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宮川大輔は何故面白いのか


① 導入


1972年9月16日、京都市内のある病院に大きな産声がこだました。 

宮川大輔(0歳)

「アカーン!!アカーン!!」という一風変わった産声をあげる赤ん坊。後に日本のお笑い業界を席巻することとなる、天才芸人・宮川大輔の誕生である。

その後すくすくと育った大輔少年は高校卒業後nscに入学し、引退詐欺男(ほっしゃん。)とチュッパチャップスというコンビを結成。デビュー間も無くして、吉本印天然素材のメンバーとなり、アイドル的な人気を博す。その後天然素材の解散に伴い一度は芸人としての活動を休止するが、会社からのオファーで吉本新喜劇に出演するようになり、芸人復帰を果たす。現在は、イってQやすべらない話などの数々の人気番組のレギュラー芸人であり、絶えずお茶の間の人々を笑わせている。

wikipediaの情報を参考に宮川大輔の経歴を簡単にまとめてみたが、この経歴を見ても、宮川大輔が一流であることがよく分かる。私自身も宮川大輔が大好きで、野糞中にヤギに遭遇した話なんかは、初めて聞いた時丸三日笑いが止まらなかった。

しかし、ある日青空レストランで「うまーい!!」と絶叫する宮川を見て、ふと思ったのだ。

あれ、この人ってなんで面白いんだろう??

②この人はなぜ面白いのか(他の芸人編)

松本人志、川島明をはじめ、テレビに出ずっぱりの一流の芸人は、宮川の他にも数多く存在する。まず初めに様々なタイプの一流芸人を紹介し、なぜ彼らが面白いのかを分析していこうと思う。

①松本人志

誰もが知ってる笑いのカリスマ、まっちゃん。彼の面白さは、ワードセンスと着眼点の特異性にある。

「浜田の息子は珍しいでぇ。エラ呼吸やからね。」
「世界広しといえど、十二支を全部殺したのは浜田だけやからね。」
「浜田はタバコ投げるために吸うてるからね。」

どうしてこのような面白い言い回しが瞬時に思いつくのかというレベルでワードセンスが神がかっている。

また、着眼点も目を見張るものがある。面白いVTRが流れた後、並の芸人なら、そのVTRの一番盛り上がった面白ポイントについての秀逸なコメントを残そうとする。しかし松本の場合、ほとんどの人はスルーしたが、よく考えたら面白いところについて言及して笑いを取りがちである。言われてみれば面白いという「気づき笑い」を起こせるのも、彼の凄さだろう。

②志村けん

この顔で笑わん子供おらんやろ

こちらも誰もが知ってる伝説のコメディアン。彼に笑わされたことのない人間はいないのではないだろうか。

彼の場合、顔、動作、声、全てがコミカルで、何も考えずに笑える。最近のお笑いはセンスが求められがちであり、志村の笑いの取り方は古いのかもしれない。しかし、コメディアンとしての志村けんは、恐らく、赤ちゃんや外国人でも笑えるような人間が本能的に面白いと思うものであり、時代が変化しても彼の笑いは永久に受け入れられるだろう。ふへん的(不変と普遍のダブルミーニング)であるという点において、彼の芸風は最強のものなのかもしれない。

③くっきー!!

柴田理恵

狂気を笑いに昇華させ、一つの笑いのジャンルを確立したと言っても過言ではない孤高の天才、くっきー!!。言うまでもなく、彼の面白さは、カオスさにある。彼のコントでは、鍾乳洞でチ○コを切り落としたり、ゾウの顔が二つに割れて中から宮川大助が飛び出してきたりと、凡人には想定出来ない展開が繰り広げられる。基本的に笑いというものは、普通ではない状況、我々の想定を超えた状況を目の当たりにした時に引き起こされるものである。一見するとめちゃくちゃに見える彼の芸風だが、実はこのような笑いの基本に沿った、ある意味で正統派な芸風なのかもしれない。

③本題:なぜ宮川大輔は面白いのか

それでは、なぜ宮川大輔は面白いのだろう。

まず、彼を構成する一つ一つの要素を見て行こう。

1.ワード

彼の発する言葉の例は以下の通りである

「アカーン!!」
「臭っ!!」
「ここの水は死んでますか?」
「うまーい!!」

非常にシンプルで、「ここの水は死んでますか?」以外は我々が日常生活で普通に使う言葉である。恐らくこの字面を見て面白いと思う人はいないだろう。

しかし、彼がこの言葉を発すると、何故か笑ってしまうのである。

2.見た目

こちらは高級なししゃもの顔真似をする宮川大輔である。別に志村けんのような変な顔をしている訳ではなく、稲ちゃんのように超絶ブサイクというわけでもない。一見するとただのPK前のキッカーにしか見えず、赤ちゃんが見てもこの顔で笑うことはないだろう。

しかし、何故だか面白いのである。

発する言葉も見た目も普通なのに、何故面白いのだろう。お笑い好きとしてはなんとしても宮川大輔の生み出す笑いのメカニズムを解明したく、三日三晩飲まず食わず、金田一耕助のように頭を掻きむしりフケを撒き散らしながら考えた。その結果出た結論がこちらである。

絶妙に普通じゃなく、アホっぽいから。

先程くっきー!!の章でも述べたが、笑いというものは、普通ではない想定を超えた状況、つまり普通とのズレによって発生するものである。松本人志なら、着眼点や使うワードが普通とズレており、志村けんなら見た目や動き、くっきー!!なら世界観が普通とズレている。

宮川大輔の場合、見た目もワードも普通でズレが無いのに、何故面白いんだろうと思っていた。しかしよく考えると宮川の芸風もズレを孕んでいたのだ。

例えば、宮川は絶望的な状況に陥った時、大声で「アカーン!!」と叫ぶ。一見すると極めて自然なリアクションに見えるが、我々がそのような状況に陥った時、彼と同じ反応をするだろうか。ほとんどの人は顔を引き攣らせ「やばい、どうしよう」と小声で狼狽すると思われる。自分の心理を端的な言葉で大声で叫ぶ。これがどうもアホっぽく映り、普通とのズレを孕んでいる。

他のフレーズも同様である。大きな声で端的な言葉を叫ぶというのは、普通でないアホっぽさを孕んでいるのである。

しかし、彼の顔が面白い理由はよく分からなかった。

試合前の本田圭佑と、高級なししゃもの顔真似をする宮川大輔を見比べてみたが、これはほぼ一緒である。しかし本田圭佑の顔からは真剣さを感じるが、宮川大輔の顔からはアホっぽさしか感じない。宮川大輔が芸人であることを知っているから面白く感じるというハロー効果的なものが原因であるということで一旦結論づけておくが、個人的には納得のいかないものである。もし読者の皆様(と言ってもこんな記事家族しか見てないだろうが)の中に宮川大輔の顔が面白い理由が分かる方がいれば、コメントで教えて頂きたい。

④.ラスボス板尾の存在

ここまで、なぜ宮川大輔は面白いのかということについて、他の芸人との比較を交えながら論じてきたが、その過程で、とある笑いのメカニズムが最大級に難しいラスボスの存在に気づいてしまった。その名も

ネプリーグのファイブボンバーで、一言も発さずに爆発させてしまった伝説の放送事故。無言なのに面白い。
ケータイ大喜利の審査員長として最後に一言求められたのに、何も言わずに番組が終了してしまった伝説の放送事故の一コマ。これまた板尾は一言も発していないのに、めちゃくちゃ面白い。

板尾創路である。

真顔で無言で突っ立っているだけで面白いのははっきり言って意味がわからない。この芸当は板尾にしか間違いなく板尾にしか出来ないものであり、この面白さを理屈で説明するのは不可能に近いだろう。

彼の面白さは単純にネタセンスにあるのではないかと考える人もいるかもしれないが、私はそのような簡単なものではないと考える。

彼の大喜利を見ていても、シンプルに面白いものもあれば、文字起こししてみると全く面白くないが板尾が言うことによって面白くなるものもあり、個人的にはこちらの方が多いと思う。なぜ板尾フィルターを通すとなんでも面白く聞こえるのか。非常に気になるところである。

透明人間になる飲み薬、あまり使いたくない副作用とは?というお題に対する答え。捻りも何もないが、板尾がいうと面白い。

ということで、今回は宮川大輔が面白い理由について分析してきたが、完全に解明することは出来なかった。

それと同時に、板尾創路という、新たなる面白い理由がよく分からない芸人を発見した。もっとお笑いについての知見を深め、いつの日か宮川大輔、そして板尾創路の笑いのメカニズムを完全に解明できるようになりたい。


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