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メディアグループの闇の歴史 | 閨閥 マスコミを支配しようとした男
まいど!ひでやです!
今回は本所次郎氏著作、『閨閥〜 マスコミを支配しようとした男』について、お話しさせていただきます!
タイトルで「メディアグループの闇の歴史」としていますが、この本はフィクションという立ち位置を取っているものの、どう考えてもあのテレビ局のことを指していて、そのメディアグループの成り立ちと、その権力の源泉、変遷が歴史と経済、登場人物の心情など、様々な視点から描かれています。
もちろん、フィクションなので、登場人物にはそれぞれ架空の名前がついておりますが、読む人が読めば、これは……とすぐにピンとくる内容です。
メディア関係者ならこの本は絶対に紹介できないと思います…
2005年の敵対買収騒動に至る流れも分かりやすく、読み応えがある一冊です。
なので、もっと注目されてもよい気もしますが、すでに絶版。
一部著作権の侵害により販売中止とされているが、どうなんでしょう?
この本はフヨウニッポングループの鹿野信元‐春樹-宏和とつながる人脈と反鹿野、一族間の権力闘争を描いた小説です。
巨大メディアグループをめぐっての強烈な支配権争いが生々しくドロッドロに描かれています。
著者の本所次郎氏は1937年生まれの小説家で、企業、経済小説、ノンフィクションを主に執筆されており、近年は半自伝的な青春小説も書かれていますね。
「閨閥」は2004年に出版されましたが、中川一徳(なかがわかずのり)氏の著書に対する著作権の侵害があったとして絶版となっています。
そもそもこの聴き慣れない閨閥という言葉、この言葉は「政界・財界・官界や王室・貴族などにおいて、主に妻の親類を中心に結ばれ勢力を持った、人同士のつながり」を意味します。
それでは早速参りましょう!
焼け野原から、世界有数の経済大国へと成長を遂げた戦後の日本。
その反面、あらゆる分野で世襲化・派閥化が進んでしまった当時の経済を揶揄して、また、1代目鹿野信元が妻房子の婿養子、3代目鹿野宏明も鹿野信元の婿養子である事から、「閨閥」とタイトルがついたのではないでしょうか? それでは主な登場人物とざっくりとした物語全体の流れをお話していきますね。
![フヨウグループ相関図](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/31123285/picture_pc_3de53575008fe10760957c7105433498.jpg?width=1200)
登場人物も多いので、相関図を出しておきます!
物語の冒頭はフヨウニッポングループの創始者、水口成人(みずぐちしげと)の病床から。
そこに呼ばれた磯貝新平という男に向かって水口が放った最期の言葉「鹿野を殺せ」から始まります。
この鹿野こと鹿野信元は自分の同士である植村甲午郎(うえむらこうごろう)を師と仰ぎ、その後ろ盾で水口の影としていつも付き添ってきました。
しかし、その影が水口の城を乗っ取り、自ら主人となり、水口を陥れたんです。
それに気づきながらまんまとその罠にかかってしまった自分自身を悔やみながら、水口成人は亡くなるのです。
そして水口成人亡き後、鹿野信元は新聞社の社長になりたい。マスコミ三冠王になりたい。という野心の元、あらゆる人脈、権力を駆使し遂に
フヨウグループのトップに君臨し、「鹿野王国」を築き上げていきます。
なので彼が鹿野王国一代目ですね。
そんな信元には妻房子(ふさこ)との間に一男二女の三人の子供がいます。
妻の房子は信元の最初の就職先の専務、菊地虎七の二女で、信元は結婚した時に菊地との間で養子縁組をし、婿養子として迎えられます。
房子はお嬢様育ちで世間知らず、天真爛漫。後に「お総師様」という祈祷師に傾倒していき、その事が後の物語に大きく関係していきます。
長女の陽子は家を出て小料理屋を営みながら売れない女優をしています。
妹の弘子は日本工業銀行のエリート行員、加藤宏和と結婚していて、この加藤宏和がのちの三代目、鹿野宏和になります。
信元はエリートで経歴も申し分ない宏和との結婚に、願ってもない縁組と賛意を表します。しかし房子は祈祷師の「夫になる宏和さんは、鹿野家との縁が薄い。」との助言を受け、縁組に反対するのです。
この宏和と妻の房子との確執が後の同属経営の崩壊に繋がるのですが、それは後ほどお話していきます。
一方で、信元は長男春樹をフヨウ放送の社長室付社員として24歳で入社させ、25歳で経営管理室長、30歳でフヨウ放送の取締役、さらには35歳でフヨウテレビ代表取締役副社長にまで上り詰めさせていきます。
人脈作りが上手く、感情よりも仕事一途。
数字が全てで前時代的な物の考え方の信元とは正反対で、学生時代からドロップアウトに放蕩三昧、一見ドラ息子に見える春樹。
最初は父親が担いだ御輿のようだった春樹も継いだ後にはドラスティックな改革を行い、しっかりとフヨウグループを、を盛り上げていきます。面白くなければテレビではない、の「軽チャー路線」を作り上げた人物となるのです。信元のバックアップがあったにせよ、大幅な増収益をもたらした春樹に対するアンチ春樹派の影はだんだんと薄らいでいきました。
私生活においては、二回の離婚を経て、最初の結婚で娘の理恵、二回目の結婚で息子の春信(はるのぶ)が生まれます。
38歳の時に元NHKのキャスターで端正な顔立ち、聡明な語り口の瀬戸美智子に一目惚れした春樹は、美智子をフヨウテレビに引き抜きます。そして、美智子と三回めの結婚をし、田園調布に豪邸を建てます。そして美智子との間にも二人の男の子が生ます。
まさに順風満帆に見えました。
しかしこの頃から、こうした鹿野親子の公私混同した豪華な生活に多くの社員は不満を抱き始めます。しかし人事の報復を恐れて面と向かっては言えず、社員達の不満も募っていくのです。
その頃さらに春樹はB方肝炎を患います。しかし、母房子の勧めで、お総師さまの紹介で知った鍼灸師の飲み薬で凌ぎ、近代医学を拒否。
それが災いして42歳の若さで急逝してしまいます。
この時すでに信元は77歳、もう隠居の年だからといって春樹の長男の春信はわずか5歳。とても跡を継がせる事はできません。
それでも世襲にこだわる信元は娘婿の宏和をグループの議長に押し上げるのです。
元が銀行員だった宏和にとって、現場主義のマスコミの仕事は中々理解出来ず、宏和は臆してしまいます。
代替わりを印象づけるために死んだ春樹とは違うキャッチフレーズを打ち出したかったが、うまくいきません。
社員の評価も、秀才といえど、一介の銀行員にグループの議長は務まるのか?と芳しくなく、まさに四面楚歌になっていきます。
立ち振る舞いは紳士的だけど誰に対しても威圧的な宏和でしたが、それはバックに鹿野信元があってのことでした。
しかし、その信元がついに平成ニ年に他界。
それでも独占体制を貫く宏和はますます孤立。
さらには信元のグループ葬が出来なかった事、信元の相続税で揉めたことから、房子との仲もこじれてしまいます。
鹿野家の養子である事を鑑みずに独走する宏和に怒りを覚えた房子は、かつての信元の側近であった下田、間、日之原、を焚き付け、宏和をグループから追い出しにかかります。
最初は乗り気ではなかった三人も房子だけでなく、多くの社員から噴出した宏和への不満や不信感を考え、取締役会で宏和を解任決議に持ち込む事を決心します…
続きはコチラの動画でお話しています↓↓↓
現実世界では、この後にメディアグループの買収騒動に発展するのですが、買収側の意図の1つがインターネットとテレビの融合ですね。
今でこそ、amazon prime videoやNetflix、Huluなんかがありますが、2000年代初頭、ほぼパソコンでしかインターネットをしなかった時代だと誰もピンとこなかったんです。
で、今どうですか?
当たり前になっていますよね?
そして、先ほど紹介したネットテレビは外資ばっかり…
あの時、買収がうまくいっていれば国産のプライムビデオがいち早くできていたかもしれません。
まぁたられば話はやめましょう。
この閨閥という本、今回の動画では話尽くせない点も沢山ありましたので、気になる方はぜひ読んでみて下さい!
動画解説版はコチラ
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![和田 英也](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/91852672/profile_109ac7305e05098e6ea89cc8179f7d68.jpg?width=600&crop=1:1,smart)