に遭うことなく(憎まれ口はだいぶ叩かれていましたが)サラリーマンをしておられました。
一方の私、朝は1時間半超えの通勤電車でスマホのチャットツールを使いながら仕事、昼休みもパンを片手にパソコンで調査や資料作成、クタクタになって帰宅してからも気になることがあるとパソコンを開く…。バックヤードにも気を配り、トラブルがないか?いつも気にかけるようにしておりました。売上はもちろん私の方が大きい。
結果、先に管理職に昇進したのは先輩でした。
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2. ひとたらし
私は上司に怒りの質問をぶつけました。
「なぜ?」
「あの人、何の成果あげたんですか?」
「組織の足引っ張っている人が管理職?」
返ってきた答えは、
「あいつの良さ、お前、わからんのか?」
「はぁ?」
「仕事しないのにあいつはお客さんに好かれている。"ひとたらし"なんだよ。」
会社は、仕事ができる(と自分で思っていた)私ではなく、5時から男でひとたらしの先輩を管理職へ昇進させたのです。世は理不尽ですね。
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3. ひとたらしになってみる
当時、30代中盤の若い私に"ひとたらし"の意味は全くわかりませんでした。振り返ってみると、上司からすれば私は仕事以外の面、特に人格という点で大きな欠落があったのだろうと今はお腹に落としています。
女たらし、男たらし… 決して良い意味では使われることのない"〇〇たらし"。
私は東彼杵町という行政に転職したとき、自分の考え方を変える良いきっかけだと思いましたので、
「仕事ができる、できないではなく、あの先輩のように"ひとたらし"でいこう」
と、決めたのです。私の目指す"ひとたらし"は前述の先輩とはちょっと違います。基本は楽しそうに人との会話を重視。嫌なことはなるべく感情を出さずに融通無碍。風が吹けばなびく。右と言われたら右へ。ボケキャラ、いじられキャラでもOK。「私、アホなんです」と言える筋金入りの"ひとたらし"になる。
目指す"ひとたらし"には程遠いですが、仕事全集中に振り切ってサラリーマンをやっていたときより今は一日一日の濃度がすごく濃いように感じます。私は行政職に9ヶ月ほど身を置いていますが、心底仕事ができて皆から信頼される行政職員ほど公平公正な立場にあって"ひとたらし"が多いように思います。
この記事を偶然にでも見ることになった行政職の方がいらっしゃったら是非コメントをいただきたいものです。
4. 次回予告
今回、妻が東彼杵に遊びに来てくれた話を書こうと思ったのですが、寒波襲来でひたすら寒い毎日で面白みはなく、内容を変更してお送りしました。
次回は、コレ↓
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自ら「一緒に写真撮影してください」とお願いしてみました。