リアル15巻 感想 | 野宮と高橋について
11月19日 待望のリアル15巻発売となりましたね!
14巻の発売が2014年12月24日だったので、約6年ぶりの新刊となります。
今回はその最新刊15巻の感想を書きたいと思います!
全体としては戸川・野宮・高橋、3人の主人公が傷つきながらもリスタートを切る良い話でした。
その中でも意外性があり、興味深かったのが、野宮と高橋の共通エピソードです。
現在は不倶戴天の仇と言っていいほど不仲なわけですが、2人は最初から仲が悪かったわけではなかったんです。
とあるきっかけからすれ違いが生じていったというお話でした。
まずは2人のプロフィールについて書きたいと思います。
野宮 朋美(のみや ともみ)
18歳 高校中退 無職
西高時代はバスケットボール部で、基礎練習も欠かさず行い、真摯に打ち込んでいた。
バスケ部内ではそのバスケへの情熱が、高橋一派から「暑苦しい」などと言われ、孤立していた。
バスケの試合中に高橋への積もり積もった感情もあってか、暴行を加える。
その後はバスケ部を退部、学校も退学し、街中でナンパした山下夏美をバイクに乗せたまま、大事故を起こす。
山下夏美は下半身不随で車いす生活を送ることになり、野宮は事故の「加害者」の十字架を背負う。
なお、自身も大けがをしたものの、身体能力含め完全回復している。
その後はバイトを点々とするが、短気を起こしてクビになることもしばしば。ようやく人間関係も作れてきた引っ越し業者は数か月で倒産。
とあるきっかけから車イスバスケの選手、戸川清春と出会い、彼の所属するチーム「タイガース」のメンバーとも親交を持つようになり、試合の応援に駆け付ける等チームアドバイザー的な役割を(勝手に?)務める。
その後、プロバスケチーム「東京ライトニングス」への入団を目標に特訓を開始し、トライアウトに臨む。最終選考まで残るが、採用の連絡が無く落選してしまう。
強面の風貌で、いくつもの暴力沙汰を起こしているが、根は陽気で仲間想いの性格。バスケ部には彼を慕うメンバーもいた。
母親が頻繁に旅行に出かけており、何かとそのお土産を人に渡す癖がある。
高橋 久信(たかはし ひさのぶ)
17歳→18歳(3巻〜)
西高3年生 バスケットボール部で、キャプテンを務めていた。
何事もそつなくこなせる器用さがあり、学業成績・運動能力・容姿とも優れ、周囲から一目置かれる存在だったが、陰険で底意地が悪く、周囲の人間をランク付けし、自身は「Aランク」とした上で周囲の人間を見下していた。彼曰く野宮は「Eランク」
バスケ部においても、周囲と比較して高い実力を持ちながら、野宮から「サボリの天才」と言われるほど、真剣に打ち込んではいなかった。
しかし、小学生時代はバスケットボールに夢中で、真面目な努力家であった。父親と自宅庭での1on1が少年時代の何よりの思い出。
のちに母親との教育方針の対立から父親が家を出てしまい、出て行った際に車で久信を見かけながらも、素通りをされたことにショックを受ける。
出て行った後にも父親には「成長した自身を見せたい」という想いを抱いていた。
自転車を盗んだ末にトラックと衝突する交通事故に遭い、脊髄を損傷し、胸から下が不随となる重度の障がいが残る事になる。損傷箇所は胸椎の7番。
事故後に自らの希望で、母親に頼み、父親と再会している。
父親と別居先で2人で過ごした際に、「どうして行っちゃたんだ!あの時見たくせに」「今頃会ったってもう遅い!僕の何を見てもらうっていうんだ!」自身の想いを涙ながら吐露する。
両親、彼女のふみか、同じ施設の花咲・白鳥などと共に、苦しみながら、徐々に現実に向き合い自身を変えていく。
のちに車イスバスケチームの強豪「調布ドリームス」所属の永井と出会い、同チームに入部。
15巻 野宮と高橋
自身を馬鹿にした一般人に暴行を働き、留置所に入る野宮。
車イスの辛い基礎トレを続けて、初めて車いすバスケのボールを使った練習に参加するが、パスをキャッチすることすらできず、改めて自身の障がいの重さを痛感し、絶望する高橋。
それぞれは過去を振り返る。
自身がおかしくなったのはいつからか。
ここで高橋と野宮の出会いの描写になる。
中学時代、別の学校であるものの、試合を見てお互いを「上手い」と一目置いていた野宮と高橋。
西高入学時もお互いの顔を覚えていたようで。
野宮「入るよね?バスケ部」
高橋「え…どうかな」
と初めて会話する。
2人はバスケ部に入部。
ランニングしながら
高橋「くそ…毎日走ってばっかじゃん。入んなきゃよかった…!」
野宮「まあ最初はしょうがねえ。3年が引退するまでの辛抱だ。」
昼食時
高橋のお弁当と野宮のコンビニのパンを交換し、うめえな!と美味しそうに食べる。
1年の時は色々話していた。
あるとき二人でトレーニングしている時に野宮は言う。
「父親はいねえよ」
高橋
「俺も父親いないんだ」
父親がいなくなった事が深い心の傷になっていた高橋は一瞬仲間を見つけた気がした。
しかし、この後2人の間にわずかな溝ができる日が来ます。
野宮「3歳の頃だ。父親が俺たちを捨てたのは…だから顔も知らねーハハ。」
この野宮の発言、あっけらかんとした態度に高橋はひっかかる。
(なぜそんなにあっさりと。カラッと言えるんだ?)
自身が父親と離れたことは大きな心の傷になっている高橋には、野宮の父親がいない事に対する「何ともなさ」に違和感を覚えます。
高橋は嘘をつきます。
「ああ…ゴメン。俺の場合はいないっていうのは家にいないっていう意味で…海外赴任中」
野宮「海外?かっけー!!」
現在の高橋が想いを馳せる。
(あんなウソをつかなければ今頃…どうだったかな。)
「どうにもなってねーよ。あいつとは無理。」
1人ツッコミする高橋。
どうあれ、その嘘から何かがおかしくなる。
高橋は野宮を避け、陰からからかうような事をするようにもなる。
ほとんど話かけることもなくなった。
野宮はバスケの実力が高い高橋を最強の相棒を得たつもりでいた。
2人でチームをひっぱるつもりでした。
誰にもいったこともない話もした。
またとある日。野宮と高橋が2人になった時。
野宮は自身がいじめられていた過去を打ち明け、現在の夢はバスケットボールのプロ選手だと明るく語る。
その日から部活での野宮へのパスがなくなる。
高橋派から徹底的にハブられる野宮。
陰口も聞こえてくる。
「口だけじゃん野宮って」「マジ暑くるしい」
積もり積もって、試合中に野宮は高橋に暴行を加える。
何がいけなかったのか?
野宮は純粋にバスケットに打ち込んでいて、高橋に対してもチームメイトとしてうまく関係を築いていこうと思っていました。
一方高橋は、自身の最大のトラウマである父親のこと、母子家庭であることのコンプレックスなどを同じ境遇の野宮が「何も感じていない」ことがとても気に障ります。
高橋は野宮を「センスゼロ、下品、成績ビリグループ」と完全に下に見ていますが、野宮は高橋自身が乗り越えられていないものをあっさりと受け入れています。
なので、高橋の野宮に対する気持ちは決して「無関心」ではありません。
ことあるごとに野宮を思い出し、腹をたてたり、夢の中で野宮に持久走で勝負して勝って喜ぶなど、どこかでいつも意識をしています。
気に入らないから気になる。
そんな存在のように思えます。
小さな違和感から、すれ違いが生じ、憎くなったり疎遠になったりする。
思春期にはよくある話です。
しかし、2人の関係をこじらせたのはやっぱり高橋が原因だと思います笑
野宮は最終的に高橋をぶん殴っていますが、それは結果であり、高橋から色々仕掛けていますので…
個人的には野宮と高橋が、口汚く罵り合いながらも、なんだかんだで仲良しみたいな男の友情を築いてくれることを密かに期待しています。
今後も2人の物語を楽しみにしています(^^♪
次の16巻発売はいつになるかなー