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ディノ・チアーニを聴く(1)

ディノ・チアーニの録音をいくつか聞いていきます。
チアーニはベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲のライブ録音があります。
その中から、ピアノ・ソナタ第1番を聞きます。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調op.2-1
ディノ・チアーニ(ピアノ)
録音:1970年10月4日、トリノ(ライブ)

これはライブ録音で、モノーラルです。プライベート録音らしく、ホールの中央に録音を置いての録音だそうです。というわけで膝上録音に近いのではと思っていたところ、そこまで状態は悪くないですね。ただ、ホールの真ん中のマイクということで、ピアノはホールトーンを含んだ状態で、直接音主体に聞くことはできません。
実際に実演でピアノを聞くということを長らくしていないため、たとえばサントリーホールの2階席でピアノの音を聞くとこんな感じになるのかは記憶にないですが、昔、ポリーニのベートーヴェンの後期ソナタ全曲演奏会をサントリー・ホールで聞いたときは、たしかにこの録音のような感じだったかもしれません。
あと、ライブ録音ということで、聴衆の咳が頻繁に入っております。これはやむを得ないですね。

直接音中心の最近のスタジオ録音のピアノのような金属的な硬さは感じません。ホールトーンが入りすぎというのはあるにせよ、なかなか綺麗な音で録音されているのではないでしょうか。フォルテで音割れるすることがあまりないところも良いです。音割れされちゃうと、やっていることがわからなくなりますので。

ホールトーン豊かなので、音が全部つながって聞こえます。実際にレガートで弾いているのか、ホールトーンで勝手に音がつながっているのか判然としません。

第4楽章など、ホールトーンたっぷりの円やかな響きはなかなか美しいです。思い出しましたが、エトヴィン・フィッシャーのベートーヴェンピアノ協奏曲第3番の録音がやはりこんな感じでしたね。

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