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GLOBSEC Forum 2024に参加します

ヨーロッパおよびグローバル安全保障に関する政策対話において、近年存在感を示している枠組みの一つに、GLOBSEC Forum(「グロブセック・フォーラム」)があるのですが、
大変名誉なことに、今年の会合(8月30日から9月1日に開催)にご招待いただき、参加することが決定いたしました。

https://forum2024.globsec.org/

ヨーロッパの安全保障会合に関しては、ミュンヘン安全保障対話やワルシャワ安全保障対話などが有名なのですが、GLOBSECフォーラムはいわば「第三の柱」をなすものです。
2022年以降は、ロシアによるウクライナ侵略を背景に、政策担当者や研究者が一堂に会して安全保障の議論を行うための重要な場を形成してきました。

GLOBSECフォーラムに注目すべき理由はたくさんあるのですが、ここでは2点だけご紹介いたします。

ひとつめ。
昨年、このGLOBSECフォーラムの場で、ちょっとした「事件」が起きました。
それまで、ロシアによるウクライナ侵略の「あと」でさえも、
「ロシアを辱めてはならない」(2022年6月)、
「停戦のためには、ロシアにも安全の保証を与えなければならない」(2022年12月)などの発言を繰り返し、対ロシア宥和的であると非難されていたフランスのマクロン大統領が、2023年6月のGLOBSECフォーラムで、出席者一堂を驚かせる発言を行うのです。

昨年のGLOBSECフォーラムのマクロンのスピーチ全文は以下の通りです。

このなかでマクロン大統領は、自分たちは中・東欧諸国によるロシアに対する脅威認識に十分に耳を傾けてこなかった(=ロシアに対して、より厳しいスタンスを取るべきだった)・・・という、率直な認識を口にします。これは、ロシアによるウクライナ侵略におけるマクロン大統領の「転換点」とみられ、大きく扱われました。

ふたつめ。
2023年まで、GLOBSECフォーラムは、スロバキアの首都ブラチスラバで実施していたのですが、同年10月の選挙で左派ポピュリスト政党「道標・社会民主主義」(SMER-SSD)が第1党となりました。
それに伴い、親ロシアとされるフィツォ政権が発足します。

https://www.bbc.com/japanese/66979950

そのことにより、GLOBSECをはじめ、スロバキアの外交・安全保障研究コミュニティも大きな影響を受けるのです。
私は2024年3月、自分自身が外部アドバイザーとして参加しているスロバキアのシンクタンク(CEIAS)の会合に参加しましたが、その時点ですでにフィツォ政権は、親米欧的な傾向を持つシンクタンクへの支援をほぼとりやめていたことが分かりました。
スロバキアの外交・安全保障研究者の皆さんが、一律に大変くらい顔をしていたことを良く覚えています。

実はその3月の会合の際に、参加していたGLOBSEC担当者から「今年のフォーラムは政治の事情で、ブラチスラバでは開催出来ず、プラハに場所を移してやらなければならないけど、困難があっても必ずGLOBSECフォーラムは継続しなければならないと思っているから、招待したらぜひ来て欲しい」と言われていたのでした。

このように、政治の荒波に揉まれてブラチスラバからプラハに移ったフォーラムですが、その厳しい経緯や内情を知る人間の一人として、フォーラムの成功に及ばずながら貢献したいと思っています。

https://forum2024.globsec.org/our-speakers/

メインセッションのスピーカーの顔ぶれを拝見しますと、昨年度から今年度にかけて、ROLESの出張でお目にかかった方々の多くが、今回GLOBSECに数多く登壇している様子で、ROLESで地道に行っていた研究ネットワーク作りが的を得たものだったことが再確認でき、とても嬉しく存じました。

私自身は、ロシアによるウクライナ侵略を巡る日本の立場や認識に関する発信を行う予定です。中・東欧の安全保障が重要テーマであるこのフォーラムで、私の議論がどこまで通用するのかは未知数ですが、全力で議論に貢献してきたいと思います。

ご関心のあるメディア関係者のかたがおられましたら、ぜひご一報下さい。

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