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阪神淡路大震災20年目に思うこと(再掲)

今朝は5時46分に黙祷を捧げました。
20年前の今日、神戸市兵庫区にある古いマンションの10階に住んでいた私は、なぜか1分前の5時45分に目が覚めベッドに腰掛けていました。ドドドッーと下から突き上げる激震がやってくると、もう転ばないように両手を突っ張るだけで精一杯です。家の中が無茶苦茶に壊れていく音を聞きながら、訳もなく大声で叫んだのを覚えています。
最初の揺れが収まった後、すぐにカーテンを開けて外を見ると、西方に広がる長田区方面では暗闇の中で既に幾筋もの火の手が上がっています。空襲とはこんな感じなのかなと場違いなことを思いながら、とりあえず一階まで降りることができるかどうか確認をしました。
近くに住む家族や親戚の安否を確認するため、瓦礫の間を原付バイクで縫いながら街中を進んでいくと、強烈な熱風が遠くから吹いてきます。街全体が燃えていると100m離れていても熱いと感じる風が吹き付けてきます。目に入る色彩は赤と黒だけで、地獄の火を見るような思いでした。
幸い近親者は怪我人もなく皆無事でしたが、発生当時は自分と身の回りのことだけにしか気が回らず、他に何もできなかった自分に対しては心底腹が立ってきます。救助を待つ人が近くにいただろうと思うと後悔の念が後から後から湧き上がってきます。
被災からずいぶん経った後ですが、これらの経験を踏まえて、次に何かが起きた時にはしっかり大人としての行動を取ろうと決心した次第です。

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他にもたくさん考えられますが、個人として平時に備えておくべきと思うことは以下の4点です。

・耐震化が施されている建物に住む
・水と食料を三日分備蓄しておく
・寝床に家具が直撃しないように配置する
・近所の皆さんと交流しておく

あと一点付け加えるなら、大都市圏の木造住宅密集地は大規模な火災に巻き込まれるリスクが高いのは明らかなので、住む地域も一考する必要はあるかと思います。倒壊した建物は建材や燃えやすい物がむき出しになるのですぐに火がつきますし、大震災になれば消防や救援は来ないと想定しておいたほうがよいと思われます。(もちろん事情が許せばということですが)
また、当然ながら国や自治体として平時に備えておくべきこともたくさんあります。

Jパックスの水谷嘉浩と一緒にコンセプトを考え、実現に向けて段ボール業界と全国自治体を巻き込んで活動しているのが、災害時避難所への段ボールベッド供給体制の構築です。

段ボールメーカーの工場は全国に3,000拠点あり、どの地域で災害があっても周辺の工場から72時間以内に大量の段ボール製簡易ベッドを供給することが可能です。この業界全体としての能力を活かして、あらかじめ近隣の段ボールメーカーと自治体が防災協定を締結してメッシュ状の供給網を整備し有事に備えようという構想です。これは簡易ベッドの事前備蓄が少量で済み、一床あたりのコストが安いというメリットがあります。東日本大震災以降に活動を開始し、政治に働きかけて国の防災基本計画に「簡易ベッド」という文言を盛り込み、今では160以上の自治体と防災協定を締結させています。
災害大国の日本では誰もが災害に巻き込まれる可能性があります。我が国では、発災時及び一週間の急性期については国際的に見ても高水準の防災体制が整備されている一方で、それ以降の慢性期における備えが実は十分ではありません。その最たるものが、え?と思われるかもしれませんが、災害時避難所の住環境です。

他の先進国では大規模災害時の避難所には簡易ベッドが供給されるのが普通であり、冷たい床の上に毛布だけで雑魚寝するのは日本ただ一国です。体育館や公民館の床に直に寝ることの弊害は寒さだけでなく、血栓による肺塞栓症、生活不活発病による寝たきり、ホコリの吸引による肺炎など様々な病気を引き起こす原因にもなります。実際に、震災関連死と呼ばれる避難生活での体調悪化や過労など間接的な原因で死亡する人は、阪神淡路大震災でも東日本大震災でも死者数の10%を超えています。

災害が起きてしまうと一個人や一企業の努力だけでは対応が難しいことでも、あらかじめ行政や国を巻き込んで仕組みを作っておくことは可能です。段ボール製の簡易ベッドによって避難所のQOL(Quality Of Life:生活の質)を改善し、災害関連死や寝たきりになる人を減らして、ひいては国民の幸福の増大につなげられるのであれば、これは絶対に成し遂げるべきことであると思っています。

古来より大規模災害に向き合い、受け入れてきた日本人であるからこそ、ところどころのポイントで過去を振り返り、自分たちでできる防災を考えてもいいんじゃないかと思います。
阪神淡路大震災20年目の1月17日を迎えるにあたって、心に思うことをまとめておきました。(2015年1月17日)


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