企業版ジョハリの窓:組織の真実を見つめる:いまのたかの組織ラジオ#198
今野誠一氏(GOOD and MORE)と高野慎一氏(aima)によるユニット『いまのたかの』。マネジメントと組織の現場についてカジュアルに語る、「組織ラジオ」です。今回のテーマは、「ジョハリの窓・広報の真髄、そして天日干し経営」です。内容を確認・考察したいと思います。
1.「企業版」ジョハリの窓
「ジョハリの窓」を企業に適用した「企業版ジョハリの窓」について詳細な議論が展開されています。
ジョハリの窓の4つの領域(開放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓)が企業活動にどのように当てはまるかが説明されています。
特に、顧客からのフィードバック(盲点の窓)と会社のアピール不足(秘密の窓)について深い反省の念が示されています。
顧客の本音を積極的に聞く努力が不足していたこと、アンケートだけでは真の声を捉えきれていなかった可能性について言及していました。
また、会社の情報をより広く発信する必要性が強調され、特に非顧客に対するアピールが圧倒的に不足していたという反省が述べられています。 この反省を踏まえ、現在新しいホームページを作成中であり、特に会社の人材や理念をより深く理解してもらうことに力点を置いた構成にしているとのことです。
2.広報の真髄について
日本における「広報」の概念の歴史的背景が説明され、戦後GHQによって導入された「パブリックリレーションズ」の本来の意味と、日本で誤解されがちな「広く知らせる」という解釈の違いが指摘されています。
広報の真髄は、単に情報を一方的に発信するだけでなく、相互理解を深めることにあると強自社について理解してもらうことで活動がしやすくなるという点が指摘され、これはジョハリの窓の概念とも通じる考え方であることが説明されています。 また、広報活動の二つの重要な側面として、「自社の良いところを知ってもらうこと」と「外部の声を聞いて自社を改善すること」が挙げられています。特に後者については、時には耳の痛い意見にも真摯に耳を傾け、それを基に自社を改善していくことの重要性が強調されています。
3.株式会社パフの事例
透明性の高い企業運営と情報公開の重要性を示す具体例として、株式会社パフの事例が紹介されています。パフは新卒採用のコンサルタント会社で、極めて高い透明性を持った経営を行っていることが説明されています。
具体的には、会社の活動や考え方、失敗事例なども含めて積極的に公開する「全出し」のアプローチを採用しています。社員紹介では全社員の顔写真や入社理由、仕事への思いなどを詳細に公開しており、「顔の見える採用」を標榜しています。
このような透明性の高いアプローチが、顧客との深い信頼関係構築に成功している点が高く評価されています。以前はこのアプローチを「やりすぎ」と考えていたが、現在ではその効果を認識し、自社でも取り入れたいと考えるようになったことを話しています。
4.天日干し経営
「天日干し経営」という概念が紹介され、透明性と正直さが信頼関係の構築に重要であることが指摘されています。この概念は、企業の情報や活動を隠さずオープンにすることで、より健全な経営を目指すという考え方です。
自社の良い面だけでなく、問題点や失敗も正直に公開することで、より深い信頼を得られるという考えが示されています。これは広報の真髄とも通じる考え方であり、単に自社の宣伝をするのではなく、誠実に情報を開示し、外部の声に耳を傾けることの重要性が強調されています。
また、この「天日干し経営」の考え方が、前出の株式会社パフや、Jリーグの村井チェアマンの経営哲学にも通じているとしており、現代の経営において重要な概念であることを示唆してます。
5.広報の役割再考
広報は会社の「口」であると同時に「耳」でもあるという考えが紹介されています。つまり、情報を発信するだけでなく、外部の声を積極的に聞き取る役割も担っているという認識です。 特に、外部からの批判的な意見や、社内で抵抗を受けそうな意見にも真摯に耳を傾け、それを基に自社を改善していくことの重要性が語られています。
このプロセスは必ずしも容易ではなく、社内で反発を受ける可能性もありますが、それを乗り越えることが会社の真の成長につながるという見解が示されています。 また、このような姿勢で広報活動を行うことが、長期的には企業のブランド価値向上にもつながるという考えが示されています。
まとめ
今回は、企業の透明性、広報の役割、そして自己改善の重要性について深く議論されており、現代のビジネス環境における開かれたコミュニケーションの重要性が強調されていました。企業と社会のより良い関係構築のあり方について、多くの示唆が得られるものでした。
自身も社内外でビジネスを展開しておりますが、一方的にならず、いかに顧客と同じ立ち位置になれるか、改めて、多くの学びを得たところです。
「企業版ジョハリの窓」を現実的なビジネス環境で表現しています。4つの領域(開放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓)がそれぞれ企業の異なる側面を示し、会議室での社員の協働、アンケートを通じた顧客のフィードバック、内部の戦略と計画、そして革新の象徴が描かれています。モダンなオフィス環境が背景に広がり、プロフェッショナルな雰囲気を醸し出しています。