宮崎育成牧場「ドリームサポーターズクラブ」2020年応援馬
JRAの宮崎育成牧場は、JRAがせりで購買した馬やJRAが生産した馬(JRAホームブレッド)を育成しています。JRAの育成牧場は、宮崎と北海道の日高の2か所にあります。今年、宮崎では牡馬10頭、牝馬12頭の計22頭が育成されています。育成馬は、毎年4月のブリーズアップセールで馬主の方へ売却された後、競馬場でのデビューを目指します。
宮崎育成牧場では、毎年ブリーズアップセール前の3月下旬に一般のファン向けに開催されるイベントの「春の育成馬見学会」において、牧場が育成した馬の中から牡馬と牝馬を1頭ずつの投票を募り、翌年5月までにレースを勝った際にはゴール前の写真をプレゼントされる「ドリームサポーターズクラブ」という企画を実施されています。なお、宮崎育成牧場のファン参加型イベントとしては、10月下旬の「秋の育成馬見学会」、2月中旬の「育成馬調教見学会」と年に3回も行われ、非常にファンサービスに熱心です。これとは別に、ブリーズアップセールでの購買関係者向け(一般ファンも参加可能とのことですが、2020年は購買関係者限定で実施)の育成馬展示会が中山競馬場への出発直前の4月上旬にも行われます。
自分はここ数年、秋の育成馬見学会と春の育成馬見学会(余裕があれば育成馬調教見学会も)に参加させていただき、育成馬の成長を確かめ、応援馬を投票することを楽しみにしていましたが、2020年は春の育成馬見学会が中止になりました。
しかし、昨年に「ドリームサポーターズクラブ」の登録をしていた人は、牧場サイドのご厚意で郵便・FAX・電子メール(4月15日(水)締切)で応援馬の応募を受け付けていただくことができ、自分も今年改めて応募馬を選ぶことができました。このような事態の中でも、ファンサービスのためご尽力いただいた牧場のご担当者様にお礼申し上げるとともに、今年も宮崎育成馬を応援していきたいと思います。
それで、全部で22頭の中から応援馬を選ぶのはずいぶん悩みましたが、以下の2頭を応募いたしました。
牡馬…アカカホールの18
毛色:芦毛
父:クリエイターⅡ(新種牡馬)
母:アカカホール
母父:ダイワメジャー
生年月日:2018年1月25日
生産牧場:笠松牧場
生産地:浦河
購買市場:サマーセール
購買価格:540万円
騎乗供覧タイム(4月7日):2F12.1-1F11.6
調教タイム(4月19日):2F11.3-1F11.6
縮尺(4月16日測定)
体高:161.0cm
胸囲:170.5cm
管囲:20.0cm
体重:424kg
台付価格:400万円(4月25日公表)
購買者:林文彦
落札価格:1,353.0万円(税込)
(ブラックタイプ)
(JBIS情報)
(写真1)(写真2)
(調教動画)3月31日公開
(騎乗供覧タイム一覧表)4月7日開催
(常歩動画)4月16日追加
(縮尺表)4月17日追加
(調教動画)4月上旬版 4月17日公開
(直前調教動画)4月25日公開
(入札結果)4月28日
秋の育成馬見学会(2019年10月26日)の様子
本馬は新種牡馬クリエイターⅡの産駒です。クリエイターⅡは父が2014年~2016年の北米リーディングサイアーのTapit、母はペルーで2歳、3歳、古馬での最優秀牝馬に輝いた名牝Morenaです。現役時代は米国三冠レース最終戦のベルモントステークス(動画)で、直線で馬群をこじ開け抜け出し、最後は粘るDestinをハナ差交わして優勝しました。このとき3着に抑えた馬は、同じ父Tapitを持ち、武豊騎手を鞍上に日本から参戦したラニでした。引退後は日本軽種馬協会に購買され、静内種馬場にてスタッドインしました(関連記事)。わが国では初のTapitの後継種牡馬となります。ちなみに、馬名に「Ⅱ」がつくのは、かつて同名の種牡馬がいたからです。先代のクリエイターの代表産駒には、中京記念や函館記念を勝ったアロハドリーム、神戸新聞杯を勝ち、香港国際ヴァーズにも参戦(4着)したタニノクリエイトなどがいます。
本馬の母アカカホールは、ダイワメジャー産駒でJRAの羽月友彦厩舎からデビューしましたが、5戦未勝利で繁殖入りしました。ブラックタイプを見てみますと、本馬の4代母には牝馬ながらフォーティナイナー、シーキングザゴールド、ブライアンズタイム、リズンスターらを下してケンタッキーダービー(動画)を制したウイニングカラーズの名前があります。
本馬は浦河の笠松牧場の生産で、サマーセールにて540万円で購買されました(セール時の写真)。
本馬は、4月5日(日)放送のグリーンチャンネル「馬産地通信」のブリーズアップセール注目馬紹介のコーナーに登場し、初仔で馬体は小さいが、トビも大きく、ストライドの大きい、柔らかみもあって長い距離を走るのではないかと思わせる走りぶりとの評価でした。
4月7日(火)に宮崎育成牧場で行われた騎乗供覧では、2F12.1-1F11.6となかなかの走りを披露しました。
また4月19日(日)の調教では2F11.3-1F11.6と更にタイムを詰めました。
個体情報開示によりますと、左前屈腱太めが認められますが、エコー検査では腱実質に異常を認めておりませんとのことです。
本馬はブリーズアップセールの上場No.4で、新規馬主限定セッションに登場します。新規馬主限定セッションの対象として選定されるには、市場購買馬については順調に調教を消化できていることが基準の一つになるとのことですので、セールにおいても期待できそうで、早めのデビューを願わざるを得ません。
父がクリエイターⅡで、4代母がウイニングカラーズということから、夢は大きく米国クラシックに参戦とぶち上げたいところですが、まずはダート戦で堅実に走った上での勝ち上がりを期待したいです。また、父ディープインパクト、母タピッツフライ(母父Tapit)にグランアレグリアがいることから、ディープと同じくサンデー系のダイワメジャーを母父に、Tapit直仔のクリエイターⅡを父に持つ本馬は芝での走りも見てみたいところです。
自分はJRA育成馬を応援する中で、JBBAの種牡馬好きになってきており、また、本馬は芦毛でもあり、非常に気になっていました。初仔ゆえ小柄ということはありますが、応援馬に投票しました。
本馬は4月28日(火)の第1回入札で林文彦氏が税込1,353.0万円で落札されました。林氏はフェアリーポルカ、ココロノトウダイの半妹フミチャン(牝2・父クロフネ)を所有されておられます。
オーナー様との素敵な出会いを経て、競馬場で活躍する日を期待しております!
牝馬…ハニーダンサーの18
毛色:黒鹿毛
父:スクワートルスクワート
母:ハニーダンサー
母父:Danehill Dancer
生年月日:2018年5月13日
生産牧場:本田土寿
生産地:熊本
購買市場:九州
購買価格:367万円
騎乗供覧タイム(4月7日):2F12.0-1F11.0
調教タイム(4月19日):2F12.8-1F12.2
縮尺(4月16日測定)
体高:161.0cm
胸囲:180.0cm
管囲:19.9cm
体重:485kg
台付価格:300万円(4月25日公表)
購買者:岡浩二
落札価格:1,122.0万円(税込)
(ブラックタイプ)
(JBIS情報)
(写真1)(写真2)
(調教動画)3月31日公開
(騎乗供覧タイム一覧表)4月7日開催(再掲)
(常歩動画)4月16日追加
(縮尺表)4月17日追加(再掲)
(調教動画)4月上旬版 4月17日公開
(直前調教動画)4月25日公開
(入札結果)4月28日(再掲)
秋の育成馬見学会(2019年10月26日)の様子
本馬はスクワートルスクワート産駒の九州産馬です。父スクワートルスクワートは、現役時代BCスプリント(動画)に勝ち米国チャンピオンスプリンターとなりました。引退後は日本軽種馬協会に購買され、静内種馬場にてスタッドインした後、胆振→九州→七戸で繋養されましたが、九州での繋養時に産まれた世代からエフェクト、キリシマオジョウが2年続けて九州産馬限定のひまわり賞を制するなど相次いで活躍したことから、地元生産者たちからの熱いラブコールを受けて再度九州種馬場で繋養されています(関連記事)。なお、馬名の由来はポケモンのキャラ「ゼニガメ」とのことです。自分はJBBAの種牡馬好きであることに加え、宮崎育成牧場で育成された青森産馬スズカモンド(現在名古屋競馬場所属)を応援していたこともあり、個人的には馴染みの種牡馬であります。
母ハニーダンサーは、Danehill Dancer産駒の持込馬で、JRA沖芳夫厩舎からデビューしました。新馬戦は2着と好発進し、その後は2着1回、3着2回があったものの勝つことはできず、園田での3戦を加えて12戦未勝利で繁殖入りしました。産駒7頭中、5頭がJRAか地方のいずれかで勝ち星を挙げています。2017年産駒からは熊本で繁殖生活を送っており、その2017年産ローランダーは、一般馬相手の新馬戦6着後に九州産限定未勝利戦を勝ち上がり、ひまわり賞に1番人気で出走しました(2着)。また母系にはピルサドスキー、ファインモーションの名前が見えます。
本馬は熊本の本田牧場の本田土寿氏の生産で、九州市場にて367万円で購買されました。「九州のノーザンファーム」本田さんには、昨年小倉競馬場でのイベントでお目にかかり、たいへん楽しくお話をさせていただきました。
本馬もグリーンチャンネル「馬産地通信」にて取り上げられ、馬格もかなりあり、牝馬ながらこの時期にしては大きい方といえ、調教も順調に進んでおり、単走で13秒台を出している。短距離もさることながら、中距離まではこなしていくのではと考えているとの評価でした。
4月7日(火)に宮崎育成牧場で行われた騎乗供覧では、2F12.0-1F11.0で走り、これはこの日の一番時計でした。
また、4月19日(日)の調教では、2F12.8-1F12.2のタイムでした。
個体情報開示によりますと、病歴として左飛節部OCDを確認(購買時)、左前内側管骨瘤(2019年10月27日)、右前内側管骨瘤(2019年11月30日)がありますが、特別な開示事項はございませんとのことです。
本馬は4月28日の第1回入札で、岡浩二氏が税込1,122.0万円で落札されました。岡氏はセレスハント、メイクアップ、ウスベニノキミ、キヨマサなどのオーナーで、関西を拠点にされておられます。このところ、JRA育成馬の九州産馬は関東に入厩するケースが目立ち、それゆえか小倉の新馬戦、ひまわり賞に出走するケースは少なかったですが、久々に関西に入厩してくれたら、小倉のレースに出走するのではないかと期待できます。
宮崎育成牧場の育成馬には、九州市場、八戸市場やセレクトセール、セレクション・サマー・セプテンバーセールでの購買馬、さらにはJRAホームブレッドもいて、出身がバラエティに富んでいる点でも面白いと思います。セレクトセールやセレクションセールでの高額(相対的に)購買馬を応援するもよし、九州市場や八戸市場で購買した九州産馬や青森産馬、サマーセール・セプテンバーセールでの穴っぽい馬、さらにはJRAが生産したJRAホームブレッドも、それぞれのスタンスで応援する馬を見つける楽しみがあると思います。自分は昨年も九州産馬レディーフラッシュを応援馬にしましたが、残念ながら調整遅れのために夏の小倉の九州産馬限定戦でのデビューには間に合わず、ようやくデビューしたものの苦戦が続いてます。また、昨年はもう一頭九州産のトキノノゾミが育成されていましたが、こちらはJRAではなく川崎でデビューし、新馬戦を勝ち、さらには2月の佐賀のたんぽぽ賞にも勝ちました。ただし、JRAでデビューしなかったので「ドリームサポーターズクラブ」の対象外になってしまいました。
なお、佐賀競馬場で行われる九州産馬限定重賞たんぽぽ賞は、昨年のトキノノゾミ、一昨年のエリーバラードと、2年連続で宮崎育成牧場の育成馬が優勝しており、本馬もこれに続くことが大いに期待されます。しかしその一方、これら2頭は夏の小倉の九州産馬限定戦には出走していないんですよね(トキノノゾミは地方競馬の川崎でデビュー、エリーバラードは6月の東京開催でデビュー後、福島→中山と出走し、一般馬相手に3戦連続4着後佐賀の交流戦を勝利)。これは九州産馬の出走ローテーションの新しい在り方かもしれません。特に今年は当初予定されていた東京オリンピックの開催及び暑熱対策ということで夏の小倉開催が4週に短縮されていますから、九州産馬限定戦の動向にも注視したいところです。
そのようなことから、レディーフラッシュのリベンジとトキノノゾミに続けという意味を込め、かつ十分な馬格を備えていますので、今年の応援馬に投票しました。ただし、「ドリームサポーターズクラブ」の対象となるためにはJRAからのデビューが必要なので、本馬にはぜひともJRAからデビューしてほしいところですし、できることなら小倉でデビューして、ひまわり賞を目指してほしいところです。。
更にいえば、今までお世話になっていた「九州産馬POG」(佐賀競馬で夜更かし)が、番組の終了に伴い一段落することになったので、九州産馬を応援する機会がひとつ減ったことというのもあり、本馬を応援したいと思います。
そして、自分はdskさん主催の道営POGにもお世話になっていますが、今年ホッカイドウ競馬の角川厩舎からデビューするライトシャワー(父:ゴールスキー…新種牡馬、母:フリードリームズ)が、能力検査の内容がよく、馬格も立派であることから一部で評判になっており、自分もギリギリまで指名を迷いました。ライトシャワーは4月23日(木)のフレッシュチャレンジでデビューし、2番人気を集めましたが出遅れて後方から進めて5着でした。本馬にはいずれライトシャワーとの対決も期待したいところです。
今年はブリーズアップセールの方式が変更され、メールでの入札で行われることになりました。自分が応募馬に投票した2頭を含め、宮崎育成牧場、また日高育成牧場でも育成された馬たちが、馬主の方との素敵な出会いに恵まれ、競走馬として活躍できることを期待しております。
また育成馬ファンの皆さん、各々の応援馬を応援して、盛り上げて行こうではありませんか!
よろしくお願いいたします。