変わらない何かがそこにある
1〜6話までは事前に友人の家で見ていたため、FCに加入してからは初めての試聴が7話となりました。中学生の頃に見ていたレンジャーがなんだったのかもう記憶もあやふやですが、とにかく久しぶりの戦隊モノに楽しめるのかという不安を抱えながら見始めました。
なによりも心を動かされたのは意味深な歌詞と、Bメロの流れるような早口、Aメロとサビのバックで流れているギターメロ…全てがあまりにもカッコ良すぎるOPです。
古川さんの伸びやかでありながらも戦隊モノ特有の癖のある歌い方が最高でした。曲調が好きすぎるため調べたところ、作曲者さんが私の好きな曲を多数作ってらっしゃる方で納得がいきました。とにかくノリが良く楽しい、所謂戦隊モノと言えばこれ!といった楽曲とは違い、まさに時代を良い意味で壊してくれる楽曲です。常に裏打ちのリズムで刻んでいく本作。国民の皆が普段は見ることの無い、王様の裏の顔を見せてくれているようで非常に心が躍ります。マイナーコードで進行し続ける音の並びが、王様達のこの先の未来をただ明るいだけのものでは無いと示唆しているようにも感じました。
決して正義だけではやっていけない、国を治めるという事の重大さ。悪と戦うだけではなく、必ずやってくる己との戦い。国民の事を最優先に考えるだけでは王様として成り立たない。全てに意味を見い出し、王として誇りを持って生きていく。強い精神力と周りを巻き込む覚悟を持って挑戦する強い意志。生半可な気持ちで出来る事ではありません。その決意の表れがこの『全力キング』なのでは無いかと私は考えます。
歌詞の意味を考えても8話の時点で分かるわけが無いのですが、考察厨の私としては考えられずにいられません。
『ゲンザイに背を向けて』から始まるのですが、カタカナである意味が必ず存在すると思っています。それが『現在』と『原罪』2つの意味を持っているのだとしたら?仮に『現在』だとすればとても前向きな意味に聞こえます。未来を見つめてただひたすら歩き続ける。ですが、これが『原罪』ならどうでしょうか?『原罪』とは『アダムとイヴの堕罪により、聖母マリアを除く全人類が負っている罪のこと』だそうです。回心や信仰、受洗をすることにより神の子として生まれ変われると言われています。つまり『原罪に背を向ける』というのは「神の子供になんか生まれ変わらねえぞ」という意味だと私は捉えます。もっと言えば「神なんかクソ喰らえ」です。彼らにとって神なんかよりも『王になる事』が何より重要なのでしょう。
そこまでして王になりたい理由はなんなのでしょうか?勿論親からの継承という形もあると思います。ですが私はそこには神と王の圧倒的な違いがあると思っています。それは人かそうで無いかです。神になるよりも王選んだ、つまり人間でありたいと願っている。きっとここには沢山の理由があるのでしょう。誰かを助けたい、誰かのために生きたい、人を従えたい、復讐をしたい、仇を取りたい…。いずれにせよ、非常に人間臭く簡単には成し得ない事です。
王という存在は、人々に、民により近い存在です。少なくとも神よりは。だから王という道を選んだのでしょう。誰よりも寄り添える存在の王になろうと思ったのかもしれません。
その後に出てくる9九玉。将棋の盤面の隅の事を指すそうです。つまり王将がかなり追い詰められている状態を示します。もう勝てない、詰みだ。そう思った矢先、王は高く飛び上がり勝利を確信する。「負ける」なんて思ってられないのでしょう。なんと言っても皆の王で在りたい。そんな感情を勝手に汲み取りました。
2番は少し景色が変わりますが、1番が将棋なら2番はチェスなのではないでしょうか。チェスは駒を倒す時にぶつけて転かすので、『ぶつかっていこうぜ』は敵を薙ぎ倒していく姿と重ねているのでは無いでしょうか。
さて、1番で強調された『“詰み”はないぜ』という歌詞が出てきます。私には『詰み』と『罪』の2つの意味があると思ってなりません。この後に出てくる『反逆者どもの子どもよ』…一体反逆者とは誰の事を指しているのでしょうか?本当に正しいのは“王様”であるこちら側なのでしょうか?もし反逆者が我々が応援しているキングオージャーだったとしたら。
ヒーローものには珍しい仄暗い展開が待ち受けている可能性あると思うと、この先がとても楽しみです。
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