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『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』を読む

この文章は、本を読みながら、一区切りごとに書いているので読みにくいです。同じ話が何度か出てきたりします。
自分用にメモしながら読んだら、6000字になり、もはやレポートなのでノートにまとめました。


『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』
走れメロスの記事が出た時、いろんな界隈のフォロワーさんがみんなこの話をしていた。そんなにすごいなら見てみるか、と読んだのがはじまり。みくのしんさんの読書体験記事は、全エンタメの中でも五本の指に入るくらいには好きになった。
そこから何冊か経て、ふっクラの動画内での本の紹介も経て、ついに本になった。本当に嬉しい。

『はじめに』
「はじめに」の感想なんて書いたことない。でもこれは書きたくなる。人生で出会った「はじめに」の中で1番素晴らしかった。なんならこの本で1番好きなのは?と聞かれると「はじめに」と答えるかもしれないくらい。全てのはじまりだし、全てがわかるし、そして愛で溢れている。
大好き過ぎて本が届くまでに、Amazonの商品紹介ページで何度も読み返したし、親にも読ませた。
短いのに、2人の関係やこれまでの歩み、読んでるみくのしんさんの性格、書くかまどさんの文才、そして何よりこの本を読んでみたいって気持ちになる文、素晴らしい。

『走れメロス』
(1作目かつ読んだことがあるので本の形式の感想多め)
走れメロスは繰り返し読んでいるので、減った文章増えた文章わかるが、ほんとに「本になってるな〜!」と感じた。
うーん、良い言い方がわからないけど、「ここはみくのしんさんの人となり知らないと読み手の勢いをとめちゃうな」ってところは削れてて、逆に「写真で伝わるから無かった部分」とかは増えてる。
Web記事にはWeb記事の書き方があるし本には本の書き方がある。どちらかだけ読んだ人には見比べてみて欲しい。

そして何より思ったのは、改ページのこだわりがすごい!
基本、「本文+感想」がページ跨がないようにしてて、次のページの頭は本文になってる。まずそれがすごい。細かく行数コントロールしたんだろうな……。それにより「みくのしんさんの感想読んだ上でもう一度本文に戻る」という私みたいな奴にはめちゃくちゃありがたい仕様に。「ここを見てこう思った」が一目でわかる分、わたし的には記事より読みやすい。(電子より本に慣れてるからかも)
そして、改ページのもう1パターン。「みくのしんさんの感情が大きく動き、読み手の予想を超える発言や行動があった時」はそこが次のページの頭に来るようにしている。これは本ならではのやり方。本文読んで自分なりの感想が浮かんだ上でみくのしんさんの感想を読むので、予想を大きく超えて来るとなかなかの衝撃がある。あえて同じページにしないことで、ネタバレみたいなこともないし、自分の感想をしっかり持った上でみくのしんさんの感想に当たることができる。なのでより一層「すごい感性だ」と思えるし、この特殊な読書体験がスムーズになる。
かまどさんって改めてすごい方だ……。編集部名義でもかまどさんかどうかわかるくらい、かまどさんの書く文章が大好きです……。

読みながら忘れないようにメモしているので話題が行ったり来たりする。申し訳ない。

力尽きたメロスに対する「弱音を吐いたときに、それを一番近くで聞いてるのは自分の耳なんだから。自分にそんな言葉を聞かせるな、メロス!」という言葉、こんなに熱いこと言ってるのに見た覚えがないなと思い、ついにWeb記事と見比べながら読み始めた。Web記事は、じわじわと心が折れていくメロスに、寄り添うようになだめつつも止めきれないみくのしんさんという印象で、「どんどん心が弱っていくメロス」という『走れメロス』本文の勢いをいかすような書き方に感じた。対して本は、嘆くメロスに1文1文しっかり励ましの言葉をかけていて、みくのしんさんの光属性なところが強く出ている。どっちがいいかと言われるとわからないけど、本を買うような人は走れメロスよく知ってる上で「みくのしんさんの感情」を見たい人がほとんどだろうから、本の形式ならこっちが正解だと思う。あと単純に2年経ってかまどさんの感性が「この台詞は削れないだろ!」の方に移行したのもあるのかな。

記事と本を同時読みしてわかったが、Web記事は引っかかった単語とかで止めて話してたりする。読点までで切ってたり。その方が、みくのしんさんの感想が「この部分の話をしています!」って伝わりやすい。記事ならそっちがいい。
でも本で読点切りが多いと読みにくいこともあるし莫大なページ数になる。本は句点まででひとくくりの方が読みやすいのかも。その中の単語の話してても同じページならどこの話か見失ったりしないし。

写真の入るところもよく考えられている。「このページに関係する写真」ではなく明確に「この行の時の写真」がある。記事の為の写真だからそれはそう。その写真と対応する行の始まりを揃えている。これまで右上から読んでいたので、次を読もうとするとページ上部の写真に目がいく。その後に下の文を読むことになる。横書きだし制限のないWeb記事なら、バンと写真を貼って台詞が来れば対応していることがわかるが、本は「この辺の話題に関する写真」になりがちなのに、Web記事と同じ順で写真と文が目に入るようになっている。すごすぎる。誰?これ考えたの。

みくのしんさんの感想に対するかまどさんの返事が結構削られてるのは寂しい。まあ1行単位で計算して改ページしているのだから仕方ないのはわかる。あと、「本を読んだことがない人の読書実況」というコンテンツとして発売されてるので、本文とみくのしんさんの間のかまどさんはお助けキャラくらいの立ち位置なんだよな。かまどさん本人が削る気持ちはわかる。

「間に合った。」を改ページ1行目にするために、間に合うかどうかのみくのしんさんの感想が増えている。それにより、結末はよく知っているのに、ものすごくドキドキした。メロスとみくのしんさんと同じ目線で緊張しながら刑場に走り込んだような気持ちだ。あえて行を増やしてるところを見ると狙ってやってますよね?ここは「ページをめくる」「先が見えない」からこその表現。記事の時は第三者目線で読んでた箇所なので、ここまで自分の読み方が変わるとは。かまどさんの”本”にするための努力に改めて感動しました。

この後、トロッコ、オツベルと象、檸檬といろいろ読んできたので、走れメロスに戻ると本当に本への恐れが強い。そんなみくのしんさんが本になるってすごいことだ。

『一房の葡萄』
この本ははじめましてだった。事前に読むか迷ったけど、人生で1度きりしかない「一房の葡萄の初読」はこの本に捧げることにした。読み終わった今、どっちが良かったかはわからない。ただ、絶対にここまで深く読み取れていなかったし好きな物語と言えなかっただろう。自分の読んだ感想に、みくのしんさんの感想が加わって、1文1文良さを噛み締めることが出来た。

基本かまどさんと同じような読み方をしてるので、かまどさんがみくのしんさんの読書が羨ましいのがめちゃくちゃわかる。でもごめん。カメラワーク付きの映像思考型ではあるので私も「あえてジムが映らないようにしてるな」とは思ってた。主人公のやってしまったという気持ちから顔が見れなかった、かつ、周りが騒ぐのでジムがどうしてるかまで見えないのかなと私は感じた。最後の握手で、ようやく顔が見れた。良いな…………

そして、みくのしんさんの読書体験、愛で溢れていた。幼少期の体験も、”先生”との関係も良かった。みくのしんさんにとっての「その人のことを想えば、ちょっとだけ頑張れる」って存在であり、何年経っても心の中の支えのようになっている存在が、かまどさんなんだなぁ。すげぇや。
この本でかまみくを知った人がどう思ったか知りたくなる。”人生”を歩んでる2人の本を。

みくのしんさんがたくさん思い出を語ってくれるおかげで、「自分はどうだったかな?」と考えることができて、自分にとっての”絵の具”や”先生”を久しぶりに思い出すことができた。ここでみくのしんさんが話してなかったら、心の奥底にしまったままだっただろう。ありがたい。

「「こんな文章も分からないの?」とか言われない?」「言わせない。」のやりとりすごく好き。誰も言わないよみたいな不確かな優しさじゃなくて、思う人がいても守ってくれる安心感。そして、ここでこの言葉が入ることで、この本の読者が「分からないの?」と思っても、口にする人はいなくなる。みくのしんさんに届くことはなくなる。
前に記事でこのやり取りが出たのはなんの時だったかな……檸檬?わかんないけど、削る選択もできる中で、ここを残す感性が好き。

本の作りで言うと、走れメロスよりも読点で切ってる文が多いように感じた。1文に対する感想が多い(読書に余裕が出てきたからか?)ので、1文でまとめると感想が多すぎるところは前半後半でわけてる印象だった。これもまたよし。みくのしんさんの言葉がどこの感想か伝わらないとこの本の面白さは半減するので、いろんな話が出る時は本文をわけた方が読みやすいんだな。
改ページはメロスと同じだが、みくのしんさんが「次の1文すごいよ!」と驚く場面は全てページの最後になっていた。なので一緒に「どんなすごい文が来るんだ!」とワクワクすることが出来た。
かまどさんの返事もメロスより多かったんじゃないかな?幼少期にめちゃくちゃ共感するみくのしんさんは、読者を置き去りに主人公と並走していってしまいそうだったが、的確にかまどさんがつっこんだり質問したりすることで読書である我々も一緒に走ることができた。かまどさんは、上手くアタックが打てるように的確なトスを上げ続けられる人だと思っているので、それを強く感じるお話だった。

『杜子春』
この本もはじめましてだったので、みくのしんさんと共に「何が起こるんだろう」と読んだ。
すごい……すごい本だ……突然出てくる大金と仙人修行というファンタジーな物語で、主人公がほぼ喋らない。なのに、読み終えた時「人間らしい物語」と感じた。不思議だ……ただ、絶対に自分一人ではこういう読書にはなっていない。みくのしんさんの感性により、自分の気持ちも盛り上げてもらった。

この読書シリーズ、走れメロスを読んでいる時は「走れメロスこそ原点にして頂点」と思ってるし、オツベルと象を読んでいる時は「やはりオツベルと象が1番だ」と思うし、一房の葡萄を読んでいる時は「みくのしんさんが読むことに意味があるな。これこそ至高」って思った。毎度全てに思う。なので今は「みくのしんさんの読書シリーズ、杜子春が1番だ……!」となっている。全部が好き。でもやっぱり、この形式で読んで良かったなって作品の1位は杜子春かもしれない。他のは、みくのしんさん程の感想は出なくても、自分で読んで好きだったものもある。でも杜子春は初めて読む時に一緒に感情を共有できる人がいるこのスタイルが合ってたように感じる。

ほんとに杜子春は自分一人ではたどり着けなかった読書体験なので、感謝しかない。
杜子春が涙ながらに「お母さん」と言った場面、杜子春にもらい泣きしていたらみくのしんさんもかまどさんも泣いていて、なんと言っていいかわからないが、良かった。

感覚的なファンタジー要素の多い話だからこそ、かまどさんが的確に質問してくれていて、みくのしんさんの感じたことを知ることが出来た。

お金を得て終わりでも、仙人になって終わりでもなく、「何になっても、人間らしい、正直な暮しをするつもりです」と答えるラストがすごく好きだったし、それを良いと感じるみくのしんさんが好きだなと思った。

『本棚』
ホラーがすごく苦手なので、雨穴さんの本は今回が初めて。でも読みやすくて、引き込まれる内容で、ベストセラー作家になるのも頷ける。本の中でもかまどさんが度々言っていたが、本当に細部までこだわって作られているから、読み手にストレスがない。するすると読める。そして短くても魅力溢れる内容。すごい方だ……。ホラーじゃない物を書かれた際は読みたい。(本当にホラーがダメなので)

内容はもうめっちゃみくのしんさん。こんなに発言がリンクするのかというくらいみくのしんさん。手紙の読み取りに感心しておられたが、その前に言ってた言葉と被っていたので、本当に主人公はみくのしんさんと同じ考え方をする方。それが書ける雨穴さんってすごい。
そして、エミさんはきっとかまどさん要素が強い。本を勧めてくれるその選ぶセンスとか、幼少期からたくさん本を読んでるところとか、たくさん読んでるけど「この人ほどの読書はできたことがない」と気付かされるところとか。かまどさんにはハリーポッターをはじめ本当に好きな本があるし、他にもアイデンティティはあるので揺らぎはしないけど、エミさんの発言は、過去の読書記事でかまどさんが言ってた言葉が含まれてる。
本を読むのが苦手なみくのしんさんも、本をよく読むけどここまでの読書体験はできたことがないかまどさんも、いろんな視点で見てる読者も、みんなを救ってくれる文章だった。
半分くらいショッキングで辛かったのに、読み終えると救われた気持ちになる。すごい。

この本棚及び過去作たちのこだわりとして出た「上下の空白が多い」「文字数にこだわっているので1ページの圧迫感がない」「関連画像が多い」「気になるところで次のページに繋ぐ」は全てこの読書本の中でも見られるところなので、この雨穴さんとのトークを参考に作ったんだろうな。
本をよく読む方ではあるけど、読み飛ばしが多い識字が下手な人なので、大変助かりました。読みやすかったです。

『あとがき』byみくのしんさん
みくのしんさんって、すごく元気でキラキラしていて、抜きん出ているように見えているので、自己肯定感が低いことに少し驚いた。
でも読書が、そんなみくのしんさんが前を向いて自分を愛すきっかけになったのなら、私は凄く嬉しい。本が読めなかった人が、面白かった!と読了したらそれは大大大成功だ。それがさらに自分を認めることに繋がったのであればこんなに嬉しいことは無い。
私はみくのしんさんの読書が好きだし、みくのしんさんはその読書体験から前を向けるなんてwin-winすぎる。
これからも本を読む姿を見せていただけたら幸いです。

『あとがき』byかまどさん
人生で初めて「あとがき」で泣いた。自分でもびっくりした。
愛じゃん…………読者へ、かまどさん自身へ、そしてなによりみくのしんへ向けた愛のメッセージだった。
やっぱり私はかまどさんの書く文章が好きだ。これを打ちながらもう一度読んでもう一度泣いた。
この分厚い本の最後がこの文章で良かった。

全ページ、全文面白かったです。本当にこの本に、走れメロスの記事に出会えて良かった。
この本を布教し配り歩きたい。


描いた絵↓

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