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「バッドキャット」の感想。
以前どこかで予告を見たことがあって、その時に面白そうと思って、それっきり完全に忘れていたことを、アマプラで見つけたときに思い出した。
トルコの映画らしい。
主人公が魅力的な映画でした。
どかっと便器に座ってタバコをふかす主人公の絵面で心掴まれた。
主人公の傍若無人っぷりがとても楽しくて、基本的に楽しく見ていられた。
1番好きなシーンは序盤の、シャムネコに迫ったらその子が死んじゃって、怒った飼い主のことも殺しちゃうシーン。(飼い主はその後生き返るんだけど。)
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好きなセリフは、せっかく会いにきた息子を追い払うときの
「俺は生専門の中出し主義なんだ、自慢じゃねえがな。認知してたらキリがねえんだ」
酷すぎて笑ったけど、まあ猫って基本そうだよな。
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だけど、カモメとネズミ側の酒を手に入れる話はマジで要らなかった。それに漫画家ゾンビも流石にしつこいなと辟易してしまった。影は闇に帰れ!
終盤、息子が撃たれたシーンで、息子の受けた傷が全然リアルじゃないのも気になった。脳が飛び出てゾンビ化するようなはちゃめちゃコメディから、一気にシリアスに方向転換するのなら、その傷口はリアルに作らなきゃダメじゃないか?
最終的に主人公が息子を大切に思う気持ちに目覚めて、父親らしくなっていく辺りは「調子のいいやっちゃな」と若干冷めた目で見てしまった。しかし完全に主人公のせいで死んでしまった漫画家ゾンビに対して、一切憐れみの情を見せることなく爆殺した辺りはいいなと思った。
彼は善人になったわけではなく、仲間内にだけ優しい傍若無人な猫の「内」に息子が追加されたというだけのことだ。
全体を通して見ると、前半に楽しさが集中していて、後半はそんなでもなかった。それに話がとっ散らかって退屈なシーンも結構あった。
でも、イスタンブールの街並みと主人公にめちゃめちゃ魅力があったので良い映画だと思った
その他、細かな感想。
・卑語が飛び交うのは良いんだけど、駄洒落に混ぜて無理やり入れ込んでくるのはなんか必死さが出ててキツかった。
・猫と人間が普通に喋ってるけど、社会活動には参加させてもらえてないっぽい。どういう世界観なんだろ。
・母親が死んで、顔も知らないクズな父親を訪ねにきた息子とか、生死の境界のあやふやさとかが、一瞬ペドロ・パラモっぽいなと思った。しかしよく考えてみれば、猥雑で活気のある空気感は、枯れた感じのするペドロ・パラモとはまるで違うな。
予告
この映画でトルコに興味を持ったので、トルコの主要な宗教である、イスラム教のモスクに見学に行ってきた。
とても面白かったので、近いうちにその体験記を書こうと思う。
つまり、この映画感想文は、モスク見学の感想文の予告も兼ねていたのでした。ジャジャーン。
それでは乞うご期待ということで、Görüşürüz!(またね!)
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