実写版『ONE PIECE』の感想。焦点を絞った良い実写化。
原作は最新巻まで読んでる。一味で好きなのはロビン。あとジンベエ。
実写化は苦手だけど、まあ見てみるか〜くらいのノリで見たら、思いの外面白かった!!
最初は吹き替えの声がアニメと同じなのがツボってしまって、爆笑しながら見ていた。
マジで吹き替えで見た方がいい。特にシャンクスの見た目と声のミスマッチが面白すぎる。
しかし1話の半分が過ぎる頃にはその面白さが薄れ、普通に退屈になってきた。
ながら見程度で見続けていたんだけど、EP6あたりで「あれ、これ実は面白いのでは?」と思い始めた。
何にフィーチャーした実写化なのか?
実写版ルフィが、仲間にしたいやつに必ず聞く「お前の夢は何だ?」と言う質問。
この実写版はイーストブルー編を、麦わらの一味の夢に焦点を当てて再構成している。
そしてそれによって、ルフィの複雑なキャラクター性も良く伝わるようになっている。これがこのドラマ版の方向性だ。
それが最もよく出ているのがゾロがミホークにボコられる辺りのシーン。
ルフィはゾロが絶対に勝ち目のない戦いに挑むことを看過するが、しかし当然の結果としてゾロが死にかけると、なぜか動揺している。
ゾロが夢を追うのは(そしてそのために死のリスクを負うのは)ゾロの自由。それはそれとしてゾロには死んでほしくない。
ルフィの中ではこの矛盾する二つが結び付かず共存してる。
ルフィを動かす二つのエンジン、「(夢を追うための)仲間の自由を守る」と、「仲間を失いたくない」がコンフリクトしたのがゾロvsミホークで、一致したのがナミを救うためのアーロン戦だ。
ドラマ版で、重体のゾロを前にしたルフィが原作以上に動揺し弱さを見せるのは、ルフィの抱えるこの矛盾を強調する為だったのだと思う。
サンジの旅立ちがあっさりしていたのも本作の方向性から理解できる。
もちろんドンクリーク戦が飛ばされたって言う段取りも関係してるだろう。
しかしそもそもサンジの葛藤(=夢と、それに向かうことを阻むしがらみ)は彼の中だけで完結していて、ルフィが関与できるものではない為、ルフィのキャラクター性の補強にはあまり寄与しない、なので本作の方向性からすると重要度は少し落ちる。
はっきりした意図のもと行われた実写化だということが伝わったので、好感を持って見ることができた。
本作は、いよいよグランドラインへと向かう一味が、1人ずつ自分の夢を語る進水式のシーンで幕を下ろす。
主人公のキャラクター性と一味の夢に焦点を当てた本作は、そのまま原作ワンピースというグランドラインへの入り口として機能するんじゃないだろうか。とか言っちゃったりして。
その他、細かな感想。
・実写版のバギーがめっちゃ良かった。
村人を拉致って観客にして、拍手や笑いを強要するのが恐ろしくて良い。これには実写化した意義がある。
バギーの性格もドラマ用に上手く改変してる。原作の派手好きって嗜好が、スポットライトを浴びたいっていう芯の部分の願望になっている。これもある意味夢にフィーチャーする本作の方向性に従っている。
・ベルメールさんの最期のシーンの改変はちょっと嫌だった。
実写版だと追い詰められた末にナミ達を守って犠牲になったっていう展開になってしまっている。
元の展開の良かったところは、ベルメールさんが何も言わなければあのままあの場が丸く収まってたっていう点なんだよな。ベルメールさんはマジで余計なことを言っちゃって死んだ。
でも命よりも大事な余計なことって、それはもう正しさとかを超えた生き様なわけで。だからこそ胸を打つわけで。
この実写版の展開だと、2人の命を守って死んだっていう正しい話になっちゃってる。まあ感動したけれども。
・ゲンさんの影が薄いのもなんかな。
「私のことを助けなくていいから誰も死なないで!」っていうナミの叫びは、彼女のキャラクター性を見せる上でかなり重要なものだと思うんだけど、ゲンさんの影が薄くなったことに伴って無くなっちゃってる。
各話感想。
EP1
・このロジャーは覇気使えなさそう。このシャンクスも覇気使えなさそう。
・モーガンの部屋の扉うっっっす。ベニヤ板くらいの厚さしかねーじゃん。
・ゾロのアクションだけレベルが違う。
EP2
・もうだめだ。「シャンクス腕が!」で笑ってしまう。最低だ俺は。
EP3
・「なんで誰も信じてくれないんだ」←それは違う。
EP4
・ゼフが喋る度に口髭がピョコピョコ跳ねるのが面白い。キツく三つ編みにしてるんだから、そりゃそうなるよな。
EP7
・肩の刺青刺しまくった割にあんまり血出てないのおもしろ。
EP8
・面白かった。なんかの間違いでエニエスロビー編までやってくれないかな〜。
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