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秘境の滝 巣之浦川大滝へ

秘境の滝 巣之浦川大滝(すのうらがわおおたき)まで歩いてみました。往復 9.5km、累計標高差 455m、生駒高原から林道を歩いていきます。コロシアムのような形状の美しい滝で、あまり知られていないことから、秘境の滝と呼ばれているようです。

登山客は少なく、山の奥深くに入っていくので、かなり不安でした。その時の様子を動画にまとめていますので、よろしければご覧ください。


100万本のコスモスが彩る生駒高原

宮崎県下屈指の花の名所である生駒高原は、ちょうどコスモスの開花の時期であり、100万本のコスモスが高原を彩っています。その様子を撮影するため、日の出前に出発して一時間かけて生駒高原にやってきました。

100万本のコスモスが彩る生駒高原

ドローンによる空撮は、事前に施設管理者の許可を得た上で、生駒高原の開園時間の前に飛行させる必要があったため、午前9時前までには撮影を終わらせる必要がありました。

100万本のコスモスが彩る生駒高原
100万本のコスモスが彩る生駒高原

午前8時半頃までには一通りの撮影を終えました。せっかく一時間かけて小林市まで来てるので、これだけで帰るのはなんだか勿体ないです。

この生駒高原からは、生駒富士と呼ばれる夷守岳への登山道や、秘境の滝と呼ばれる巣之浦川大滝へ通じる林道へアクセスできます。宮崎県の自然公園の写真や動画を紹介する仕事もしているので、巣之浦川大滝へはいつか行ってみたいと思っていました。

YAMAPのアプリで調べてみると、巣之浦川大滝へは往復 9.5km、累計標高差 455m、まあそんなに気合を入れなくても、サクっと行って帰ってこれるかな、と思って、行ってみることにしました。

生駒高原からスタート

登山用のザックにカメラやレンズ、ドローンを詰め込んで、生駒高原からスタートします。弁当や行動食は用意してなかったので、水を1リットルだけ持っていきました(この辺りが毎回失敗するポイントです)。

舗装された道が数百メートル続き、その後は砂利が敷き詰められた林道を歩きます。なだらかな傾斜になっていて、少しずつ標高を上げていきます。

巣之浦川大滝までの林道

心細い林道をひたすら歩く

歩くのは、林業用の作業車が走れるくらいの幅がある林道です。登山道と違って道幅が広く、歩きやすいのですが、木々が覆い被さっている深い森の中なので、何とも言えない不安な気持ちにさせられます。

ちょっとだけ開けた場所に出た時に、霧島連山の最高峰である韓国岳が見えました。その後はほとんど樹林帯の中を歩きます。

巣之浦川大滝までの林道から見える韓国岳
巣之浦川大滝までの林道

森林鉄道 巣之浦線

情報が少ないので詳しくはわからないのですが、この辺りは森林鉄道の巣之浦線が大正10年から昭和40年まで運用されており、木材の運搬や集落の交通手段として利用されていたそうです。

こんな山奥の秘境のようなとこで、かつては人が生活や仕事をしていて、鉄道が走っていたなんて、なんだか不思議です。

巣之浦川大滝までの林道

沢が近くなると、水の音が聞こえてきます。水量が多いのか、地響きと共に大きな音が聞こえてきて、不安な気持ちを煽ります。

林道以外に、林業の名残や人工物はほとんど見かけません。ただ、治水構造物はたくさん見かけるので、しっかり管理されているようです。

夷守岳夫婦滝

林道を歩き続け、目的地が近くなると、林道から外れて登山道へと入っていきます。草木が生い茂っている登山道へ入っていくので、ちょっとだけ勇気が必要です。この道で良いのかと不安になりつつ歩くと、すぐに登山者数を調査しているカウンターがあります。

この辺りはあちこちの山肌から水が落ちていて、名もない滝だらけです。その中で、二本の目立った滝が見えてきます。夷守岳夫婦滝という名前が付けられています。

夷守岳夫婦滝
夷守岳夫婦滝

巣之浦川大滝

夷守岳夫婦滝を過ぎると、徒渉箇所があり、ちょっとだけ危険なロープ場もあります。そこを過ぎるとすぐに目的地の巣之浦川大滝に到着します。

巣之浦川大滝
巣之浦川大滝
巣之浦川大滝

コロシアムのように湾曲した岩肌から水が落ちていて、とても美しく見応えのある滝です。ただ、第一印象は「思っていたより小さいな」でした。

他の人の写真を見ると、もっと大きな滝のような印象を受けるのですが、実際に行ってみると、そこまで大きくありません。

この日は前日までの雨によって水量が多く、滝の前にいると水飛沫でびしょ濡れになるほどでしたが、もしかしたら普段はあまり水量が多くないのかもしれません。水量が少ないと、滝のすぐ近くまで近寄って写真を撮ることができるので、人間に対して滝が大きく写り、とても大きな滝のように見えるのかもしれません(気になる方は、ググって他の方の写真を見ると、理解できると思います)。

巣之浦川大滝
巣之浦川大滝
巣之浦川大滝

沢や滝の大きな音に、最初はかなりビビってましたが、一人で長い時間、写真や動画を撮っていたので流石に慣れました。

登山の食事と行動食

写真や動画を撮りながらの移動なので、この時点で二時間以上が経っています。日の出前に自宅を出たので朝食は食べてないし、流石に水だけだとお腹が減ってきます。

登山の時は、いつも食事や行動食で失敗します。弁当を持ってきたけど箸を忘れたり、お湯とガスバーナーは持ってきたのにカップヌードルを車に置き忘れたり…

水が不足するなんてしょっちゅうです。今回も、ただお腹が空いたというだけで、幸い何もなかったのですが、事故にもつながりかねないので、これは大いに反省です。

巣之浦川大滝までの林道
巣之浦川大滝までの林道

不安だった行きと違って、帰りは気持ちに余裕ができたので、写真や動画を撮りながら、楽しみつつ歩きました。ただ、あんまりのんびりしてても余計にお腹が減るので、そこそこ急いで帰ります。

巣之浦川大滝までの林道
カマキリ
巣之浦川大滝までの林道

乗り捨てられた林業用の作業車がありました。気になって調べてみたら、林業機械メーカーのイワフジ工業株式会社製のフォワーダ(積載式集材車両)であることが分かりました。

放置されたイワフジ製フォワーダ(積載式集材車両)

宮崎県は古くから林業が盛んで、森林鉄道(いわゆるトロッコ)も九州では一番多かったそうです。

明治時代の後半、欧米列強の脅威から国を守るために富国強兵と殖産興業に邁進していた日本では、国産木材の需要が急速に高まり、森林鉄道の建設が進みました。

1970年代になると、外国材の輸入が本格化して採算性が悪化したこと、資源の枯渇が進み鉄道で運び出すほどの量の木材が生産できなくなったこと、自動車の発達と林道の整備が進んだことにより、森林鉄道は急速に廃止が進行したそうです(参照・一部引用:Wikipedia)。

廃止された森林鉄道に代わり、整備された林道を走ったのが、トラックやフォワーダ(運材用高性能林業機械)であり、現在はそのフォワーダも朽ち果てようとしているわけですね。

山歩きと滝の映像と音

こんな体験を動画でお裾分けします。よろしければ、ご覧いただいて、美しい山奥を歩いている気分になってもらえると嬉しいです。



YAMAP の活動データ

Google Map

生駒高原


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