身を焦がして。
「鳴かぬ蛍が身を焦がす」
好きな人への想いをあなたはどういう風に伝えますか?
「鳴かぬ蛍が身を焦がす」
という言葉を聞いたことがあります。
相手への熱い想いは軽々しく言葉で表すのではなく、静かに心に秘めておく方がよい。
奥ゆかしい日本人としてはこういうことが比較的好まれるのかも知れない。
少し前までは俺もそう思っていた。
自分の気持ちは軽はずみに言葉に表すものではないと。
でも今は違う。
たぶん言葉にしなければ、身を焦がすどころか、その想いで焼け死んでしまうこともある。
だから俺は相手に伝える。
「大好きだよ」
人はいつ何があるかわからない。
明日にはこの命が尽きるかも知れない。
例えば、今日仕事に出掛け、出勤途中に交通事故でこの世を去るかも知れない。
例えば、急に体調を崩し、そのまま帰らぬ人となるかも知れない
例えば、今日は逢えた君に、明日は逢えないかも知れない。
だから俺は伝える。
だから俺は君に伝える。
「大好きだよ」
いつこの世を去るときがきても、それが君に残した俺の最期の言葉になる。
俺は鳴く蛍。
伝えたい気持ちがあるから俺は鳴く。
何度となく同じ言葉を繰り返しても、その言葉に込めた想いは重ねるごとに薄くなることはない。
何度繰り返してもその言葉に込めた想いが軽くなることはない。
何度繰り返しても俺の想いを届けるには足りない。
だって、
その言葉が俺の想いの全てだから。
俺は鳴く蛍。
身を焦がしながらも、それでも鳴く。
「大好きだよ」
と。
それが、俺が君に残す最後の言葉だから。
ずっと変わらない君への想いを込めた言葉だから。
なんて、顔に全く似合わないことをのたまう、
ロマンチックおやじの小太郎でした。
「一場面小説」という日常の中の一コマを切り取った1分程度で読めるような短い物語を書いています。稚拙な文章や表現でお恥ずかしい限りではありますが、自分なりのジャンルとして綴り続けていきたいと思います。宜しくお願いします。