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ディノ・チアーニを聴く(2)

前回に引き続き、チアーニのベートーヴェンのピアノ・ソナタを聞きます。1番を聞いた後、2番、3番、14番「月光」、27番、28番を聞きました。
今回は、28番について書いてみます。

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第28番イ長調 作品101
ディノ・チアーニ(ピアノ)
録音:1970年11月22日、ライブ

さすがに録音が残響過多なので、音質については多少我慢する必要があります。しかし、逆に28番の冒頭の主題なんかはとてもきれいな響きです。ずいぶん遠いところから響いてきますが、鋭さも失われていません。この第1主題、本当に美しい旋律です。残響のせいか、最弱音なんかは夢幻的な感じです。
第2楽章は冒頭から鋭いフォルテを聞かせます。残響は多いとはいえ、実際の音はかなり硬質なトーンだったのではないでしょうか。
第4楽章は、多少フォルテがきついようです。ここら辺は録音の限界でしょうが、鮮明なステレオ録音で収録したとしても、硬質な音については変わらなかったのではと思います。テンポはよどみなく、心地よく音楽が進んでいきます。
わたしはこの音楽をこれまで、バックハウス、ソロモン、シュナーベル、内田光子、ホロヴィッツの録音で聞いてきましたが(実演は内田光子とポリーニでどちらもサントリーホールで聞きました)、第1楽章以外はイマイチ、ピンとこない音楽です。第4楽章のフーガもよくわからないです。同じような音楽なら、次作のハンマークラヴィーアのフィナーレの方が成功しているのではないでしょうか。
このチアーニの演奏もこれから何回か聞いて、この曲をもっと好きになれたらよいと思いました。


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