#015 真夏の災害時やアウトドアでも涼しく快適!小型で圧倒的な冷却性能ZERO BREEZE MARK2
【木村ヒデノリのTech Magic #015 】 冬場に暖を取るガジェットは多くあるものの、夏場に涼しくしてくれるガジェットはあまりない。最近は給水して涼しい風を出してくれるコンパクトファンもあるが、ポータブルエアコンとなると選択肢が狭まる。
移動式エアコンは、ほとんどのものが高さ70cmオーバーと、家庭で万が一に備えて置いておくには大きすぎる。だが、今回紹介する「ZERO BREEZE MARK2(以下、ZERO BREEZE)」は、そんな常識を覆す性能を有している。コンパクトなボディに搭載された強力な冷房性能は、アウトドアやスポーツにとどまらず、真夏の災害時などでも快適な環境を提供してくれるだろう。
スタイリッシュな外観で所有欲もそそられる
ポータブルエアコン「ZERO BREEZE MARK2」
驚くほど進化を遂げた第2世代のポータブルエアコン
ZERO BREEZEの冷却性能は初代と比べると約2倍とかなりの進化を遂げている。初代は条件によってはなかなか冷えないと言われていたが、ZERO BREEZEはスイッチを入れて2~3分で吹き出し口からの冷風温度が15℃以下になるなど、その進化に驚かされる。外観も大幅に改善され、未来的なフォルムになったZERO BREEZEはキャンプ場などで目立つこと間違いなしだ。
画期的な製品だったものの、性能や
デザイン性がいまひとつだった初代ZERO BREEZE
ZERO BREEZEの類似商品で安価なものも存在する
価格が安くドレン排水が要らないのは便利かもしれない
日動工業製 YNC-A160
吹き出し口に温度表示機能も搭載され、
冷却性能がひと目でわかるようになった
初代では持ち上げるとバッテリーが外れる構造だったが、ZERO BREEZEではロック機構により一体型として持ち運びが可能になった。ただ個人的にはバッテリーでの駆動よりもAC駆動をおすすめする。満充電で5時間使えるのは画期的だが、外での利用においてはそれ以上が要求されることが多いし、バッテリー単体の重さも5.5kgと重い。正直純正のバッテリーではなく、SUAOKIなど他メーカーの大容量バッテリーにAC接続して使う方が実用的だと感じた。キャンプ場によるが、電源付きサイトを選べばかなり快適に過ごせるだろう。
初代と違い、バッテリーはケーブル接続しないと使えないのが残念な点
効率よく冷やすための先進的な構造やパーツ
冷却性能とコンパクトさを両立させているのが新開発のコンプレッサーだ。ZERO BREEZEのコンプレッサーはコーラの缶ほどの大きさと非常に小さい。従来のコンプレッサーと比べると4分の1で、その小ささが際立つ。
価格は従来品の4倍となってしまうが、同社は「ポータブルエアコン市場を揺るがすパワーとコンパクトさで、その値段の価値は十分にある」としている。使用する電力も240Wと、従来品が800W程度必要なのに比べかなり省電力で、この点においても気軽に外部電源等で活用でき便利である。
従来のコンプレッサー(右)と開発された新しいコンプレッサー(左)
コンプレッサー開発の研究者や技術者、トップメーカーと共同で開発された
新しくなったエアダクトの構造も素晴らしい。エアコンは小型化すると、風量や風圧を犠牲にしてしまうという制約があったが、ZERO BREEZEでは新設計のデュアルパイプ冷却システムと強力な24V遠心ファンでなんと200立方メートル/hの空気熱交換を可能にしている。
また反対側にも“エバポレーター”という気化熱を利用して空気を冷やす装置と遠心ファンが設けられ、前方からも空気を吸引し、冷やして排出する仕組みになっている。これらは初代の設計を踏襲せずに全く新しく開発されたもので、初代と名前こそ同じもののもはや別物と言っても良いくらいZERO BREEZEの方が冷やす速度が圧倒的に速くなっていた。
新設計のエアダクトはコンパクトながらも大風量を実現
エアコンの実用性重視に変わった操作パネル
初代ではライトやスピーカーなど、アウトドアで使いそうな機能が網羅されていたが、ZERO BREEZEではライト機能は残っているものの、スピーカー機能は廃止された。また、操作パネルにターボモードやおやすみモードなど、エアコンとしての実用性を高めるボタンが実装され、使い道が広がった。
Mark I のパネル(右)とMark IIのパネル(左)
Mark IIでは冷房以外の機能は削ぎ落とされ、パネルデザインもスッキリした印象
ボタンは押し込む方式ではなく、タッチで快適に操作できる
今まで風量は変えられても温度設定などは変更できなかったため、キャンプや車中泊で寝る際につけておくと冷えすぎることもあった。しかし新搭載のおやすみモードを使えば自動的にコンプレッサー自体がローモードになり、出てくる冷風の温度も高めになる。
ターボモードは逆に自動的に最大パフォーマンスで動くようになり、効率よく冷やすことが可能だ。温度調節だけでなく、消費電力のコントロールという観点からもこの二つのモードが実装されたのは非常に良いと感じた。簡易的だがリモコンも付属するので、離れた場所からコントロールできるのも便利だった。
リモコンは便利だが、本体に収納場所などないため、
別途ベルクロなどで底面につけるといいかもしれない
前述したバッテリーの他に気になった点といえば、ドレンからの排水の多さだろうか。かなりの量の排水があるため、スポットクーラーとして室内使うのは難があると思う。ただアウトドアなどで使う場合には、ドレンホースをつなげばテントから離れた場所に排水できるし、ポリタンクなどに排水することもできるので問題ないだろう。
総合的に見てZERO BREEZE MARK2はかなり実用的なポータブルエアコンと言っていいだろう。もちろん日中の車内を冷やし切る、というハードな利用は難しいが、キャンプ時や災害時に涼しさを提供してくれる製品としては、他に類を見ないコンパクトさと機能性がを備えている。
地震にとどまらずさまざまな災害が多発している昨今、キャンプ用品を災害時の備えと兼用で購入する方も増えている。夏に避難することになれば過酷な環境になるのは必至なので、こうしたポータブルエアコンを常備しておくのもいいかもしれない。
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