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HIEN Aero Technologiesがクラウドファンディングに挑む理由-前編

皆さん、こんにちは!#HIEN Aero Technologies公式アカウントです。

現在、HIEN Aero Technologiesはイークラウド様にて株式投資型クラウドファンディング(以下ECF)にて資金調達を実行しております。今回のクラウドファンディングに挑戦を通して多くの応援の声をいただくと同時に、「なぜECFを行うのか」「HIENはどこを目指しているのか」という疑問の声もいただきました。今回はHIENのこれまでとこれからの話を含め、ご説明いたします。本記事は前編と後編に分かれております。前編では私たちがクラウドファンディングを選択した理由、そして事業の始まりを中心にお伝えいたします。

01.ECFとは

ECF(株式投資型クラウドファンディング)は、非上場企業がインターネットを介して多くの個人に知っていただくことにより、その個人から少額ずつ資金を集める仕組みです。一般的なクラウドファンディングでは、支援者はリターンとして製品やサービスを受け取りますがECFでは支援者が株式を受け取るため企業の成長とともに株主としての権利を享受し、会社の発展を共有することができます。海外を出発点として個人がスタートアップに投資する流れが加速しているのです。
単純な資金調達のみならず、ファンコミュニティ>資金調達>サービス投資>売上拡大>資産価値向上のサイクルができ、あらたなサービスが社会に浸透していく手段として新たな役割が期待されています。

02.なぜ、今、ECFを選択したのか。

今回、私たちがECFを選択した理由はシンプルで、eVTOLという新しい価値を創出するために社会受容性やルールメイキングも一緒に育てていく必要があるためです。それは、私たちの目指すビジョンの実現に向けた事業戦略の一つということでもあります。

ただ、eVTOLを一機種開発するだけでは足りない。私たちが目指す「身近な空」の実現のためには、多くのステークホルダーと、何より生活者一人ひとりとビジョンを共有していく必要があると考えています。後ほど説明する今の空を取り巻く現状は、特に日本では想像が難しいところです。ゆえにECFを通して様々な方と対話し問題を共有しビジョンへの推進力とするために今回選択した次第です。

そのため「VCではなく、ECF。」というOR思考ではありません。同じ出資でも、出資者が持つアセット、資金使途や目的によって選択すべきだと考えており、今回は推進するためECFを選択しました。今後もVCからの調達や事業会社のアセットを活かした事業会社・CVCからの調達と棲み分けて考えていきたいと思います。

03.なぜ、私たちはECFに辿り着いたのか。

3-1.根本的な問題を抱える"空飛ぶクルマ"

2017年頃からUberにより提案された電動垂直離着陸機(eVTOL)によるアーバンエアモビリティ(UAM)の研究開発が世界中で始まりました。大小含め数百を超える開発企業が現れ、UAMは身近な次世代航空交通として期待されています。日本ではこれをバッテリー駆動かつ都市部での近距離用途を想定した「空飛ぶクルマ」と呼称し取り組みを続けてきました。

クルマって言うと、こういうものだと思われますよね

しかし、その名が表れてすでに数年、現状はいかがでしょうか。海外のVCでの「Where’s my flying car?(私の空飛ぶクルマはどこだ?)」というフレーズはシリコンバレーでも広まりました。大型化したドローン(マルチコプター)という形での機体はいくつか現れたものの、ヘリコプターを上回るようなビジョンは沸かず、また電動の機体で示された飛行時間は10〜20分程度。決して楽観視できない状況も聞かれます。

3-2."空飛ぶクルマ"は誰のためのものだった?

そもそも"空飛ぶクルマ"、いえ、eVTOLは誰のためのものだったのでしょうか。ひとつには、都市部で混雑に直面する市民の交通の問題の緩和です。それ以外にも物流用途においては過疎地域や離島の問題を解決し防災用途においてはあらゆる場面で救助と支援に活躍します。日本では、医療用ヘリコプターが維持できなくなったり、災害時には空路以外で物流が寸断される地域が発生したり、都市部以外での「身近に空が使えれば」という状況は多数あります。

本来、eVTOLは空を通してヘリコプターよりも導入しやすく維持しやすい、身近な形で、これらの課題に対処するためのプラットフォームであるはずなのです。この「身近さ」に注目して「クルマ」のネーミングはなされました。(大きな誤解は生みましたが)
そして、その身近さ、整備性、導入しやすさの観点で「電動」であることは大きなキーになるのです。(低環境負荷はもちろん大きなファクターですが、ビジョンに対する副次的な効果として生まれたという経緯があります。)

しかし、そのいずれにしても現在、純電動で作られている機体はあまりに飛行時間が短い。それが、このビジョンに対して大きな壁となって立ちはだかっています。

3-3.私たちは気づいていた。だから動き出した。

私たちには、この問題に先んじて気づく大きなきっかけがありました。

まずは在来のヘリコプターの電動化に取り組むため、国内最大のRobinsonヘリコプターのオペレーターと航空開発スタートアップ"eVTOL Japan"を立ち上げ、飛行の安全性を担保したうえで機体を電動化してその効果を実証したのです。実際にRobinson R66型の300馬力のガスタービンエンジン(ターボシャフト)を取り外し、高性能モーターに換装して飛行可能な純電動ヘリコプターに改造することに成功しました。わずか1年あまりでの成果でした。

電動化ヘリコプターの開発を通じて理解したことは、
・電池の性能が機体の性能の全てを左右していること
・ヘリコプターの騒音は電動化でも変わらないこと
でした。
安全を考えると飛行時間は5分、バッテリー搭載量を増やしペイロードを減らしても10分程度。新たなバッテリー開発に期待の声も上がりますが、ヘリコプターに匹敵する性能に至るには非常に長い時間がかかることでしょう。

マルチコプターはヘリコプターよりも原理的に飛行効率が低下します。(※1)電動のヘリコプターですらこの現状、マルチコプターではさらに用途が限定されてしまうことは想像に難くありませんでした。

だからこそ
eVTOLのあるべき姿は
・ハイブリッド電源により飛行時間の長大化を図る
・マルチコプターの限界を有翼機体で超える
という結論に至りました。この経験とネットワークを基に、HIEN Aero Technologiesは現状に先んじて、この問題を根本的に解決すべく動き出したのです。

※1)
マルチコプターとは、複数のプロペラにより浮上する、いわゆるドローンを大型化した見た目の機体を指します。この一つ一つのプロペラとヘリコプターの回転翼は同じものではありません。ヘリコプターは複雑な機構を有する反面、同じ円盤の面積を持っていたとしても、浮上するエネルギー効率はマルチコプターを上回ります。

後編ではHIEN Aero Technologiesが事業にかける想いや、クラウドファンディングを通じて皆さまとつくりたい未来図についてお伝えします。引き続き、応援よろしくお願いいたします!