#002 スマートヘルメット「LUMOS Matrix」が彷彿させる未来の道路事情
【木村ヒデノリのTech Magic #002 】 自転車の進化でヘルメットが再び注目を集めている。そんな中これぞ”スマートヘルメット”といえる画期的プロダクトを見つけた。それが「LUMOS Matrix」だ。頭を守る堅牢性に加え、減速を感知して自動点灯するブレーキランプやウインカーなど、視認性という観点からも安全を提供してくれる本製品は完成度も秀逸。自転車の利便性が再認識されてきた昨今、国内でもスタンダードな装備になるかもしれない。
ヘルメットに特化した少数精鋭の企業
Lumosは画期的なヘルメットをいくつも世に送り出しているベンチャー企業だ。製品はKickstart、Kickstart Lite、Street、Matrixの4種類で、これらは海外のグッドデザイン賞ともいえるRed dot design awardを受賞するなど、機能性とともにデザイン性も評価されている。
香港に本社を置くこの会社は50名以下のエンジニア集団で、なんとヘルメットというニッチなプロダクトに特化し製品開発をしている。そのため、リリースしている製品の完成度は非常に高い。
多くのスマートプロダクトに見られるのが、反応が悪かったり、アプリの仕上げが雑だったりという点。しかし、LUMOS Matrixは、バッテリーの持ち、充電方法、アプリとヘルメットの通信速度、整ったユーザーインターフェースなど、どれを取っても高いレベルに仕上がっている。
視認性の高さと利便性が与えてくれる安心感
Lumosのどのプロダクトにも言えることだが、特にLUMOS Matrixは視認性という点で群を抜いている。背面の大型LEDにはアプリからさまざまな絵柄や文字が投影可能で、自動車に存在をアピールしてくれる。ウインカーは前後同時に表示され、前方から近づく車や歩行者にも進行方向を知らせることができるので安心だ。進行方向は手元のハードウェアリモコンで指示できるほか、Apple Watchを着けていれば手信号と連動する。
日本では平成27年に施行された道路交通法の改正で自転車も原則車道を通行することとなった。これを受けて全国で自転車専用通行帯の整備が行われているが、多くの道路では未だ整備されていないのが現状だ。
実際は交通量が多く危険でそれを回避する場合や子供を乗せている場合などは歩道の走行も認められている。(この場合は徐行しなければならない)とはいえ自転車がどちらの方向に行こうとしているのかということは歩行者、車両ともに認識してくれた方が安全なのは明らかだ。
筆者も子供を乗せて移動することが多いので安全の観点から尾灯や反射板の取り付け、手信号の徹底などを考えていたがLUMOS Matrixは一気にこれらの問題を解決してくれた。前述したウインカーによる方向指示に加え、減速を自動で感知して表示してくれるブレーキランプ、「BABY ON BIKE」など任意の文字を常時表示できる機能など、他の車両と同等の視認性を自転車にも手軽に提供してくれるLUMOS Matrixは3万円弱という価格も納得できるだけの安心感を与えてくれるだろう。
精密機械が組み込まれているのにタフな実用機
「あくまでヘルメット、屋外のハードな環境で使われる」という点もしっかりと考えられている。LUMOS Matrixは全天候型で、雨の日の着用もまったく問題がない。充電で最大10時間使用できるなど普段使いがしやすい配慮も完璧だ。
サイズがM・Lしかないのを心配する方もいるかもしれないが、交換できるパッドのおかげでかなり柔軟にフィットする。厚さが違うレッドとターコイズ2種類のパッドが付属しており、大人であれば男女に関わらずある程度のサイズに対応する。
安全を自分で担保していく時代に必須のヘルメット
今後、自転車もバイクや車に準じた法令になっていく可能性は高い。これを踏まえると車体に電気配線など施さなくともヘルメットひとつでさまざまな機能を追加してくれるLUMOS Matrixは、まさにこれからの時代の理想のソリューションといえるだろう。加えて、その完成度の高さが導入の後押しをしてくれる。先進的であることよりまず実用的であることが普及する鍵だからだ。固定観念に縛られないこうした企業のチャレンジがこれからも楽しみだ。
なお、LUMOSの価格や見た目に抵抗がある人はスマートフォーユーという会社の製品でブレーキランプのみのタイプもある。こちらのSH50は見た目もほぼ普通のヘルメットと変わらないうえに、価格もLUMOSより手頃なので検討されている方はLUMOSとあわせてチェックしてみて欲しい。
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