【AZ】Paul Sewaldをトレードで獲得!!!!!!
お疲れ様です。先日のクイーンSではスタートから中段につけたドゥーラが4コーナー手前で進出を開始。先行馬が有利とされる札幌2000mでありながらあっさりと差し切っての強い競馬を見せて見事優勝しました。オークス3着の実力、軽い斤量を生かした強い立ち回りでしたね。ちなみに私は2着のウインピクシスも3着のコスタボニータも切っておりましたので無事払い戻しがありませんでしたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
さて、TDLの申し子こと我らがD-backs、我らがMike Hazenがついに動きを見せ始めました。まず第一弾として、シアトル・マリナーズからクローザーのPaul Sewald(ポール・シーウォルド)をトレードにて獲得しています。
今回のトレードに関してその意図と対価、加えて今後の展開について簡単に見ていこうと思います。よろしくお願いいたします。
トレードの背景
まず、D-backsは今季、救援陣に不安を抱えています。先日のマリナーズ戦においてもなんとか勝ちきったとはいえ9回を凌ぐために3投手をつぎ込む満身創痍ぶり。重要な局面を任せられる強力なリリーフは、今季のみならず来季以降に向けての重要な補強ポイントでした。詳しくは以下の記事をご覧ください。
トレードに関連する選手
トレードの概要は以下のとおりです。D-backsはシーウォルドを獲得し、対価として3人の野手を放出しています。
D-backs獲得
Paul Sewald(ポール・シーウォルド)
マリナーズ獲得
Josh Rojas(ジョシュ・ロハス):ユーティリティ
Ryan Bliss(ライアン・ブリス):二塁手/遊撃手
Dominic Canzone(ドミニク・ケンゾーン):外野手/一塁手
それぞれの選手について簡単に見ていきましょう。
Paul Sewald(ポール・シーウォルド)
今となってはマリナーズのクローザーとして君臨するシーウォルドですが、そのキャリアは平坦なものではありませんでした。2012年のドラフトでメッツから10巡目指名を受けて入団後、5年をかけてMLBに昇格した彼は、この年57試合に登板し、リリーフとしてある程度の基盤を築いたかと思われます。しかし、このあと彼の成績は徐々に降下。2020年にはついにメッツから放出されてしまいました。
そんな中、シーウォルドに価値を見出したのがマリナーズでした。マリナーズはシーウォルドがボールを離す位置が低く、ホームベース板上を通過する際のボールの角度(VAA:Vertical Approach Angle)が0に近い(=優秀)ため、打者から見てストレートが浮き上がってくるように見えることに着目。さらにリリースポイントを低くするなどフォーム改良を加えることで、シーウォルドをMLB屈指のリリーバーに成長させました。このあたりについてはすでにいくつかの解説が出回っていますので、詳しくはそちらを参考にしていただければと思います。
今回シーウォルド獲得に至ったポイントとしてもちろん対価の小ささや投手のレベルもありますが、2024年まで保有できるという点もかなり大きかったように思います。というのも、D-backsはあくまでもここから継続的にプレーオフを目指すチームであり、今季に勝負をかけるチームではないからです。
複数年保有できる優秀な投手であれば、ある程度長い期間をかけてチームの投手力を底上げすることができるのは大きな魅力です。ただ、そういった投手は往々にして対価が高く、トレード成立は難しいもの。それだけに、今回シーウォルドのトレードが成立したことは喜び以上に、驚きのほうが大きいというのが正直なところです。
Josh Rojas(ジョシュ・ロハス)
ロハスは昨季まで主に二塁や三塁、外野のレギュラーとしてプレーしてきたユーティリティプレーヤー。2019年にZack Greinkeとのトレードで加入した後、2021年にはレギュラーに定着し、様々なポジションをたらい回しされながらもfWAR1.7を記録。2022年には125試合で打率/出塁率/長打率.269/.349/.391、fWARも2.7と、大きな貢献を残しました。再建期のどん底を支えた縁の下の力持ちと言えるでしょう。
そんなロハスですが、今季は打撃不振に苦しみ、6月19日にはAAAに降格するなど出番が減少していました。マイナーでも不調が続いており、内外野ともに戦力が出揃いつつあるD-backsにあってはやや居場所が失われつつあったと言っていいでしょう。反面、昨季までの活躍を考えれば野手の弱い球団ではまとまった出場機会を得られる可能性が高かったのは確か。野手の攻撃力に不安を抱えているマリナーズに移籍するのはロハス本人にとってもよい結果につながりやすいように思われます。
Ryan Bliss(ライアン・ブリス)
ブリスは2021年のドラフトで2巡目指名を受けて入団した23歳の二塁手/遊撃手。現在MLB公式ではチーム内29位、Fangraphsではチーム内25位の評価を受けるプロスペクトです。小柄ながらもパンチ力と二遊間にとどまるだけのスピードやアジリティを備えており、入団3年目の今季はAAでスタートし、上半期のD-backsマイナーにおけるMVPに選ばれる活躍を見せていました。今季のマイナー通算では349打席で13本塁打、.332/.391/.556と、D-backsのAA/AAAが打者有利なことを差し引いても素晴らしい打力を発揮しています。
ドラフト時の評価↓
ただ、そんなブリスもMLBでの出番があるかは微妙なところでした。現在のD-backsはKetel MarteとGerardo Perdomoが二遊間で大きな貢献を残しているほか、AAAにはDiego CastilloやBlaze Alexanderといった40人枠に入っている二遊間の選手が好調を維持している状態。さらに同期のトッププロスペクト・Jordan LawlarもAAに適応しつつあり、余剰戦力化する可能性が高かったのです。前述のロハス同様、ブリスにとってもこの移籍はプラスにはたらく可能性が高いのではないでしょうか。
Dominic Canzone(ドミニク・ケンゾーン)
ケンゾーンは2019年にドラフト9巡目指名を受けて入団した25歳(8月で26歳)の外野手兼一塁手。公式ではチーム内19位、Fangraphsではチーム内28位のプロスペクトです。細身の体格ながら打球速度は最速112.6mphをマークし、これはMLBの上位20%に相当します。反面スピード不足から守備面には不安を抱えており、MLB昇格を阻む要因となっていました。
そんなケンゾーンですが、今季AAAでOPS1.065を記録する大活躍を見せ、7月7日に満を持しすぎて40人枠に登録、同時にMLB昇格を果たしました。初期はなかなか結果を残せない日が多かったのですが、徐々にMLBに適応。直近7試合ではOPS.820を記録するなど、その打力の高さを発揮しつつありました。
ケンゾーンは、個々の選手の立場に立てば間違いなくこのトレードで一番の勝ち組だと言えるでしょう。現在のD-backsは左打ちの外野手が飽和状態であり、守備面の不安があるケンゾーンの出場機会は対右打者のDH、もしくは代打に限られていました。一方、マリナーズは左翼のレギュラーが不在な上、A.J.Pollockをトレードで放出。さらには右翼のTeoscar Hernandezの放出を検討しているという報道が複数のメディアから出ています。少なくとも、D-backsにいるよりは出番が増えるのは明白です。ケンゾーンにとっては大きな利益を伴うトレードになるのではないでしょうか。
トレードに関する評価と今後の動き
少なくともD-backs側から見れば、大成功のトレードであるように思われます。長年の懸念材料だった救援陣に対して大きな手当てをすることができ、今季、さらに来季のプレーオフに向けてチーム力の底上げに成功しました。
また、ロハス、ブリス、ケンゾーンはいずれもチーム内で余剰戦力とみなされていた選手。能力はMLBレベルに近いものを持っていたとしても、今後完全に出番を失ってしまう可能性は十分にありました。そのような3選手から2024年まで保有できるクローザーを獲得したというのはもはや理想的というレベルを超え、妄想に近い話にすら思えます。
一方、あくまで他球団からの目線ではありますが、少なくともマリナーズにとっても悪いトレードではないように思われます。現在のマリナーズは救援陣が充実しており、シーウォルドがいなくても十分にリーグ屈指の質を誇っています。また、他球団では育てきれなかった投手を救援投手として魔改造する技術にも長けていますので、シーウォルドを失っても大きな痛手になる可能性は高くないでしょう。
また、マリナーズは現在トレードでベテラン野手の放出を進めており、今季よりも来季以降のプレーオフに切り替えつつあるように思われます。比較的若いMLBレディの野手を3人確保することで、この穴を埋めるとともにマイナー組織の厚みを増そうというのが、今回の選手選択の狙いではないでしょうか。少なくとも方向性としては理解のできる動きであるように思われます。
最後に、今後のD-backsについて触れます。ここまで買い手宣言こそありつつも明確なトレードに関する動きを見せてこなかったMike HazenGMですが、ついに実際のトレードを行いました。
今回のトレードが明らかに今季だけに焦点を絞ったとは思えません。むしろ、複数年保有可能なシーウォルドを狙ったことからも来季以降を見据えていることがうかがえるように思います。ここからもさらなる動きがあるとは思われますが、形としては余剰戦力を整理しながら課題点を補強し、チャンスがあれば複数年保有できる選手を狙っていくというトレードになるのではないでしょうか。やや消極的にも思われますが、年齢層が若く、勝負機に差し掛かったチーム事情を考えれば妥当な動きかと思います。
なお、Hazenはこれまでも、トレード期限寸前に積極的な動きを見せる傾向にありました。その点を踏まえれば、このトレードはあくまでも狼煙を上げたに過ぎないと見たほうがいいでしょう。そう、Hazenと俺たちの戦いはまだ始まったばかりだ!ここからあと約20時間、TDLまで一緒に走り抜けていきましょう!!!
トップ画像:以下のツイートより引用