【MMPI2RF学習4】MMPIと発達障害の私的レビュー② ~ADHDの偽装
本ノートは、MMPI使用者向け。MMPIと発達障害についての気楽なレビュー。レビューっぽくまとめた論文の皆さんの紹介です。系統だってなんてないです。前回の続き。
3,ADHDの偽装
ADHDとMMPIの研究を探してると結構でてくるのがfaigningとかmailingeringとかのワードで、MMPIでADHDを偽装した、すなわち「ニセADHD」を割り出す研究が出てきます。以前どこかで聞いた話だけれど、海外の大学では発達障害診断を持っていると、単位取得などに配慮が得られ、それはすなわち「簡単に単位とれる」のであって、「ニセ発達障害」を目指す人がいるとのこと。まじか。日本だと「発達障害になりたい」人、なるメリットはみえないようにもおもうけれど、自分の不全感を証明すべく「なりたい」と思われるような人はいるとおもうのです。意図した「発達障害になりたい」じゃないにしても。
(1)ADHDシュミレーション vs 2RF
研究がシュミレーションデザイン(simulation design)ってことはおそらく大学生かなにかに、ADHDについて講義して「ADHDのふり」をしてもらってMMPI2RFを記入してもらう、っていうやりかたではないかとおもいます。そうするとなになに、F-r,Fs,Fp-rが高くなってる(T=70~80)という違いが。尺度的には、精神症状への過剰報告を測定するもの。ADHDのつもりでいる/ふりをすると「過剰報告」気味、になるのかもしれません。
(2)Ds-ADHDの開発
これも大学生をつかったシュミレーションの研究だけれど、この研究でDs-ADHDなる尺度をRobinsonらはつくってるわけです。「誤ったステレオタイプを検出戦略」ということはおそらく、典型的にADHDっぽくみられるような”ずばりADHD!”的イメージ、だけれどもほんとはちがうぞ、という項目内容を選んでいのでしょう(たぶん)。これ以降、結構このDs-ADHDって研究に使われています(Califano,2023、Barly,2023、とか)。
項目番号みつかれば、T値こそ出ないけれど有用性がでますね。カットオフ値の研究もでているし(Andrews,2020)。(DS-ADHDの項目番号を見た記憶があるけれどネットの海に落としてしまった。みつからない)。
余談だけれどCII。なにこれ?Conners尺度の中の妥当性尺度(Suher,2011)。CAARSに組み込まれた尺度です。日本では研究されていないので使えませんが、CAARSはMMPIとバッテリーくまないで利用することも多そうだから使えると便利そうですよね。上記の研究からしたらさ、CIIがMMPIの妥当性尺度的に理解できるかもしれない。CAARS的な尺度って、ほっとくとやったらめったら上がっちゃう印象。過剰報告、ってことなんだろうけれど。
4,ADHDのまとめ
MMPIでADHDを診断的に切り取ろうっていうような研究はあんまりないみたいですね。いくつかはある。ひょっとしたら尺度全体が上がったり、COGが使えるのかも?ということ。
むしろ、ニセADHDを探すっていう研究が熱くみえる。やっぱさ、妥当性尺度の切れ味がいいってことじゃないでしょうかね。そうよ「過剰報告」。「過剰報告」は心理検査の現場にはときに表れてる現象。けれど「過剰報告」をという概念をだしてきたのは(ぼくがしるかぎり)MMPIの研究してる人たち(Greeneじゃないかとおもってる)。そう、MMPIこそが「ADHDの過剰報告」を切り取れる=ニセADHDを洗い出す!こういう図式があるのではないでしょうか。
つぎは、ASDについて。
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