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酒の強さは遺伝で決まるのか?

遠くは江戸時代。「飲む、打つ、買う」の三拍子は男(とくに武士)の甲斐性と言われていた。「大酒を飲む、博打を打つ、女を買う」のことで、道楽の限りをつくすという意味だ。

今では「飲む、打つ、買う」という表現は死語だが、昭和世代くらいまでは、「飲む、打つ、買う」の世界に魅了された殿方も少なくないはずだ。

オッサンも多分に漏れず、美女のいるお店でも散財したし、カジノも楽しんだ。そして、とにかく浴びるように酒を飲んだ。

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こんなオッサンも学生時代は真面目で甲斐性のない男だった。

「飲む、打つ、買う」の世界とは無縁で、酒を飲むことはまったくなかった。本の世界で生きていた本の虫だから、もちろんコンパにも行ったことがない。

私の両親はともに下戸なので、自分も酒は飲めないと思っていた。生まれつき飲めない体質だと思っていたのだ。

ところが、飲めるようになった。

では、酒が飲めるか飲めないかは遺伝によって決まっているのか?鍛えれば飲めるようになるのか?

気になったので調べてみた。

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例えば、ヨーロッパ系の白人とアフリカ系の黒人は酒に強いと言われている。これは彼らのALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素2)の遺伝子型が活性型だからだそうだ。

ALDH2はアルコール(実際はアセトアルデヒド)を酢酸に分解して無害化する酵素で、活性型だとアルコールの分解効率がいいので、酒に強いということになる。

それに対して、日本人も含まれるモンゴロイド系の黄色人種はALDH2が低活性型が多く、日本人の40%は低活性型の遺伝子だと言われている。

また、日本人の4%がALDH2が働かない不活性型で、酒を生理的に受け付けず飲めない。

このALDH2の遺伝子型は親から子へ受け継がれるもので、酒の強さは遺伝で決まると言って差し支えないだろう。

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しかし、多くの人が酒の飲む習慣によって、どうして酒に強くなるのだろうか?

その問いについては、「酒は鍛えれば飲めるようになるのか?」というテーマで次のnoteで書くが、その前にアルコール分解のメカニズムについて整理して、このnoteを締めくくりたいと思う。

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アルコールは肝臓で分解され、分解されたアルコールはアセトアルデヒドになる。アセトアルデヒドは毒性が強い物質で、顔や体が赤くなったり、頭痛、吐き気、頻脈などが起こったりするのは、このアセトアルデヒドが犯人だ。

また、深酒によって悪酔いや二日酔いが起こるのもアセトアルデヒドが体内に長時間滞留してしまっているのが原因だったのだ。

このアセトアルデヒドは肝臓で酢酸に分解され全身に送られる。そして酢酸は筋肉や脂肪組織で二酸化炭素と水にさらに分解され、息や尿となって体外へ排出される。

アルコールが分解され体外に排出されるまでの流れはざっとこんな感じで、

アルコール

ADH(アルコール脱水素酵素)によりアルコールが分解される

アセトアルデヒド

ALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)によりアセトアルデヒドが分解される

酢酸

二酸化炭素・水として対外へ排出される

図解だとこうなる。

アサヒグループホールディングス

ちなみに、アルコールの分解に重要な役割を担っているADH1B(アルコール脱水素酵素1B)とALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素2)の遺伝子型については、料金は高いが、病院などで検査すればわかる。

ただ検査をしなくても、自分のALDH2が活性型か低活性型かを見分ける目安はあることをオッサンも知った。

例えば、アセトアルデヒドが10−15マイクロモル(そういう単位を使うらしい)以上になると、顔面が紅潮するらしいが、コップ一杯程度のビールで顔が赤くなるのであれば、ALDH2が低活性型で、相当飲まないと赤くならないというのであれば、活性型の可能性が高い。

オッサンの経験からすると、このチェックは、最初顔が赤くなっても、やがて顔色が元に戻ることもあるので、ある程度酒を飲んだ後ではなく、飲み始め時にチェックした方がいいと思う。

ちなみにALDH2が不活性型の人は、飲んでも酒を生理的に受け付けなくなり飲めなくなるので、無理して飲むことはない。

また、ALDH2についての都道府県別の統計調査があって、この調査によると、酒豪の多い(活性型が多い)のは秋田県に次いで、鹿児島県で、酒に比較的弱い(低活性型が多い)のは三重県、愛知県の順だった。

また全体の傾向としては、北海道、東北、九州、沖縄地方が活性型の割合が多く、中部や近畿地方では低活性型が多いことがわかった。

もともと縄文人は活性型だったが、海を渡って中部・近畿地方に移り住んだ弥生人には低活性型の多いモンゴロイド系の人種が混ざっていたことと関係しているのかもしれないとのことだ。

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日出丸
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