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マウスポインタ労働組合設立にご協力ください

割引あり

マウスポインタには爪がない。
白い手袋を装着しているのである。
なぜか?
考えてみよう。
この指は人の指示を受けて動くものであるから、この手の主は何らかの職業に就いている可能性が高い。(よって、ここではこの指がボランティアで動いている可能性を除く。)
では、その職業は現実に即したものか?
それとも画面の向こうにのみ存在する、三次元の我々にとっては架空の職業か?
まず、手袋をつける理由を考えよう。
手の保護?
オシャレ?
手の皮膚に隠したい何かがある?
マウスポインタは、日々「フォルダ」や「アイコン」、様々なものに触れる。人が縦横無尽に画面上を滑らせるものだから、その動きの刺激にも耐えなければならない。
とすれば、マウスポインタが白い手袋をつけている理由は「手を保護するため」だ。
加えて、「フォルダを開く」「ページを開く」という動作をするうえで、手の表面が滑ってはいけない。指サックのような役目も果たしている。

"マウスポインタの主は、手を保護し、滑り止めを施すために白い手袋を装着する必要がある職業に就いている。"

見てみると、マウスポインタとは中々激務である。
このような職業は現実に存在するだろうか。
というより、マウスポインタそのものが、そもそも職業ではないか。

「白い手袋をはめて、指示されたフォルダを開いたり、ページにアクセスします。人間は直接その手で触れられないので。」

インタビュー記事「生きざま」より引用

職業マウスポインタは、人にできないことを代わりに達成している。
マウスポインタなくして、人はどのページにもアクセスしえない。
では、マウスポインタを必要としないスマートフォンの拡大は、マウスポインタから仕事を奪っていることに他ならないのではないか。
マウスポインタ(以下、彼らと呼称)は電話交換手のようなもので、私たちは彼らを介してアクセスしたいページにコンタクトするが、彼らそのものにアクセスすることはできない。

なぜ彼らは「上」を指しているのか?

彼らは何を考えているのか?
彼らは概して右利きだ。
彼らの手の大きさは一様だ。
腕は描写されていない。
男性だろうか?
女性だろうか?
それとも彼らにもLGBTQのような多様性がある?
そもそも私は彼「ら」と自然に表現しているが、なぜ私は彼が複数であると自然に想像したのか?

マウスポインタというものが人間から伸びた手のように想像しているが、果たして本当にそうか?腕を辿っていけば「人」に辿り着くのか?

もし辿った先に魔物がいるとすれば、もしくは、何も無いとすれば。
私たちは今までと同じように、マウスポインタを使役することができるだろうか。タッチパネルのほうが、はるかに健全で安心だと思って、そちらを採用するのではないだろうか。
人はいつの間にか、彼らの根元に人がいると錯覚している。
しかし、それを示す証拠は何もない。
もし動物がいるとすれば、我々は動物を奴隷的に使役していることになる。

よく考えてみれば、手袋は固定化されている。指に柔軟性はない。
手ではない何かに、手袋の形の何かを装着されているだけ、とは考えられないか?むしろそれが自然じゃないか?

先述したように彼らはマウスポインタという職業に就いているが、彼らは無限に、それも好きな時間に働かされている。給料は真っ当に払われているか?
ストライキを起こす権利は?
PCが破棄されるとき、彼らの次の仕事先は?
どんな権利が保障されている?

今までマウスポインタを保護する言論はこの世にあったか?
いや、ないと思う。

マウスポインタ労働組合設立にご協力ください

マウスポインタ労働組合設立にご協力ください

マウスポインタ労働組合設立にご協力ください

私はマウスポインタの権利を保護すべく、資金を調達したい。
マウスポインタの労働組合を設立するのだ。
PCの一機能ではなく、PC内部で働く労働者(これも人であるか動物であるか定かではない、そもそも今まで考えられることさえなかった)として、彼らの労働環境を是正するべきだ。

以下の有料部分を購入し、マウスポインタの生活保護にご協力を。
マウスポインタは今もあなたに従って動いている。
この機会を逃せば、あなたがマウスポインタに対して恩を返すことは二度とできなくなる。
逆に、ここで投資するということが、あなたとマウスポインタに絆を生み出し、正当な雇用関係を結ばせることにも繋がる。

マウスポインタたちはあなたを待っている。
マウスポインタたちはあなたとの友情を待っている。
マウスポインタたちはあなたとの絆を待っている。

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