#039 b8taで発掘した睡眠サポートガジェット「Sleeim」、魅力たっぷりの独自性を紹介
【木村ヒデノリのTech Magic #039 】 ワークフロムホームのクオリティを上げるために重要なのが“睡眠”だ。Sleeimは海外勢に席巻されている睡眠テックの中で唯一“国産”の睡眠サポートガジェットだ。大阪電気通信大学と共同研究開発された製品というのも信頼感がある。仕組みは特殊な構造のマイクとアルゴリズムで呼吸音から異常を検知するというもので、呼吸の異常を検知すると振動により再び快眠へ戻してくれるという。これはいびきだけでなく呼吸レスにも有効で、30代~60代男性を対象に調査したところ、どちらもかなりの改善が見られたそうだ。
なお、今回から数回に分けて最新ガジェットの宝庫であるb8taから厳選した興味深いガジェットを紹介していく。b8ta自体も非常に面白いコンセプトで運営されているので興味のある方は記事末尾の紹介を参照してほしい。
「Sleeim」は28gとかなり軽量、
GOOD DESIGN AWARD 2020も受賞している
背面にはマイクが付いており、高精度に呼吸を測定することができる
ネックバンドは4種付属している。
筆者は首が太い方だが、3番目の大きさで問題なかった
装着しやすい本体と実用的なバッテリー持ち
まず良いと感じたのは本体の装着感だ。首周りに巻くように着けるということで、息苦しさや重さを感じるかと心配していたが、28gの本体は装着していても全く気にならなかった。いびきを改善するガジェットは他社からも出ており方式はさまざまだが、どれも寝返りなど大きな動作の際に外れたり、ズレたりと装着感に難があった。しかしSleeimはしっかりと装着ができ、かつ苦しさも感じず快適に使うことができた。
顎に貼り付けるEMS方式の製品
耳にかけるタイプは装着側を下にして寝るときにかえって違和感になってしまう
スリームはバンドで半分首にかかるように装着する。
これが意外と楽で気にならない
また、電池の持続時間も非常に長い。2時間で満充電したあとは振動モード(睡眠改善モード)で約1週間、モニタリングモードなら2週間も使用可能。充電に煩わされずに毎日使える実用的な仕様となっている。
信頼度の高い測定値で実感できる自分の睡眠パターン
大学との共同研究で生まれたというだけあって、細かく睡眠状態を記録、確認できるのもSleeimの特徴だ。これにより自分の睡眠状態をしっかり把握できると同時に、正確な検出に基づく改善が可能になる。睡眠測定ガジェットと違い、改善を促す製品では当然改善のアクションを起こすタイミングが重要になるため、測定値が有効かどうかは大きな要素になってくる。この点においてSleeimは国産にこだわって製品開発をしており、その結果についても大学の研究室と共同して検証しているということでかなり信頼度が高いと考えられる。こうした部分は他製品にはない大きなアドバンテージではないだろうか。
かなり細かくデータを記録し比較できるスリームの専用アプリ
多くの測定ガジェットでは知ることのできない睡眠の傾向を把握できるのも良い。例えば海外で人気のOURA RINGでは睡眠を独自の採点で数値化してくれる。これはこれでわかりやすいが、どのような問題が起こっているのか、またそれらをどうしたら改善できるのかがわかりづらい。Sleeimではいびきや呼吸レスだけでなく、仰向け・うつ伏せなど、どの向きで寝ているのかまで把握できる。従ってそれに沿った枕や寝具の買い替え、その検証も可能になるので測定値を成果につなげやすいと感じた。
OURA RINGでは包括的に体の調子を記録できるが、
Sleeimのように睡眠にフォーカスしているわけではないのでややわかりづらい
手軽に使えるが正確な測定には
気をつけなければならない点も
前述したように精度の高いデータが取れるSleeimだが、装着時に気をつけなければならない点もある。それが装着位置だ。耳の真下から鎖骨に向けて伸びる「胸鎖乳突筋」という筋肉があるが、測定のためのマイクの位置がこの筋肉の内側、男性の場合は喉仏の隣あたりに装着するのが望ましいということだ。
これに関しては 慣れるまで鏡の前で確認しながら装着するなどやや苦労するかもしれない。ただ最初にきちんと装着してしまえば寝返りなどでもズレにくいため、慣れるまでの作業としては許容できるだろう。
これまでさまざまな睡眠系ガジェットを見てきたが、アクティブに睡眠を改善してくれるものでここまで手軽なものはあまりなかったように思う。筐体のデザイン性や実用性はともに高いので、欲を言えばぜひアプリのUIや操作感を改善してほしい。ちょっとしたことだが、画面切替時のトランジションやフォント、レイアウトなどが少し変わるだけでかなり洗練され、ユーザーの印象も変化するだろう。クラウドファンディングでは目標金額の50万円を大幅に上回る2425万8247円を調達した期待の睡眠系ガジェットなので、現行品はもちろん、アップデートにも期待が高まる製品だ。
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