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なんとなく日記 YesでもNoでもなく(実物と事実)

靖国神社に併設されている遊就館へ行きました。
朝ドラの「虎と翼」に影響されているといえばされていますね。
仲野大賀の出征のシーン、泣きました。

遊就館には第二次世界大戦における兵士の様々な遺品等が展示されているのですが、その中にたくさんの「遺書」があります。
「遺書」はドラマや映画や小説で知っています。知ってはいますがそれは情報に過ぎません。つまり、フィクションなわけです。
遊就館にあるそれは、フィクションではなく「実物」でした。
細かい文字でびっしりかかれています。綺麗な文字がほとんど。優秀な学生さんであったことが伺えます。妻や子供や親戚の様子を気にしています。子供には勉強頑張るようにと書いています。
こうして僕なんかに読まれることを想定していないはずで、心から家族だけに淡々と冷静に文字を綴っています。

実物からたくさんのことが伝わってきますね。
手紙の大きさ、紙の質、文字の綺麗さ、文字の量、行間に溢れる思い、逡巡している感じ、最後の言葉の重み。最後の3つは私の想像に過ぎないのかもしれませんが感じちゃうものはしょうがない。感じるものは感じるわけです。

NHKのドキュメント72時間という番組が好きです。
録画しています。

3日間、同じ場所で淡々と撮り続けます。そこに現れた人にインタビューしたり。「いつもここへは来るんですか」「はい、仕事帰りにいつもね、近いから」という感じの、まあ、何の変哲もない会話だったりします。
番組は30分番組ですので、72時間のうち30分あればいいわけです。前後の音楽の部分や風景カットもありますので、正味15分程度コメントが撮れればいいのです。芸能人の番組のように無理に笑わせたり、ハプニングが必要なわけでもないし、撮れ高を気にする必要もありません。
写っているのは事実だけです。
もちろんカメラの画角や編集の手が加わってはいますが、視聴者である私には、服装や顔の表情や声のトーンやそばにいる人のテンションやインタビュアーの声や天気や雨や埃や風やそういった事実も同時に伝わってきます。「や」ばかりですが、たくさんの「や」がいいんです。

実物や事実は面白い。面白いだけでなく悲しい楽しい辛い、いろいろ。
旅と旅番組では違いますものね、当たり前だけど。
SNSで知ることと実際に行って知ることは、そうですね、5万円の寿司の写真を見ることと、食べることくらい違うのかもしれませんね。

そりゃあ、全然違いますよね。
そのくらい違うんですよね。


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