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5分で覚えるBlender基礎③ 雪だるまをレンダリングしよう

どうも、ひでおです。
今回は前の動画で作成した雪だるまを画像として書き出し(レンダリング)してみたいと思います。レンダリングすることで1枚の画像として書き出すことが出来ます。レンダリング解説の後にはビューの説明が入っています。
テンポよくさらっとみられるようにしていますので、少し早いと感じた方はYoutubeの設定で0.5~0.75倍速でご覧ください。

Blenderのレンダリングについて

CGことはじめでも少し解説していますがCGを画像にするためには、動画でやったようにレンダリングという工程が必要になり、Blenderではいくつかの選択肢があります。細かく説明し始めると、とてつもなく長くなるので、ある程度の範囲で解説しています。レンダラーの違いに興味のある方は読んでみて下さい。

レンダーエンジン(レンダラー)とは

レンダーエンジンというのはレンダリングの計算をするためのプログラムの事です。レンダリングエンジン、レンダラー、レンダーなどと呼ばれます。
昔はCPU(パソコンで計算をする中枢)の処理能力が非常に非力だったためものすごく時間がかかりました。
しかし、ここ20年でプログラムも進化し、CPU(数字上は400倍程度)、またGPU(グラフィック専用のプロセッサ)が物凄く進化したため、レンダリングが飛躍的に速くなりました。とはいえまだまだ時間のかかる処理もありますので、その都度最適化する必要があります。CyclesもGPUを使用するとCPUだけで処理するよりも圧倒的に高速になるため、複雑なシーンをレンダリングしたい場合はGPUでのレンダリングが推奨されます。

Blenderのレンダーエンジンを切り替える項目
赤丸のところで変更できます

Cycles(サイクルス)とEevee(イービー)

この2つはフォトリアルなイメージをレンダリングする目的で使用されるレンダラーです。それぞれに特徴があり、使い分けることで効率を高めたり、表現の幅を広げることが可能になります。

Cyclesの特徴
レイトレース
と呼ばれる光のシミュレーション計算を行い、他のソフトで使用されるようなVRayやArnoldなどのメジャーなレンダラーにも負けないくらいの高品質なイメージをレンダリングできます。これが無料で使えるというだけでもびっくりです。

Cyclesでのレンダリング例

他のレンダラーと同様、高品質にするためには光の計算処理時間を長くする必要があります(光のシミュレーションをする際に光線の数を増やせば増やすほどクオリティが上がるため)。この処理時間が短いとノイズが目立つため、デノイズも組み合わせて使用するのが実用的です。最近はレンダリング時間をかけ過ぎるより、ある程度ノイズが取れてきたらデノイザーでノイズを除去する方が速いので、そちらの流れが強くなってきています。ゲーム画面などのリアルタイムレンダリングでも、ノイズをAIで消す方法が研究されて採用され始めています。Blenderでもver3.4からAIデノイザーが搭載されています。

比較画像を見ていただくと分かりますが、ノイズが無いだけでかなり見られる絵になっています。※レンダリング設定は最低品質の設定にしています

デノイザーを使った場合の比較

Eeveeの特徴
リアルタイムレンダリング
に特化したレンダラーです。グラフィックプロセッサ(GPU)を使用し、非常に高速にレンダリングを行えることが最大の特徴です。リアルタイムレンダリングというのは、Blenderで表示しているプレビュー状態をそのまま画像としてレンダリングするようなイメージです。今風に言えばゲームのスクショ機能で画面を撮影しているようなイメージでしょうか。なお、Eeveeは計算を簡略化することにより高速化を行っているため、Cyclesに比べると制約があります。アニメーションや、細かい表現が必要ない場合は、圧倒的にレンダリングが速いためかなり有用です。

Eeveeでのレンダリング例 レンダリング時間は0.2秒…速い
透過処理がおかしいのと金属表面の質感がやや表現力に欠ける

Workbench(ワークベンチ)

Workbenchは実際のレンダリングに使用するものではなく、あくまでも作業時のプレビューを見やすくするための位置づけだとマニュアルには書かれています。ただ、高速にレンダリングが出来るのと、上の2つでは表現できないような事が出来るため、アニメや漫画の輪郭素材を作成するなど、ノンフォトリアルなイメージを作るのに利用している人もいます。

Workbenchでオブジェクトの輪郭をレンダリングしてみた例

まとめ

作品集にも入れてあるスノードームでBlenderでの、レンダラー比較をしてみました。

スノードームの作例で比較

比較したりするとEeveeだめなの?というように思う方もいるかもしれませんが、このようにある程度のクオリティが出せているわけですので、時間が無い場合はEevee一択になるかもしれませんし、ディティールが見えなくても良いのであればEeveeが圧倒的にレンダリングが速いわけです。
ちなみに下のアニメーションはCyclesを使用していますが、4時間かかっています(1枚あたり1分 x 240枚)。これでも10年前と比べたら驚異的な速さです。

前回の動画で解説したマテリアルとレンダリングはとても奥が深く、PCでの処理でも非常に時間がかかる場合があるため、イメージしている表現が出来るものを上手に選んでいくことが大切です。実際にEeveeだけで凄い映像を制作している方もいますので、その都度最適なものを選んでいきましょう。


この講座は、[雪だるま]のモデルを作成してから見ていただく内容になっています。①②③の順で見ていただくと一連の流れを学習できますので、
先の動画を見ていない方は、下記の内容を見てからご覧ください。


コラム

上でも書きましたが、レンダリングは非常に処理に時間のかかる作業になります。
私がCGを始めた頃は1枚の画像をレンダリングするのに、レンダリングのボタンを押したら一晩放置するなんてことが当たり前でした。失敗していた時は本当に悲惨です…。
学生の頃はPCを10台くらい使わせてもらい、数日かかってアニメーションをレンダリングした記憶があります。それでも今のPC1台で出来る事より制約がありました。
もちろん今でも時間のかかる処理は複数のPCを使う場合もありますが、ある程度高性能なPCがあれば、1台で完結出来る状況が増えたと思います。
CGを制作するのには本当に良い時代になったと思います。

そして、今後は映像関連のCG制作でもリアルタイムレンダリングが主流になっていくと予想され、3DCGを制作する際にはCPUだけではなく、GPUの進化も外すことはできません。ここ数年で、リアルタイムでレイトレース処理が行えるGPU(NvidiaのRTXシリーズなど)が開発され、現実空間のような光の表現がリアルタイムで出来るようになりました。
最近ではUnRaealEngineやUnityなどの、ゲームエンジンでのリアルタイムレンダリングにも非常に注目が集まっています。

UnRaealEngineのリアルタイム表示
一瞬でこのクオリティでレンダリングされる

また、スマートフォンでもSnapDragonなどのSoCがリアルタイムレイトレースのチップを搭載し、スマホでもリアルタイムでのレイトレース処理が可能になる時代がもうすぐそこまで来ています。ポケモンGOの様なAR系ゲームで使えるようになれば、スマホのカメラで写した世界に本物のようなCGが出てくるようなものが出てくるかもしれませんね。

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