第12話 真相~エピローグ【口裂け女の殺人/伏見警部補の都市伝説シリーズ】小説
■第12~エピローグの見どころ
・口裂け女が生まれた理由
・みづきの決断、伏見の決断
・常磐の遺恨
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「橘さん、来ますかね」
茂田が取り調べを受けた日の夜。
奈津美と竹神は、州ノ森公園に来ていた。
みづきは昨日、姿を消す直前に、明日の20時に公園でと、奈津美に耳打ちしていた。奈津美はそれを、竹神にだけ伝えて、二人は公園に来ていた。
「来ると思います。でも……」
「でも?」
「私たちが警察と一緒にいたこと、みづきさんはどう思ったんだろうって。だって、信用して頼ってくれたのに……」
「もし裏切られたと感じていたなら、今日ここで会おうなんて言わないと思いますよ」
「そうかもしれないけど、もしかしたらそれは……」
「二人とも、来てくれたのね」
奈津美が言いかけたとき、みづきの声がした。
「みづきさん……」
「来てくれてありがとう」
「あの、昨日はごめんなさい。あの後、大丈夫でした?」
奈津美が聞くと、みづきは、「なぜ謝るの?」と首を傾げたあと、
「常磐という刑事のことなら、大丈夫。付いてきてるのは分かってたけど、分かっていれば捕まることはないから」
と言って、ベンチに座った。
「全部、思い出した」
「記憶が、戻ったってことですか?」
「うん。
茂田はあの後、どうなったの?」
「伏見さんたちに連れて行かれました。その後どうなったかは、分かりませんけど……」
「そう……」
「みづきさんの記憶は……? やっぱり、茂田が……?」
「うん。
43年前、茂田が19歳、私が24歳のとき……茂田は、地方から出てきた医学生。私はあるデパートの受付をしていた。茂田はよくデパートに、というか私のところに来て、いろいろ話して、一方的に連絡先まで渡してきた。
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