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高知でアニメ制作会社を設立しました

2021年7月15日に私としては初めてとなる地方での制作スタジオ「スタジオエイトカラーズ」を高知で設立しました。設立の経緯などはSHIFT PLUSさんにインタビューして頂いたのでこちらを見て頂けるとありがたく思います。


地方でアニメスタジオを設立した理由

私自身は以前から地方でのスタジオ運営の可能性を模索していて、きっかけは最初に入社したアニメ会社の人事を担当していた時にアニメの仕事をしたいけど、どうしても東京で生活を続ける事が難しい人や、そもそも経済的な理由などで東京に出てくる事自体が厳しい人が多くいる事を知り、なぜアニメ会社は東京に集中しているのか?を考えた事がはじまりな気がしています。

自分がアニメ業界に入った2009年は作画工程はまだほとんどがアナログ作業だったのでどうしても物理的な制約もあるため、結果的に東京に会社が集まっているほうが制作効率が高くアニメを作れる事をその時は理解しました。

ただ、2011年に自身が設立した「スタジオコロリド」ではデジタル作画を会社の特徴の1つとしてたので、デジタルを活用する事で地方でのスタジオ運営が可能になるのではないかと、その辺りから具体的に考え始めていました。2015年にはデジタル化が進むアニメ制作の未来のあり方として京都でセミナーに登壇させて頂き、この時も地方スタジオの可能性について話をさせて頂きました。

リアルな課題

ただ、実際問題としてはデジタルが出来るから地方でスタジオ運営がすぐにスタートできるというほど簡単なものではなく、様々な課題を解決していく必要があります。スタジオ運営ももちろん会社経営になるので、まずヒト・モノ・カネの確保が必要になり、今まではこの全ての条件があう場所を決める事が出来ずになかなか踏ん切りがつかない日々が続きました。

まずは「ヒト」。アニメやマンガに携わりたいという若者が増えているのは東京のアニメ制作会社を経営する中で感じていて、地方においてもその数は少なくない、という予想もありました。ただ、実際はじめてみないと分からない、では会社経営的には不安な部分もあるので、もし地方でスタジオ経営をする場合は特にスタート時期においては地元の教育機関と連携がとれる関係性を作っていく事が重要だと考えるようになりました。

次に「モノ」。これはモノ=仕事と置き換えてますが、地方でも安定的に仕事が必要になってきます。これはシンプルに東京のアニメスタジオからの制作受託をスタート時仕事のベースにするのがいいのかと思っていました。前述の通りデジタル化が進む中で、デジタル修正の作業などアニメにおいても新しい仕事も発生しているので東京の現場とうまく連携しながら地方でも「アニメを仕事に」できる環境を作っていければと考えています。

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最後に「カネ」。アカウンティングやファイナンスは様々な観点があるかと思いますが地方におけるスタジオ運営のポイントの1つは「いかにランニングコストを抑えるか」という部分にあるかと考えています。もちろん人件費を過度に抑制するという意味ではなく、東京にはない地方のメリットの1つはコストコントロールのしやすさとそれに伴う働くスタッフの生活満足度の確保のしやすさにあるかなと考えています。この辺りは感覚的には地方行政の取り組みとリンクする部分もあるので、結果的に地元行政といかに連携した形で取り組みを行っていけるかがポイントになるかと考えています。

地方スタジオ設立のポイント

5年くらい色々と可能性を模索していましたが、自分としては地方スタジオ設立の判断軸としては「産官学連携のバランス」であると考えるようになりました。地元の行政や学校、そしてもちろん地元企業の方ときちんと関係性を築けたうえでスタジオを運営していけるか、そういった条件があう地方都市はないかと考えるようになっていました。

なぜ高知県なのか?

という中で結果的に高知県を選んだのですが、その理由としてはざっくり、

ヒト=高知県はまんが甲子園など若年層のコンテンツ人材育成に積極的に取り組んでいる

モノ=東京からの仕事を受託できる前提はありつつ、やはり地元に根づいた取り組みをすることも必要となってくるかと考えていて、今回はスタジオ設立にあたり、地元の金融機関である高知信用金庫さまとともに、まずはスタジオエイトカラーズとしてのCM制作をさせて頂くことになりました。高知信用金庫さまと連携させて頂く形がとれる事は高知県でスタジオをスタートする意味においては大きなプラスの要因になったと考えています。

カネ=初期費用やランニングコストを抑えられるという意味においては、高知県で出来たばかりのシェアオフィスであるBASE CAMP IN KOCHIに入居できた事は大きかったように感じます。すでに什器などは用意されているのでPCだけあれば仕事がはじめられるという敷居の低さは新しい場所で、新しい挑戦をする状況においては大変ありがたく感じました。

今後の展開

まずは高知県として初となる手描きアニメスタジオとして結果を出す、というのを目標にしています。ここで言う結果とは、雇用の確保や自社作品の制作など色々とイメージはありますが、大前提としては「継続した事業運営」になるかと思います。5年10年と続く会社を作る事で今後も高知県でアニメ制作を継続的にできる環境作りを行っていきたいと考えています。

また、次の目標としてはやはり高知県以外でも同じような取り組みが出来ればと考えています。どこにするかはまだ検討中ですが、東京以外のエリアでもアニメ制作が可能な環境を少しづつでも作っていければと考えています。

日本のアニメ業界の新たな可能性としての地方スタジオ運営をまずは高知県で始めましたが、こういった取り組みをきかっけとしてアニメ業界の発展に寄与出来ればと考えてます。そのために多くの方のご支援を頂けると助かります!

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