「インターネット」はたしかに楽しかった。2
学生から社会人になり会社勤めをするようになったころのインターネット界隈のことを僕はあまり覚えていない。ウェブサイトは細々と作っていたと思うが、さて、当時の僕はどんなコンテンツを社会の片隅に垂れ流していたのだろう。FLASHを使ったサイト作成が人気で僕もそれに取り組んでいた記憶がある。
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会社勤めに馴染むことに失敗して派手に転んだ僕は会社を退職しフリーターになった。フリーターをしながら小説家の真似事をし、知人と個人事業の真似事も始めた。もちろん、当時は真似事と思っていなかったが今となってはやはり真似事でしかなかったと思う。戦略があったわけでもなく、勝算も特になかった。そのくせ、気持ちだけは事業主気取りで作家気取りなのだから始末が悪い。この頃は何組かのインディーズミュージシャン向けにウェブサイトの作成代行をしていた。cssやjcode.plを使ったサイト表現を多用していたが、この頃から少しずつ自分のウェブサイト作成に関する知識が時代遅れになりはじめた。iPhoneの3gsが一世を風靡し、スマホと呼ばれる端末たちが人々の手に行き渡りはじめた頃。AppleデバイスがFlashをサポートしないという事実!
金を取れるようなサイトは作れなくなったからこれまでに頼まれて運営したり制作したサイトを少しずつクローズしていったのもこの頃だ。インターネットが生活に浸透していき、ライフライン化していった時代。まだまだリアル店舗が強かったけれどネット上での売買が一般的な人々の生活にも当然に存在するようになってきた頃。コンテンツが尖っていて、オリジナル性の高かったニコニコ動画が大人気で、YouTubeは今ほどの勢いはまだ持っていなかった。YouTuberなる人種はまだ存在しなくて、コンテンツを配信して金を稼ごう、という状況に至るまでにはまだ少し時間が必要だった。それでも、ニコニコがオフイベントを打ってそこに有力な配信者が出演するなど、明らかに時代はその様相を変化させていた。
続きます