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『聖なるGOAL!』の感想。修道士×フットボール!
修道院の存続のため、サッカー未経験の修練士達が聖職者のサッカー大会「チャンピオン・クレルム」での優勝を目指す話だ。
最近サッカーにもキリスト教にも興味を持っている。
そしてこれは興味のある2つを合体させた、嘘みたいにおあつらえ向きの映画。見るっきゃない。
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感想
さて見た感想を言うと、スポーツ映画としてはかなり微妙だった。
それは彼らが勝つ理屈が描かれないからだ。
メンバーの特訓や上達の過程が言い訳程度にしか描かれないので、勝つことにカタルシスが無い。
一応言っておくと、勝つ理屈が全くなかった訳ではない。
弱小チームを強化するため、助っ人として強力なMFを呼ぼうとするんだけど、彼はプロテスタントなのでチームに入れられない。なので彼を洗礼することでプロテスタント兼カトリック教徒としてチームに入れる。
この「洗礼すればセーフ理論」自体はかなり面白かった。
しかしこれでは強い奴を1人呼んだから勝てたってだけにしか思えない。
そもそもピッチ上でチームメンバーの誰にも魅力が無いのがスポーツ映画として致命的。
じゃあつまんなかったのかと言われると、そういう訳でもなかった。
具体的には前半に描かれる、若い修練士の悲しい恋のエピソードが良かった。
幼馴染の誕生日会に勇気を出して行ってみたら、なんかウェイウェイした感じの若者達が集まっててずーっと馬鹿にされる。
この、ある特定の価値体系(修道院)の中で生きる者が、別の価値体系(若者文化)の中に晒され、そこで徹底的に無価値な存在として惨めな思いをするっていう展開がとても心に来て良かった。
終盤の展開も良かった。
院の存続のためしぶしぶサッカーをすることを許可した院長は、最終的には「負ければ院を存続させよう」という八百長の誘いを断ってシュートを撃ち込む。
もはや何のために勝つとかはどうでも良くなって、試合に勝つことが史上の目的になっている。
この本末転倒具合がとても熱くて良かった。
先の価値体系の話に合わせていうのなら、ここには価値観の転換がある。
修道院の価値観にサッカーの価値観が持ち込まれる、その意味でこの映画はサッカー×修道院の映画としてちゃんと成立してると言える。
ただしかし、この展開には若干のモヤつきもある。院長が心変わりする描写が弱いのだ。
彼は元々、個人的な理由でサッカーに否定的だったのではない。その激しい営みは修道士のやることとして相応しくないからという、一般論に身を任せた思考停止状態だった。
その点からすると、サルバドールがアフリカでサッカーを伝えていた頃の写真に、主人公と共に教皇やマザーテレサなんか映っているのをみて彼が心変わりするというのは、何らドラマチックでもない、当然のことだ。
彼は権威主義から抜け出した訳じゃない。より大きな権威に従っただけだ。
それが彼の可愛らしさじゃん、と言われればまあそうかもなとも思うが、修練士達を我が子のように思う彼が心変わりするのであれば、そのきっかけは主人公がサッカーを教えた子供達の笑顔なんかにして欲しかった。
それでも面白かった。良い話で終わったので良い映画だと思った。
ペップ似の監督神父。
見ている間ずっと思っていたんだけど、修練士達にサッカーを教えるサルバドール神父がちょっとペップに似ている。
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ほら、ちょっと似てない?
絶対ペップを意識したキャスティングだと思うんだよな。
それと、ペップはスペインのカタルーニャ出身で、この映画もスペイン映画なので、もしかしたらペップもこの映画を見てるかもしれない。
その他、細かな感想。
・「父と子とクリスティアーノロナウドの御名において」
「やっぱり教皇庁はレアルのファンだ」
このくだりがおもしろかった。
主人公達はよくティキタカっていうので、バルサのファンなのだろう。ある意味これはエルクラシコの代理戦争ってことでもある。
・初戦以外は全部ユニフォームを着てプレーしてるのがちょっと残念。せっかくなんだから修道服でプレーして欲しかった。
・作中、主人公達がローマで宿泊した施設が、以前旅行したときにかっこいいなと思って写真を撮った場所だったので嬉しくなった。
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余談:旅行の思い出、ローマの宿。
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せっかくなのでローマの宿での思い出を書く。
ヨーロッパを旅行したときには、空港に泊まったり、夜行バスで寝たりした日を除けば全日ドミトリーに泊まっていた。
宿では韓国人の若者と同室だった。2段ベッドの上が僕で下が彼。
最初、相手のことを日本人だと思っていたので、韓国語で話しかけられて驚いたのを覚えている。向こうもこっちを韓国人だと思っていたらしい。
KOREA ARMYとプリントされたTシャツを持っていたので、兵役を終えて旅行していたのかもしれない。
見ている間のメモ。
・あ、脳破壊されちゃう。悲し過ぎる。
行ってみたら知らねー若者集団が集まってて、給料がないからしょうもないお菓子しか持ってこれず、それをニヤニヤ眺められ、知らん奴が彼女にこれ見よがしにキスして、そいつにタバコの煙吹きかけられて。
惨め過ぎるよ〜〜。
マジで終わってんなこの幼馴染。こんな誕生日会に誘ってんじゃねえよ。ノリがちげえんだよ。
セックス事情を明らかにするゲームを、よりによって修道士の幼なじみを加えておこなう。終わってんだろ。
怒って帰ろうとするけど、川に落ちちゃってそれすらも満足に出来ない。悲しすぎて良い。
・こいつムカつくわ。信仰の障害は黙って帰って、二度と神聖な修道院に足を踏み入れるな!
・買収されやがってこのユダが!!泣いて許されると思うなよ。 二度と神聖なコートに足を踏み入れるな!!!
・パネンカで決めろ!決めて煽りまくれ!!
・菓子工場って馬鹿にされてたのが、本当に菓子工場が建てられた。素敵な終わり方だね。