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【ne】遠く-現代詩

凍りついているような静けさに取り囲まれて
時折の衝撃を我が身に感じ
深く暗い奥底の蠢きも
今ではもう、微動だにせず
私は私を構成する何らかを把握するために必要な全てを失いはじめている

喧騒は遠く
始まりは遙か遠く

離れていく
少しずつ
昨日と今日の区別もなく
しかし、確かな事実として

私はここにいる
だが、ここにのみいるわけではないらしい
私は遠ざかる
ここからとは、何処からなのだろう
何処へ向かうのだろう

凍てつく静寂は隙間なく敷き詰められている
私は、私である必要性を少しずつ失いはじめている
それでもまだ、私は理解しているのだ
私は遠く、離れていく
ここから
始まりから
どこかへ
終わりと口にするのは簡単だ

いつか辿り着くとしたならば
それはきっと

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