僕のじいちゃん。
今日あったこと、これまでの思い、
色々な思いが先ほど最高潮に高まった。
Q:今、一番したいことはありますか?
A:納屋の二階でもいいから、家族に迷惑をかけないから、
それでも家に帰りたい。。
これは、今日目の当たりにした祖父にヒアリングをした、
看護師のレポートの手紙である。
祖父は、大正12年、12月12日生まれで、
今、95歳である。
二十歳前後で戦争に行き、その後、祖母を嫁にもらい、
農家として、60年以上毎日毎日祖母と二人で働いてきてくれた。
千葉の実家で僕も生まれ育ったので、
いつもいつも一緒に朝食を食べ、学校から帰ってきては、
いつもの場所で採った野菜の仕分けをして、夜暗くなるまで
働いていて、夕食だよーっと外に声を掛けて、一緒に生活をしていた。
寡黙で、頑固で、恰幅も良かったじいちゃん。
初めて手術したのはいつだろう。。
一番覚えているのは、大学3年生の就活のタイミング。
夜中に病院から電話があり、じいちゃんが興奮しているのできてくださいと連絡があった。
母と二人で行くと、じいちゃんがロビーにいた。
泣きながら、俺はもうダメだ、もう死んじまうと言っていた。
初めて見た、じいちゃんの泣き顔と弱音だった。
僕も泣きながら励ました。
2008年のことである。
確か、2007年の冬に、胸がシクシクすると言って、
病院に行ったら、そのまま、入院か手術をした。
心筋梗塞の手前だった。
そこから入退院を繰り返し、
冬の時期は、やはりコンディションが良くなくて、一昨年は、
意識を失って、救急車で運ばれた。
ちょうど誕生日の時期だった。
そして、去年も12月に入院した。
寒い時期は心臓にも負担がかかるようである。
2018年12月に入院をして、現在2019年6月。
半年以上、病院とリハビリ施設にいる。
12月以降、半年以上自宅に帰れていない。
じいちゃんは、本当に孤独に頑張ってきた人生だった。
確か戦争に行く頃には、両親を亡くしており、
妹が一人いて、自分が親のように育ててきた。
何もないところから地道に本当に地道に、
野菜を作って、米も作って、市場に売って、
コツコツコツコツ生計を立てていた。
僕なんかが想像できないくらいの果てしない
実直な生活を送ってきたのだと思う。
僕が生まれた頃に、ちょうど今の家を建てた。
正直、周りの家と比べても庭もあり大きい家である。
それをキャッシュで払ったと聞いている。
僕が物心つく頃には、近くに畑や田んぼもいくつも持っていた。
きっと知らない話がたくさんあると思う。
でも、僕が生まれた頃には、そんな状態だった。
僕の親(じいちゃんの娘にあたる)は、三姉妹である。
染谷の名を継いでいて、男の血筋があるのは、
結婚が一番遅かった次女(僕の母)の長男の僕だけである。
生まれた時から一つ屋根の下で育った。
何だろう、じいちゃんというか家族である。
一つ屋根の下の家族である。
そんなこれまでのじいちゃんがいるから、
母の代を経て、今の僕の生活がある、今の僕の人間がある。
全てが感謝でしかない。
そんな、じいちゃんの今の一番のやりたいこと。。
納屋の二階でもいいから、家族に迷惑をかけないから、
それでも家に帰りたい。。
この言葉に色々と詰まりすぎて、
さっきの帰り道、皆がはちきれそうで、
ずっと泣いてしまった。
じいちゃんは昔から恰幅が良く食いしん坊であったが、
美味しいものを食べることが望みではない。
もう、迷惑かけないし、納屋に一人でもいいから、
家に帰りたいのがこの95年生きてきた望みである。
そんなじいちゃんが明日久しぶりに実家に帰ってくる。
ちょっと前に、家族でも会議をしたし、
最近じいちゃんんが帰りたいと言っているのを聞いたし、
一時帰宅ということで明日のお昼を施設で食べた後、
夕飯の前まで実家で過ごす。
そして、今日のこの帰り道の感情で決めた。
一刻も早く、じいちゃんを家に帰ってきてもらうために
ベストを尽くそうと思う。
でもそれは、当然母の負担が増える。
母の姉妹(叔母)の協力が必要である。
当然一緒に住む母の負担が増えるのは目に見えている。
それをサポートできるのは、きっと僕だけである。
物理的なサポートももちろんであるが、
どちらかというと精神的なサポートが強い。
僕が今、泣いているように、絶対、母も姉妹も泣いている。
自分の親であるから。
一緒に過ごす時間が大切である。
一般的な働き方だと無理もあるかもしれない。
でも働き方に囚われて、じいちゃんの願いを叶えられないのは、
僕の生き方に反している。
というかそんな生き方したくない。
何を大事にして生きるかが、
すごくシンプルになった。
というかシンプルにした。
いろんなものも大事だが、譲れない大事なものを残す。
明日、半日じいちゃんと過ごし、
みんなで最善の方法、みんながベストパフォーマンスできる状況を探り、
じいちゃんを幸せにしたい。
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