アートのお値段/ナサニエル・カーン監督
ナサニエル・カーン監督 のドキュメンタリー映画『アートのお値段』を見ました。
「お値段」とは皮肉が効いていて良いとは思いましたが、英題では『The Price of Everything』で、いたって真面目な映画です。
アートとお金と言えば、少し古い話ではゴッホの《ひまわり》が約53億円で競り落とされたのが1987年のことですが、現在では十分な供給量を満たす(作家がまだ生きていますから)「現代アート」が、投機対象として空前のバブル市場を形成しているわけです。あのバスキアが競り落とされる瞬間も映画では捉えられていますが、さしたる感慨は無いですよね。
「物語」は、オークションで最も高額な値をつけるアーチストのジェフ・クーンズと対比するように、オークショナー、コレクター、それにアーチストを中心にその狂騒の内側を丁寧に描いていきます。
ところで、ラリー・プーンズって、日本ではあまり知られないでしょうが、1960〜70年代「システミック・ペインティング」のケネス・ノーランド、アド・ラインハート、アグネス・マーティン、ロバート・ライマンらと並ぶ画家ですね。プーンズはこう言います。
「好きなのは私の昔の絵だろ。みんなが私は死んだと思ってる」
オークショナーのエイミー・カペラッツォやコレクターのステファン・エドリスが、そしてラリー・プーンズが何を語るか、それがこの映画の見所だと思います。見ると結構面白いのですが、見終わればやはりそれだけのことかと。
監督:ナサニエル・カーン
2019年8月27日鑑賞
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