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大腸内視鏡検査って何するの?

何か月か前に行った定期検診の結果が戻ってきました。要精密検査と記されていました。大腸内視鏡検査を受けなさいとのこと。検診を行なった検診センターでは、精密検査が出来ないということで、数カ月前に盛大にクラスターを発生させて、てんやわんやになっていた近所の病院へ。

病院へ行った日は、検査をしてもらえず、単に検査日の予約をしに行くという(担当医と)……めんどくさい……こんなことしてるからコロナ禍で医療スタッフが足りねえんじゃないか? と悪態をついて病院を後に。

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検査当日までの2週間ほど、何をする検査なのか、考えないように調べないようにしました。予備知識を入れると怖くなりそうだからです。

検査前に、親戚の医療関係者と食事しました。「たぶん何もないと思うけどね。検便にちょっとでも血が混ざってると、再検査になるからさ」とのこと。その旦那さんは「心配になっちゃうよね?」と……。それに対して僕は「いや、あんまり実感湧かなくて……ぜんぜん心配してないんですよね。癌です…なんて言われたら、どうか分かんないですけど…」なんて答えていました。

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さて、検査当日の朝がやってきました。

検査は午後の3時からですが、その前に自宅で腸内をきれいにしておかなきゃいけません。前日の夜9時以降は、食べていけません。そこに下剤というか洗浄液を流し込みます。

大腸管洗浄液は、アウトドア用の水筒というか…ビニールパックのようなものに、白い粉が入っています。水を1L入れて、くすりが溶けるようにシャカシャカ。だいたい溶けたら、また1Lを加えます。ここはシッカリと混ぜてください。

気分を盛り上げるために、ちょっと高級なグラスに注いでみました。匂いを嗅ぐと……まぁポカリみたいなもこかな……。一口グビっと飲んでみると……やっぱり不味い……。なにかココアとか混ぜて飲みたいところですが、それはダメです。

とりあえず初めの1Lを飲むまでは、コップ一杯を15分間隔で飲むように書かれていました。

グビグビグビ……うぉ〜まずいなぁ〜……なんて思いながら一杯飲み干します。気がつくと10-15分が経っていました。ヤバいな、またグラスに注いで飲み始めます。2杯目は1杯目よりもキツくなります。

注意書きには、吐き気や気持ち悪さを感じたら、我慢せずに医師などに相談すること、と書かれています。「もう気持ち悪いし、吐き気がするんだけど…相談すべき?」って、妻に聞くと……「いいけど、自分で相談してよ。わたしは電話しないからね」とのこと……。そうですか、じゃあがんばります……ということでもう一杯。

4-5杯で1Lを飲み干しましたが、特に変化はありません。おかしいなぁ…「多くの場合、1Lで最初の便がきます」と書かれているのに……。

心配しながらも、まぁとりあえず頑張ったから一服しました。すると腸が刺激されたのか「あ! きたっ!」と、いきなりです!

そのあとは、ジャジャーと出しては飲んで、またジャジャジャジャーと出しては飲んでの繰り返しでした。どんどん色が薄まってきて、途中で飲んだ緑茶の色になったりしました。

で…2Lを飲んで「もういいでしょ?」と、勝手に切り上げました。もう2L分も渡されたのですが、もうダメっすと…。

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8時から飲み始めて、なんだかんだで11時頃になって完了。

特に気分も悪くないし、空腹感もありません。むしろ腸を洗浄できて、良かったかも。

妻に「これって一年に一回くらい やった方がいいんじゃない?」っていうと、「そうなんだよ。ダイエットにもいいらしいよ」とのこと。2L分が残ってるから、あげるよと言うと、断られました。

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いよいよ病院へ。

車や自転車では来るなとのことでしたが、基本、僕は楽観的なので、自転車で行きました。

内視鏡室へ行くと、かわいい看護助手? みたいな女の子が出迎えてくれました。ぇええ! こんな可愛い子子が「はい、お尻見せて下さいねぇ〜」なんて言いながら、僕のお尻を押し広げたりするのかなぁ……なんていう心配がよぎりました。

とりあえずベンチに座るよう指示され、待っていると、今度は看護師さんが様々な説明を…

「痛かったら我慢しないで言ってください。その場合は麻酔を使いますから。そしたら痛みがおさまります」

「えーと…どれくらい我慢しなくていいんですか? 痛い! って思ったら、言っちゃっていいんですか?」

「はい、そうですね。麻酔するかどうかは先生の判断になりますが、本当に我慢しなくていいですよ」

もろもろ説明を受けると、かわいい看護助手がまた来て、「それでは 着替えをしちゃいましょうねぇ」みたいな感じで……やや赤ちゃんとでも話すようなイントネーションです。彼女がもし「はい…おズボン 脱いじゃおうねぇ〜」なんて言っても驚かなかったでしょう。

もちろん、そんなシチュエーションもなく、一人で穴付きの紙パンツに着替えました。その上に検査用の…入院患者がよく着てる、検査着をはおります。

それから30分以上、ポカリみたいな経口液(?)を腕の管から注入していました。脱水症状に陥らないようにするためと言っていました。

僕は何もすることがなく、相変わらず目の前には、看護助手がデスクに座って、なにかしています…が、たぶん何もしていないんだろうなぁ…と言った動き。その子をずぅ〜っと横目でチラチラと見ていました。

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病院へ来てから1時間ほどが経ってから、いよいよ診察室へ。

ここからは、若い医者のアシスタントに担当が変わりました。やったらテキパキとしていて、約1時間、ベンチに座ってボーッとしていた僕は、次々に繰り出される指示に、必死でついていくので、精一杯でした。僕はベッドに寝ころがり、ポカリのあとは、何か違うものを体内に注入していきました。いわゆる麻酔や鎮静剤のようなものは入れていないと言っていたけど…やや緊張気味の僕には、彼が何を言ったかは聞き取れませんでした。

それがなくなると、いよいよ先生が登場しました。

「はい、こんにちは、担当のなにがしです。今日はよろしくお願いします。腸管検査はされたこと……ありませんね。それじゃあ最初にテストをしますね。ちょっと入れますので、痛かったら言って下さいねぇ……」

と言い終わらないうちに、お尻にズボ〜! っと何かが入ってきました。

「うおぉおおお〜〜」と、思わず声を出しながら身体をよじらせる僕。こんな声、自分でも初めて聞いたよw

「はぁい、あまり(お尻に)力を入れないでねぇw あんまり得意じゃないみたいですねぇ〜w まぁ得意な人なんていませんけどね。はははぁw」

僕も誘われて笑います。このおっさん、面白い系で良かったw

「それじゃ今度はカメラいきますよぉ〜。さっきより太いけど、大丈夫かなぁ〜w?」

と伸ばした語尾が止まないうちに、またズボォ〜! っとお尻に何かが! 何かが! 何これ!? みたいな状況です。

「うぅうううう。いた…いたたたたぁ!」

「あぁ〜ちょっと痛いかなぁ〜、もう入り口を超えたからもうちょっとです…もうちょっとがんばりましょう!」

と言いながら、ズブズブと身体の中に何かが入っていきます。マジか!? お尻から身体の中にカメラを突っ込んで検査するって…そのまんまじゃん…もっとスマートにやるのかと思ってたのに…こんなに原始的なことすんのかよ! しかも「痛い!」って言ってんのに、ぜんぜん麻酔しねえじゃねえかよぉ! なんて思っていました。

正確には「痛い」ってわけではありませんでした。「痛い」のではなく……そうだなぁ「痛い」って言って助けを呼びたくなるほどの、「強烈な違和感」です。「違和感が! 違和感、違和感、すげぇ〜違和感ですぅ〜!!」なんて、とっさに叫べませんからね。正確には違うんだけど「痛イィ!」って告げるしかできない……そんな感じです。

そんな風に思いながらも、管がニョロニョロと身体の中に入っているのをはっきりと感じます。先生が見つめるモニターには、僕の腸管と思われるものが映っていました。

「はい曲がりますよぉ〜」と先生が言うと……改めて腸のなかに異常な違和感を感じて「うげぇ〜!」と叫んでいました。

時々、お尻から突っ込まれたカメラが、グニュグニュとカーブした腸の中で、方向転換するんです。その時に「ハフッ!」という圧迫というか…初体験の違和感を腹部で感じるんですよ。

「はい、力が入っちゃってるなぁ〜」と言いながら先生が片手で僕のお腹を上から押しています。「力を抜いてぇ〜……難しいけどねぇ〜w」と。すると助手がバタバタと近寄り、身悶えている僕のお腹を、先生と一緒にぐいぐい上から押します。「す〜…す〜 …って息をゆっくり吐いてくださぁ〜い!」と助手が僕に指示を出します。

僕は必死で「ハフゥ〜……ハフゥ〜……ハフゥ〜」と言われたとおりに息を吐き出します。お母さんたちが出産の時に、「ふぅ〜〜ふぅ〜〜ふぅ〜〜」と呼吸するように言われるのと、同じ何でしょうね。息を大きく吐くことで、お尻のなのかどこなのか分からないけど、入っていた力が抜けるんだと思います。

「はい大きく吸って、そのまま止めてくださいねぇ〜。はい…止めてぇ〜」

そんなことをしていると峠を越えたようです。

「何度かこういうのがあるので、頑張ってくださいねぇ」

と言いながら、先生は目の前のモニターを見ながら、手元にあるコントローラーで、ニュルニュルと入っていくカメラを、動かしているようでした。

何度かカーブを超えながら、カメラは僕の腸管を上っていっているようです。先生に「どうですか? なにか異常はありましたか?」と聞きました。

「いや、最初に腸の奥までカメラを移動させるんです。そのあと、戻っていく時に見るので、今はほとんど見ていないんですよ。でもまぁ、キレイな腸ですけどねぇw もうちょっとで一番奥まで行くので……」

そうやって僕の身体の中のカメラは、どんどん奥へ奥へと入っていったようです。自分のお腹の中の様子をモニターで見ているのは不思議な感じでした。

時々「プシュ〜……コココォ…ゴボッ……」という音が聞こえてきました。腸管に炭酸ガスを送り込む音…残っているこびりついた便を洗浄し吸い込む音のようです。なんで炭酸ガスを送り込むかといえば、腸管を広げて、カメラを通しやすくするためのようです。

僕がモニターを凝視しているのに気づいたのか、医者が「もう少しですからね。あっちが肝臓(膵臓だったか?)ですよ……あそこです」と教えてくれたけれど、医者がモニター映像に指を指して教えてくれたわけでもなく、僕にはどこがソレなのかは分かりませんでした。

最後まで行った後は「それじゃあここから戻っていきます。もう苦しくなることはありませんからね」と言いながら、カメラが引き上げていくようでした。相変わらず、身体の中を管がニョロニョロと這っているようでしたが、先ほどまでと違って、圧迫されるような感覚にはなりませんでした。

「先生…僕は腸が弱いんですけど…なんかありそうですか?」

「いやぁ…まだなんとも言えませんけど、今のところ特別に何もないですよぉ」

そんなことを言いながら、先生はモニターを凝視しながら、どんどん自分の仕事を進めていきます。行きとは違って、帰りはすんなりと戻れるようで……カメラの先端はお尻の穴に近づいているようです。

「さぁ最後にテンカイ(転回? 展開?)というのをしますから、ちょっとここだけ少し痛いかもしれないけど、頑張っていけるかなぁ…?」

なんて言いながら、お尻の中の管がグイィ〜っとねじるような動作がなされているような気がしました。僕は久しぶりの圧迫感に……

「ぉおおおおおお! これ痛い痛い…痛いんじゃないけど……おぉぉおお!」

なんて言いながら、お尻に思いっきり力を入れて、おそらくカメラの管をガッチリとホールドしちゃったと思います。

先生も少し驚き気味だった気がするし、助手が慌てたように駆け寄って、僕の腰を固定させるように力を加えてきました。

「あぁ〜これはちょっと痛いかなぁ……それじゃこれはやめましょう」

なんて言いながら、その後の数秒後には、お尻からカメラを抜いたような気がします。「え? そのテンカイってやつはしなくてもいいのか? しなくてもいいものを、なんでしたんだろ?」とも思いましたが、全ての圧迫から解放された僕は、その心配よりも安堵感でいっぱいになりました。

「終わりまし。特に問題ないですよ。大丈夫です」

と言ったかと思うと、かなりササっと先生は部屋を出ていきました。特にお話もなく……まぁでも大丈夫ならいいのか……。

あとは助手が後片付けを始めました。僕の右腕の注射を取りながら「これを取ったら、動いてもいいですからね。少し待ってくださいね」と言いながら手際よく外していきます。

「えっと…これで終わりなんですよね? もう普通に過ごしてもいいんですか?」

「大丈夫ですよ。先生も特に何もないと言っていましたし、麻酔もしていませんし、普段通りに過ごせます。あ…でも、昨日から何も食べてないと思うので、あまり刺激的なものを食べると、身体がびっくりしちゃうと思うので、最初は優しいものを食べられた方が良いと思いますよ」

とのこと。

「えーと……特に何もないって言ってましたけど、年明けにまた来るように予約を取っていますけど、その時は何かするんですか?」

「あぁそれはですね、いちおう今日見た限りでは異常はなかったんですけど、これからまた担当医の先生なども診ていきます。それで本当に何もないかを診ていくので、これで大丈夫って言われたから、もう来ない……なんてことはないようにしてくださいねw」

そのあと、その医者の助手が僕の靴を揃えて、着替えを持ってきてくれました。その施術室で一人で着替えてその場を出ました。会計を済ませて病院を出ると、外が暗くなり始めています。時間を見ることもなっかったけど、病院へ来てから2時間も経っていなかったはず。

来た時と帰る時で、なにか人生観が変わるかもなぁって思っていたけど、特に変わっていないな。

家に帰ると、玄関にまで妻が早歩きで迎えに来ました。そのままの勢いで抱きついてきて「なにもなくてよかったぁ。昨日から明るくしてたけど、本当は心配してたんだよぉ」と泣き出しそうな勢いです……。のんきな僕はといえば……「え? そうなの?」と思いつつ、そんなに僕のことを心配してくれる人が居たんだなぁと、ちょっと新鮮な気持ちでした。

まぁそんな貴重な経験でした。

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