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密林特急の害獣【小説/ショートストーリー/1167文字】

私はソレを探していた。まだここには慣れていない。だが、今は人手が足りず、上はまだ見習いの域を出ない私を派遣した。私に見つけられるだろうか。ソレはいると言われているが、実際に見つけるのは容易ではない。おまけにこの森だ。

このの森は、他の森に比べて木々が密集しており、湿気も多く、冬場であっても汗が流れ、いくつかの木々の香りが混ざり合って、鼻を落ち着かせることもあれば、思わず鼻を覆いたくなるときもある。

「いた……」

私は思わず、小さく口を動かした。

体長は170センチほど。人間とそれほど大差はない。だが、その姿は人間のそれとは違った。手が長く、耳も長い。舌は長すぎて、仕舞うことができず、常に涎がついている。目は釣り上がり、まるでファンタジー映画に登場するゴブリンのようだ。

どうやら、近くにある果実を狙っているらしい。周囲の動物を警戒しながら、舐めるような視線を向け、長い手をゆらゆらさせて、様子を伺っている。

ソレは、周囲の動物に気づかれないように、大きな果実だけでなく、まだ成長しきる前の果実まで奪ってしまい、木にとって害になる存在だ。適応能力が高く、どんな森にも出没し、ときには徒党を組むこともある。

当局は駆除に動いているが、どれだけ駆除してもいなくならない。森に存在する異物。なぜこんなものが生まれるのかは、まだハッキリと分かっていない部分もある。だがそれは私が考えることではない。私がすべきことは、目の前にいるソレ……醜く不快な生き物を捕らえ、施設に連れ帰り、駆除することだ。

ゆっくりと近づく。
ソレは私には気づいていない。果実に夢中だ。果実にとってはかなりのストレスになるが、この瞬間がソレを捕える絶好の機会となる。もう少し……もう少しだ……私は木々の間で身をよじらせながら、手に持った端末のボタンを押した。

パシャリ

頭の中で音が響く。実際には鳴っていない。ソレに気づかれないように、音は鳴らないように、特別な設定がされている。

ソレは果実に触れて、満足そうに舌を出している。
もう少し、もう少し……

私は素早く手を伸ばし、ソレの手を掴んだ。ソレは目を見開き、キーキーとヒステリックに鳴いている。関係ない。果実を取っている事実は押さえた。

ソレは暴れたが、私は抑え込んだ。果実は無事だ。ストレスで多少色が黒ずんでしまっているが、これなら自然と戻る。果実を安心させるように、そっと触れると、果実は徐々に、元の色に戻っていく。

私は安心し、ソレを引きずって森を出た。

「チカンを捕えました」

私がいうと、上官は満足そうに頷いた。

チカンと呼ばれるその生物は、醜く、他の動物からも嫌われており、果実に余計なストレスを加えて成長を妨げる害獣とされており、駆除は私たち、ポリスの大事な仕事の一つだ。

私は何度でも、森の中に入る。
チカンを駆除するために、何度でも。

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